ババ抜きのババに任命します(短編小説)
『山口内閣は退陣しろ〜』『山口内閣は説明責任を果たせ〜』何やら朝から外が騒がしい。
ここは2038年の日の本の国。
裁判員制度の成功にて、色々な官職が民間人にランダムに宛てがわれていた。
そんな中に《内閣総理大臣》職もあり、《内閣総理大臣》になった者は自分の考えで政策決定、政策実行が出来る権限が与えられた。
70歳を超えると《スーパー銭湯フリー権》が与えられ《高齢者医療費》の大幅縮小を達成した制度などが、今にも残るこの制度の成果だ。
内閣総理大臣制度が出来た最初のうちは【夢】を具現化する者や【権力】を振り回す者、【金】儲けに励む者などがいた。
身内の会社に仕事を大量に回す者、好きな女の子を振り向かせる為に権力を利用する者、嫌いな者を権力を利用して凋落させる者。
しかし半年の総理大臣任期期間が終了すると共にそれらの者、、いや、、全ての総理大臣経験者がマスコミに叩かれ、汚職捜査、税務調査されて《内閣総理大臣》は完全に【ババ抜きのババ】状態に成り果てていた。
そして私(山口)は今日から《内閣総理大臣》。
外のデモ隊の喧騒を聞きながら、【初】登庁に向けての準備をせっせせっせと行っていた。