知恵地獄(短編小説)
おまえは【この世界】で悪いことをしてしまった。
たとえそれが意図した事と違っても、多くの人達を不幸にしてしまった。
その為君には【知恵地獄】に落ちてもらう。
浄玻璃鏡を見ながら閻王が囁いた。
知らなくてもいい事を知り、必要以上に知識をつけてしまう、そんな地獄だ。
いらぬ知識で今を心配し、不要な知識で未来が心配になる。
そして彼は司録と司命に案内されて知恵地獄の門をくぐって行った。
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《おぎゃぁっ おぎゃぁっ おぎゃぁっ おぎゃぁっ》
『奥さん、産まれましたよ!元気な男の子です。』