福島の宝「川俣シャモ」
ふくしまミラツクProjectでは、福島の食材を使ったおいしい給食を考えます。そのヒントとなるような、身近な食材についてシリーズでご紹介します。
絹織物が盛んな商業の地からはじまった闘鶏文化
川俣町は昔から養蚕・絹織物生産が盛んでした。川俣町の養蚕・絹織物は、およそ1,400年前に伝わったといわれています。江戸時代から絹織物で財をなした機屋が娯楽として軍鶏を飼い、闘鶏を楽しんだことから、町内に広く普及したようです。
昭和58年に川俣町のまちおこし特産品を開発するにあたり、当時の渡辺弥七町長が、「何か気の利いたごちそうでおもてなしをしたい」と軍鶏に着目しました。川俣町農業振興公社が第三セクターとして設立し、その後様々な品種改良を経て、現在の「川俣シャモ」が1998年に誕生しました。純系シャモの雌にレッドコーニシュの雄を交配させて誕生させた子鶏に、ロードアイランドレッドの雌をさらにかけあわせて誕生しました。品種改良によりサイズも大きくなり、消費者からの評価も上がりました。平成23年には、福島県ブランド認証として川俣シャモが認証され、福島県の地鶏としての地位を確立しています。
徹底して役割分担をした生産・販売体制
川俣町農業振興公社では、子会社の「有限会社川俣ファーム」を設立し、親鳥を飼育・採卵し、ヒナを育てて契約の肥育農家さんへヒナを販売します。肥育、その後育った川俣シャモは一括して川俣町農業振興公社が買い上げ、その先の販路に流通させる体制を取っています。
肥育農家は1平方メートルあたり6~8羽のゆったりとした平飼いを基本としています。さらに通常では75日の地鶏の基準をさらにのばし、110~114日間大切に肥育して、出荷を行っています。優しく声をかけ、大切に育てる姿はまさに子育てそのもの。
地鶏ならではのしっかりとした肉質と味が、川俣町・福島市の飲食店のほか、東京の親子丼の銘店「玉ひで」や、フランス料理店などから定評があります。
川俣シャモの年に一度のお祭り「川俣シャモまつり」
2010年1月、福島で有志により「世界焼き鳥党」が設立され、福島から世界へ焼き鳥文化を発信しました。そのときに世界一の長い焼き鳥への挑戦をし13.50メートルという記録を樹立し世界一となりました(その後埼玉県東山市の25.55mに惜敗)。焼き鳥の串となる長い竹が見つかりにくくなったため、現在では「世界一長い川俣シャモの丸焼き」に挑戦してます。
2019年8月31日・9月1日に行われた「川俣シャモまつり」では、106羽・63.6メートルの丸取りを焼き上げました。全国から集まった「丸焼き戦士」たちがおそろいのTシャツを着てみんなで長い鉄串を回して焼く姿は圧巻でした。この川俣シャモ祭りは町外からの集客と町のPRも担っています。春には、川俣町だけではなく福島市の四季の里でも川俣シャモまつりを開催し、春と秋に楽しめるイベントとなっています。
この記事は、「あづまっぺ。お米を食べる通信」2019.11号から引用しました
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