ソフトテニスの賞金大会に出場して賞金を得ることと副業禁止の問題
弁護士でソフトテニス愛好家のふくもとです。
最近では、ソフトテニスにも賞金大会が増えてきました。
賞金大会に出場して賞金を得て、生活ができるようになれば夢が広がりますね。
もっとも、現在のところ、ほとんどの社会人選手は、公務員や会社員といった本業を抱えながら、ソフトテニスを続けていると思います。
このような社会人選手が、賞金大会に出場して賞金を稼ぐことは、副業禁止の問題を生じないのでしょうか?
この記事では、「ソフトテニスの賞金大会に出場して賞金を得ることと副業禁止の問題」というテーマでこの問題を検討してみたいと思います。
1 公務員の場合
公務員の場合、法律上、許可等を得ない限り、副業・兼業はできません(国家公務員法第103条第1項、第104条、地方公務員法第38条第1項)。
2019年に内閣官房内閣人事局が公表した「国家公務員の兼業について(概要)」によると、営利企業の役員兼業や自営兼業以外の報酬を得る兼業について、以下の記載があります。
上記の考え方に従って検討してみましょう。
まず、ソフトテニスの賞金大会に出場して10万円、100万円といった賞金を得ることは、交通費等の実費弁償とはいえず、仕事の対価として「報酬」が支払われているといえると考えられます。
次に、単発的に賞金大会に出場する場合には、「定期的又は継続的に従事する」ことに当たらないといえる可能性があります。
しかし、大会によっては賞金の額が100万円を超えるようなものもあり、この場合にも、副業・兼業規制の対象とならないと言い切れるかは不明です。
したがって、受け取る可能性のある賞金が多額であれば、賞金大会に出場して賞金を受け取ることがある可能性について、事前に許可を得ておくことが安全な対応であると思います。
地方公務員についても、基本的には上記と同様の考え方でよいと思われます。
ちなみに、以下のURLの記事では、現役自衛官のプロボクサーが紹介されています。
https://www.chunichi.co.jp/article/354481
「国家公務員のため副業はできず、ファイトマネーは全額寄付する。」とのことだそうです。
ソフトテニスにおいても、プロとして継続的に活動しようとする場合には、獲得した賞金を全額寄付するなどの対応が必要になるかもしれません。
2 会社員の場合
会社員(労働者)の副業・兼業についての規制は、勤務先との雇用契約の内容である就業規則の規定によることになります。
就業規則によっては、副業・兼業が自由に許されている場合もありますし、届出や許可の取得等の措置が必要とされている場合もあります。
したがって、まずは就業規則の内容を確認し、届出や許可の取得等が必要な場合には、賞金大会に出場して賞金を受け取る可能性があることについて、就業規則の内容に従った対応をしておく方が安全であると考えます。
もっとも、裁判例の傾向としては、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは基本的には労働者の自由であるという考え方が示されており、厚生労働省からも、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が発表されています。
そのため、本業に従事しつつ、賞金大会に出場して賞金を得ようとすることも、推奨されるべき合理的な考え方であるとはいえます。
ぜひ、会社員ソフトテニスプレイヤーの方にも賞金大会で活躍してもらいたいです。
3 まとめと補足
ソフトテニスの賞金大会に出場して賞金を得ることは、法律や就業規則で制限されている副業・兼業に当たる可能性があります。
対応の必要がないか、確認しましょう。
今回の記事では、休日に大会に出場することを前提としています。職務時間中に無断で賞金大会に出場する場合、職務専念義務違反等の問題が生じますので、ご注意ください。
また、賞金大会に出場して賞金を得た場合、確定申告手続が必要になる可能性もありますので、この点もご注意ください。
ちなみに、実際に兼業申請等の対応をされたことがある方はいるのでしょうか…?
もしいたら、どのような結果になったのか、教えていただければ嬉しいです笑
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