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#詩のようなもの

午後3時の物語(童心・詩のようなもの)

午後3時の物語(童心・詩のようなもの)

初夏、照りつける太陽。

田んぼも水が温んで黒い小さなものが泳ぎ回る。

泥にくねくねと模様を描く三角を避けて、黒いものはくねくね泳ぐ。

バシャッ

《入ってない、、》

バシャッ

《入ってない、、》

僕達のチャレンジは挫けず続く。

バシャッ

《ん、?、、や、、》

黒い泥に蠢く姿。

《やった〜》

潰さず掴んで水で洗う。

『やった〜足付きの獲ったぞ〜』

バケツの中を覗きに来る頭、

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ダイヤモンド爆誕(詩のようなもの)

ダイヤモンド爆誕(詩のようなもの)

ギュウギュウ詰めの暗い世界、、

ゆっくりゆっくり移動して、、

浮いたり潜ったり流れたり、、

硬い身体がギシギシ唸る。

『えっ?』

『動けるよ!!!』

『猛スピードで動けるよ!!!』

『超猛スピードで動けるよ!!!』

『おいらは70』『おいらは90』

『おいらはスピード100Km超え〜』

スピードを競う仲間たち。

『もっと早く!』『もっと早く!』

【遅いと黒くなっちゃうぞ!!

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初夏の歓声(童心・短編小説)

『そっちは準備いいか〜』

『いいよ〜』

僕はタモの柄を逆さまにして、、

手に持つ側を側溝に突っ込んでガチャガチャと動かした。

一歩一歩、先にいる友達に向かって、、

ゆっくりゆっくり道路を歩く。

でもタモの柄を動かす手は高速に、、

水は濁り、かき回され、小さな嵐が発生する。

嵐から逃れようと何かがきっと逃げ回っているだろう、、

一歩 一歩 一歩 一歩

友達との距離が5m 3m 2

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星に降る雪(詩的・短編小説)

星に降る雪(詩的・短編小説)

その星には水素の雪が降る。

空に見える赤い星から、、

真っ暗な宇宙の闇を乗り越えて、

星の表面には水素が積もる。

何年も 何十年も 何百年も 何千年も、

来る日も 来る日も 来る日も 来る日も、

1m 10m 100m 1000m 10000m〜

厚く 厚く 雪は積もる。

水素は水素に押し潰される。

ギュッと ギュッ〜と ギュッ〜〜と ギュッギュッギュッ〜と。

ある日潰れた水素

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博物館(短編小説)(詩のようなもの)

博物館(短編小説)(詩のようなもの)

『おお!8500万年ぶりの太陽だ。』

私が土砂に閉じ込められて以来に見る日の光だった。

長かった。

本当に長かった。

こんな日がまた来るとは、、半分諦めていたのだ。

しかし、、今は太陽とは違う光に照らされ、透き通った岩石に囲まれている。

私がいた頃には見かけなかった《奇妙な》生物が入れ替わり立ち替わり目の前に現れる。

これではまだ閉じ込められていた時の方がマシだ!

それに私には☆※

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伝えるもの(短編小説)(詩のようなもの)

伝えるもの(短編小説)(詩のようなもの)

『あなた達、この話を後世子孫代々に伝えるのです。』

それはそれは長い長い話だった。

私たちは文字を持たずバトンのように伝承した。

ある時は間違い、ある時は入れ替わり、ある時は内容が抜けたり加わったり、、

話は次へ次へ、子孫へ子孫へ伝わる。

内容はどんどんどんどん変わるけど、子孫子孫へ話は伝わる。

どんな手段を使っても、たとえ他の種族に迷惑をかけたとしても、、

話を伝える為、

後世に

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自由な世界(短編小説)(詩のようなもの)

自由な世界(短編小説)(詩のようなもの)

長かった。

ずっとずっと動けなかった。

6000年間 ずっと動けなかった。

6000年前、私は大地を移動し、水に漂い、空へ舞い上がった。

眼下に色々な景色を見た。

青い海、緑の大地、茶色の砂漠。

生き物の身体をくぐり抜け、地下に潜り、

大地を移動し、また空へ舞い上がった。

白い空、白い山々、私も白くなり、、

ゆっくりゆっくり舞い降りる。

周りは白い仲間たち。

仲間がどんどんど

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彼女は歩く、歩き続ける(短編小説)

彼女は歩く、歩き続ける(短編小説)

彼女は歩き続ける。

ずっとずっと歩き続けている。

どこに向かっているのか、、

足が痛くても疲れても、それがなにかの使命だったのか、それとも単なる慈善の心だったのかはわからない。

あまりにも長い時間が過ぎてしまった。

彼女はいつから歩いているのかすら忘れてしまったのだ。

なぜ歩いているのかなど覚えているはずもなく、

彼女が向かう先々は凍て付き轟々と風が吹き、

人影はまばらで人々は静か

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