チャンピオンズC過去5年を血統と共に振り返る
さて、12月1日はチャンピオンズカップです。
2月のフェブラリーステークスと並び、中央競馬で行われる2大GⅠの一つです。
それを今回は、過去5年の勝ち馬の血統と共に振り返り、分析していきたいと思います。
2019年 クリソベリル
レース映像
デビューからダートで重賞3連勝を含む5連勝中だった3歳馬クリソベリルが、1番人気ゴールドドリームとの接戦をクビ差凌いで勝利。この年のJRA賞最優秀ダートホースとなる。
血統構成
クリソベリルの父はゴールドアリュール。競走時代はダートGⅠ4勝を挙げ、種牡馬入り初年度からスマートファルコン、エスポワールシチー、オーロマイスターと、ダートGⅠ馬を輩出し、その後もダートを中心に産駒は大活躍した。
また、クリソベリルの全兄にはクリソライト(勝ち鞍:ジャパンダートダービー、ダイオライト記念、日本テレビ盃、コリアカップ)、半姉にマリアライト(父ディープインパクト、勝ち鞍:エリザベス女王杯、宝塚記念)がいる。
ダートの名種牡馬としての地位を築き上げたゴールドアリュール。活躍は既に孫世代へと移り、今年は母の父として東京ダービーをラムジェット、JBCレディスクラシックをアンモシエラが制している他、今年のチャンピオンズカップにもエスポワールシチー産駒のペイシャエス(勝ち鞍:ユニコーンステークス、名古屋グランプリ、エルムステークス)が出走している。
ペイシャエス、少し気になりますね・・・。
2020年 チュウワウィザード
レース映像
この年の1月に川崎記念で初GⅠ制覇を果たしたチュウワウィザードが、直線で差し切り、前年2着のゴールドドリームに2馬身半差を付けて勝利。この年のJRA賞最優秀ダートホースとなる。
血統構成
チュウワウィザードの父キングカメハメハは今年顕彰馬に選出されている。チャンピオンズカップの前身のジャパンカップダートを含めると、ベルシャザール、ホッコータルマエ、チュウワウィザード、そして後述のジュンライトボルトでこのレース4勝を挙げている。
ホッコータルマエ以外の3頭は全て母系にサンデーサイレンスの血が含まれており(ベルシャザール:母の父サンデーサイレンス、チュウワウィザード:母の父デュランダル、ジュンライトボルト:母の父スペシャルウィーク)、この配合は数多くの活躍馬を輩出してきた。
なお、今年のチャンピオンズカップにはキングカメハメハ産駒はペプチドナイル、スレイマン、グロリアムンディの3頭が出走するが、そのうちサンデーサイレンスの血が含まれているのはペプチドナイル(母の父マンハッタンカフェ)のみである。
今年のフェブラリーステークスの勝ち馬だし、前走の南部杯でもレモンポップに4分の3馬身まで詰め寄った。1ハロン伸びて逆転があっても不思議ではない。
2021年 テーオーケインズ
レース映像
この年帝王賞を勝利したテーオーケインズが直線で抜け出すと前年度の勝ち馬チュウワウィザードに6馬身差を付ける完勝。ジャパンカップダート時代のクロフネに次ぎ、チャンピオンズカップとしては最大着差として記録に残っている。
血統構成
父シニスターミニスターはエーピーインディ系統。日本でこの系統というと地方競馬を中心に活躍馬を輩出しているパイロ(父プルピット)がいるが、この馬も遜色ない活躍を見せている。GⅠ級だけでもテーオーケインズ以外にヤマニンアンプリメ(JBCレディスクラシック)、ドライスタウト(全日本2歳優駿)、キングズソード(JBCクラシック)、そして南関東三冠馬のミックファイアが出ている。
実は私、シニスターミニスターをずっとデピュティミニスター系統だとばかり思い込んでいましたが、デピュティミニスターは母系に入っているだけで、エーピーインディ系統と気付いたのはつい最近です・・・。血統知識のアップデート、必要ですね、ハイ。
今年のチャンピオンズカップ、ミックファイアがルメール鞍上で出走する。南関東三冠制覇以降、勝利を収めることができていないが、復活なるか。
2022年 ジュンライトボルト
レース映像
逃げ粘るクラウンプライドを差し切ったのは前走シリウスステークスを勝利し、これがGⅠ初挑戦となったジュンライトボルト。まさに馬名のごとく、稲妻のような末脚が炸裂した。
血統構成
父キングカメハメハについては前述の通り。せっかくなので母の父スペシャルウィークについても触れておこうと思う。この年は1着ジュンライトボルトの母の父がスペシャルウィーク、2着クラウンプライドの父の父がスペシャルウィークという、面白い結果となった。
スペシャルウィークというと、ブエナビスタやシーザリオといった、芝の活躍馬のイメージが強いが、ゴルトブリッツやローマンレジェンドといったダートGⅠ馬も輩出している。それを考えると、ジュンライトボルトの活躍も何ら不思議なことではない。
また、クラウンプライドは、母の父がキングカメハメハであり、父キングカメハメハと、母の父キングカメハメハのワンツーでもあったのも面白い。
クラウンプライドは今年も出走する。コリアカップを制して挑むローテーションは去年と同じ。去年は11着と見せ場なく終わってしまったが、今年は果たして。
2023年 レモンポップ
レース映像
マイルより長い距離を走ったことがなく、距離不安が囁かれていたレモンポップだったが、果敢にハナを切り、そのまま逃げ切ってしまった。結果としてフェブラリーステークスとチャンピオンズカップの同一年制覇を果たした。ジャパンカップダート時代を含めても、2000年ウイングアロー、2010年トランセンド、2017年ゴールドドリームの3頭しか達成していない偉業である。
血統構成
父レモンドロップキッドは、ダート12ハロンのベルモントステークスの勝ち馬でスタミナは十分あったということだろうか。また、母の母Harpiaは名種牡馬デインヒルの全妹である。デインヒル自身はマイルを中心に活躍したが、産駒は中距離以上での活躍も多い。スタミナの裏付けは十分あったということだろう。
今年もおそらく逃げるのだろうが、4分の3馬身差あったペプチドナイルとの差がどうなるかが見ものだ。