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MIKASA|広島県①
思いがけない素材への挑戦
こんにちは、FUKUNARYの田村です。
いつもご覧くださりありがとうございます。
この度も是非ゆっくり読んで頂ければ幸いです。
FUKUNARY BLACK TAG (金襴緞子シリーズ)
FUKUNARY WHITE TAG(尾道帆布シリーズ)の
2種のひろしま素材と向き合いはじめ
改めて地元からの発信の可能性を探していた矢先。
そういう「地元素材」という想いを軸に考え始めたからこそ!この発想に行きつくことが出来た会心の閃き!
この時に当社の代名詞になるようなシリーズの開発に繋がり、広島を代表する素材といえる!そう思えるものに出会うことになります。
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ボールメーカーMIKASA
その素材はボール生地。本社を広島に置き世界に発信する、創業104年の老舗ボールメーカーとして名高い「MIKASA」さん。
1917年に広島で創業した「増田ゴム工業所」を前身とし、その後は1950年に社名を明星ゴム工業に改称。
現在もゴム製品、船舶や社会を支える様々なインフラに欠かせない水中軸受・船舶用ゴム巻等の工業用ゴム製品などでその技術を活かされています。
1960年代にバレーボール用ボールを製造するとこれが世界各国の連盟から公式用試合球としての認定を受けると共に、そのブランドネームを確立。
2001年に社名をミカサとされました。
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誰もが触ったことのある素材
他県の方にもボールメーカーとしての
存在感は抜群だと思いますが
その産地としてはまだまだ余り知られていないかも。
広島を代表する企業としてMIKASAさんは
地元では馴染み深く「昔は手縫いでボールを縫よったんよ。」そうお話される年配のお客さんにもよく出会えます。
そんなMIKASAさんの製品。
ゴム加工業として社会的に多くの役割を担われていますが、当社は「体育館で誰しもが見たことのある触ったことのあるボール」こちらに使われる皮革に着目しました。
僕が学生の頃に触っていたのは
バレーボール、サッカーボール、バスケットボール。
部活動や体育の授業からはじまり
アニメのコンテンツからの影響での
遊びなどで触れることがあったボールですが
皮革を素材として考えてみることは初めてでした。
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「ひろしま素材×ひろしま縫製」という新しい試みで
地元ひろしま素材で作ったものを全国に発信している当社の想い。
そんなFUKUNARYをMIKASAさんにも
知ってもらいたくアポイントを強行。
快く応じてくれたMIKASAさんの工場に
ご挨拶に行ってきました。
美しさと丈夫さを作っている技術
MIKASAさんが作るボールは本当に美しいんです。
真の球体を描いていて縫い目や接合がきれいに貼り合わせてあり、使用感を経ても体感でも感じる経年劣化の遅さから見ることができる品質の高さが魅力的。
今でも僕は週一回バスケットボールをしていて
中学校の体育館に行くことがあるのですが
そこで見る他社のボールよりもダメージの進み具合が遅く、素材に対しても長く使えることにこだわられているように感じます。
そんな素材もこだわって開発し、年月を重ねた技術と
改善をかさねた更新によって培われた「強さと美しさ」を感じさせて頂けました。
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ボールの産地になる必然
アポイントを取らせていただき工場見学に伺った際に
様々な歴史や成り立ちを聞かせて頂きまして。
そのときに仰られていた「ボール作りが始まる必然」が
素敵なお話でした。
ボールづくりの重要な要素とされる針とゴム。
革を球体状に縫う為の針、跳ねる為のゴムです。
実は縫針の国内シェア100%である広島。
その昔、県北の加計でとれる良質な砂鉄で
鉄を針に加工する産業が広島で発展しました。
余談ですが、そんな鉄にまつわる話。
広島を含む中国地方で盛んにおこなわれていたそうです。
「たたら製鉄」
たたら製鉄は、簡単に言うと土砂に含まれる砂鉄を木炭で熱し、還元して鉄を造る手法ですが、中国地方では、中国山地の各地で盛んに行われ、大正時代に一旦はたたらの火が消え、再度、大戦時の軍刀の需要により火が入りましたが、終戦とともにその火が落ちました。
最盛期には、日本全国で使われるほとんどの鉄をこの地域で産出していたとも言われ、質、量ともに日本一の鉄の産地でした。
針だけではなく製鉄と加工の技術が
産地として育ち、産業として集積していく。
その後に造船、自動車メーカーが広島に誕生しています。
そんな製鉄の最盛期には東南アジアに船で輸出され、
その帰り便で輸入されたのが「ゴム」です。
ということで揃ったキーワードが反応をしあって
「良質な針とゴムを調達しやすい環境」があること
これがボールメーカーが誕生した要因です。
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できることを掛けあわせた新しい魅力
地元を背景とし、職人気質の温もりある人間力が
ひとつひとつのボールに込められていく。
そして色んな人や時間が携わって縁どられ、
こうして積み重ねられた歴史を恩恵として授かり
当社の「縫製」でその素材を活かし
次なる魅力としてコラボとして歩みをはじめます。
当社がもつ洋服やバッグなど
ファッションアイテムを縫うノウハウ。
ミカサボールが持つ歴史が裏付けた
クオリティの高いボール。
いままでお互いが愛でて培ってきた異業種が
掛け合わせて生まれた新しい魅力。
FUKUNARY feat.MIKASAが生まれた背景には
こうした先人さまたちの弛まぬ積み重ねがあります。
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こうしてFUKUNARYは3つ目の
広島素材×ひろしま縫製として選択された
MIKASA製ボール生地。
FUKUNARYに迎え入れさせていただけたこのシリーズ。フィーチャリング は、特定の人物・事柄などを特色として際立たせること。フィーチャー。フィーチャリングは「特集」。FUKUNARY feat. MIKASAと名付けました。
歴史あるボールメーカーが持つ「スポーツでつかう」という目的から、「毎日どこでもつかえる」という用途として引き出す。様々な試作とPRを重ねたトライアンドエラーを繰り返し新たなアイデンティティを加えゆく。
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こちらがどんな新たなシリーズに仕上がっていくのか。
次回の記事でその点をまとめて参ります◎
というわけで
よりブランドへ親しみを持って頂けますように。
引き続き更新をお楽しみに!
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広島出身、クリエイティブな活動が好き。FUKUNARYの創生から係わっています。作ることが好きで自宅アトリエにて彫金創作も行っています。その他、縫製、音楽、お絵かき、他には言葉を紡いだり。たくさんの学びを経て、やりたいことを素直に。全ての手仕事に尊敬をこめて。
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FUKUNARY feat. MIKASA
13. MIKASA|広島県①