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単位について

夏である。
夏といえば厄介なあいつがやってくる。
台風だ。
今まさに台風6号が猛威を振るっている。
台風の大きさはヘクトパスカルと風速で表記される。
風速は分かる。
瞬間風速65メートルで家屋が飛ぶ、と聞くと大丈夫?無事であってねーと思う。
風速は分かりやすい。
それに比べてヘクトパスカルである。
最初、その単位を見た時は、何よそれ?であった。
ヘクトパスカルとは大気の圧力、いわゆる気圧の大きさを表す単位である。
と、説明されても?であるが、私は理解している。
理解していても、数字が小さくなればなるほど脅威になるのが解せない。
へんなのー、といつも思う。(理解しているけど)
単位は、分かりやすい方が良いと思っている。
ヘクトパスカル表記はもちろん大事だけど、気取ってんじゃないよ。と、思う。
気圧を測る重さの単位だってニュートンだ。
1ニュートンは100グラムなんですよ。
だったら最初からグラムでいいじゃん!気取ってんじゃないよ。と、やっぱり思う。
別に気取ってはいないだろうけど、そう思うのである。
育った環境で馴染みの単位がある。
世界は広い。
お馴染みの単位を許してくれない国がある。
私はかつてアメリカの大地をレンタカーでドライブ旅をした事がある。
その際、戸惑ったのはマイルという単位だった。
長さ、速さの単位のお馴染みであるメートル、キロメートルは一切無視だ。
車の速度計、道路標識、マップすべてマイル表記だ。
ワンクッション頭の中で計算しないと。実際の距離とスピードが割り出せないのである。
あー面倒くせ!
そのうえ、初めての給油はセルフだわ、単位がガロンだわでストレス溜まるー!で、あった。
統一せーよ!支払いは円で払ったろかい!
と、心で思いながらもニコニコしながらドルで支払った。(通貨は仕方が無い)
ガソリンスタンドのおっちゃんは日本人の若者が珍しかったのか、コーラを奢ってくれた。
でもピザを買えといわれ、その種類のサイズも当然ながら単位はインチで、計算が面倒だから聞き取れないふりして替わりにポテトチップスを買って後にした。
その後、サラリーマンの宿命として始めたゴルフもヤードだし。
もうね、単位は統一してください、と心の中で何度も懇願する人生だった。
とはいえ、日本も単位でいうと相当頑固である。

とか

なんて、いまだに多用している。
こんな事があった。
留学生が着物を仕立てるので付き合った時のこと。
呉服屋さんが尺で話すので留学生が困った顔をして、尺って何インチ?と聞いてきた。
尺をセンチメートルに変換してインチに変換。
面倒くせーにも程があった。
ふと思った。
その国の単位を、別の国の基準の単位にすると必ず誤差が出る。
にも関わらず、その国の単位を使うのは、単位って、その国のアイデンティティーであり、プライドなんじゃないかって。
そうなってくると、台風同等に厄介だなぁ、と思うのである。
でもね、国ごとに表記は違えど、物を測る単位は重要である。
こんな事もあった。
子供の頃、夕食時に「おかわりー!」と茶碗を突き出すと、
母は決まって「どれくらい?」と聞き返す。
「お茶碗の半分くらいー」と答えても、自分の理想とする量では無かった。
母の半分と私の半分は違う。その事での小さな争いは日常茶飯事だった。
あの時「お母様、ご飯のおかわりは50グラムでお願いします」とキッチリ伝えれば母と争う事は無かったと思う。
うん。根本的に違うのは分かっている。
そんな事を言わなくて良かったと本当は思っている。
父の教えに杓子定規のような生き方をするな、と言われ育ったからだ。
柔軟に生きよう。
面倒くせーなんて本当は思ってはいない。
とにかく単位も台風も厄介だけど、
皆さまどうか、ご無事で。ご自愛ください。

アメリカで売っていたスパムの缶詰。どういう単位で買うのだろうか

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