少年達の秘密基地(童心・短編小説)
『秘密基地に集合だ!』
学校帰り、校門でみんなに確認すると、僕は全速力で家まで走った。
ランドセルを勉強机に置くと踵をかえして基地に向かう。
僕達の秘密基地は学区西側の崖の中腹にあった。
セメントで覆われた崖の中腹には2mほどの平坦な部分があり、そこに拾ってきた丸太や竹、ボロ切れやビニール袋で基地建物が作られていた。
秘密メンバーは全部で5人。
僕達は崖下に着くと道路から柵を乗り越え、セメントの急斜面を四つん這いで登る。
崖の途中とはいえ、そこからの眺めはなかなかだった。
崖の平坦面まで登ると僕達は足を投げ出し並んで座る。
足下には民家の屋根が続き、小さな町だが遠くまでよく見渡せた。
何故ここ(基地)に集まったか、、それは地球外知的生命体、未確認飛行物体UFOを見つける為なのだ。
それぞれ一人一人バイブルがあった。
《世界の七不思議》だったり《アンドロメダ宇宙人》だったり《UFO地底人》だった。
本を片手にみんなそれぞれオヤツのお菓子を取り出し、袋を開けて食べだす。
オヤツを食べながらも視線は空を仰ぎ、瞬きを我慢して監視した。
『みんな、呪文はいいか!』
リーダー格の一言でみんな、、
『ベントラベントラスペースピプル』
声を揃えて唱えだした。
『ベントラベントラスペースピプル』
『ベントラベントラスペースピプル』
『ベントラベントラスペースピプル』
僕達は瞬きしない。
空を、空を、動く物体を、
みんなで必死に探し続けていた。