リファレンスチェックはなぜ増えているのか?経歴に嘘はダメ、絶対。
どうも覆面です。今日はリファレンスチェックについてです。
リファレンスチェック、バックグラウンドチェック、呼び方は様々ですが、つまり「その人のやってきたことが本当かどうか=ぶっちゃけ嘘をついてないかどうかを、企業が候補者に内定を出す前に、その方の現職とか前職の同僚や上司に確認する」ことですね。
昔からあるにはありましたし、直接電話をかけるパターンなどもありましたが、昨今はリファレンスチェック専門の代行サービスを利用している企業が多く、エージェントの立場で見ても導入している企業が爆増しています。
このリファレンスチェック、転職候補者目線での思いと、企業側での思いでそれぞれ異なりますし、また客観的に見ているエージェントだからわかることもあるため、今回はそれぞれの視点で書いていきたいと思います。
結論から言うと、今後も増えていくでしょうし、リファレンスチェックが当たり前になる世の中も近づいていると思っています。
(1)リファレンスチェックはなぜ実施されるのか
リファレンスチェックが増えた背景は「面接で嘘をついている方、職務経歴書や履歴書に嘘をついている方が増えている」ためです。
そして「保険のために企業が導入した物」がリファレンスチェックです。
先日もTwitterで「この経歴詐称の方うちにも応募が来た!」と言った投稿なども拝見しましたが、本当に増えています。
年収に嘘をつくだけならば源泉徴収票の提出を求めれば良いだけだったのですが、転職回数をごまかしたり、学歴自体に嘘をついたり、「どうせ分からないでしょ」ということでありもしない経歴で応募をしている方などが実際にいるため、企業も保険を掛けたくなったということですね。
つまりは、残念なことですが、これまでの転職希望者達が重ねてきた「嘘」の結果と言えなくもないです。
実際嘘をついている方は(私も基本はそんなことは無いと信じているため)全体の1%未満からもしれません。
でも被害に遭った企業としてはたった1回のことであっても対策として制度を導入するのは当然と言えます。
その結果「まだ被害に遭ってないけどうちも導入しよう」「お、ならビジネスになるな、代行サービスを始めよう」という需要と供給が重なり増えてきたのが現状のリファレンスチェックであると言えます。
※改めて言っておきますが、経歴に嘘をつくのは絶対にやめましょう。ダメ、絶対、です。誰も得をしません。
(2)転職希望者目線での本音、から見える企業担当へのアドバイス
ここからは「真面目に活動をしている転職希望者目線」での本音です。(嘘をついている不届きもの目線は無視します。)
通常の転職希望者は、そもそも
・退職交渉はまだしていない(現職には内緒で進めている)
・何社か並行で受けている
・現職での業務もあり、業務外で面接を受けているため忙しい
場合が多いです。離職中の方や事前に交渉をしている方もいらっしゃると思いますがあくまで一般論としてです。
そうなると、「正直リファレンスチェックは負荷が高いし邪魔」なものです。
「全く経歴に嘘はないから、面接で聞いてくれればなんでも答えるから、面倒だから辞めて」
と私が転職希望者でも思います。
でも、「え、リファレンスチェックが嫌だって言うことは何か後ろめたいことがあるってこと?」「何か隠しているってこと?」と企業に思われることが分かっているから嫌々仕方なく受けているのがリファレンスチェックです。
ここで企業側採用担当の方に忘れて欲しくないこととしては、「リファレンスチェックはやって当然!」という態度や目線はやめましょうということです。
正直候補者としてはかなり負荷ですし、「リファレンスチェックがあるならそこは後回しにしてこっちを受けます」という方も事実多いためです。
しかも「同僚1名と上司1名」などにお願いする場合が多いのがリファレンスチェックですが(企業によって違います)、今まで1社経験で同じ部署で働いていた人の場合、どうすればいいのでしょうか。
「え、転職については一切話していないのにここで上司に確認を入れるの?!まだ内定になるかもわからないのに退職することを言っちゃうの?!」となるかもしれません。
簡単に言えば「嘘をつかず真面目に今まで転職について誰にも言わずバレないように動いてきた方」が一番損をするのがリファレンスチェックなわけです。
リファレンスチェックを導入すると「本当に嘘をついてない真面目で良い方を他社に取られるリスクもある」ということを企業担当は把握した上で導入するようにしてほしいと思っています。
そして、例えば「上司じゃなく元上司でも良いし、いずれにしても上司確認は内定受諾後で良いから同僚だけ先にお願い」といった気遣いやフォローなども合わせて実施するようにした方が良い、というのが転職希望者目線での本音を踏まえた上での企業担当へのアドバイスにもなります。
(3)企業側目線での本音、から見える転職希望者へのアドバイス
今度は逆です。
企業としては「ちゃんとした経歴で、嘘のない経歴をありのまま話してほしい。そうであればうちとしてもこんな面倒なプロセスは導入したくない」のです。
例えば保険に加入するのも、セキュリティ製品を導入するのも、「事故を未然に防ぎたいから」ですし、その採用版がリファレンスチェックなわけです。
ですから転職希望者の皆さんに言えるアドバイスとしては「嘘をつくな」これにつきます。
一人の方が問題を起こすと全体に波及にするのがこの業界ですから、「私だけなら大丈夫」「1回やって大丈夫だったから今回も行ける」と思ってやると、社会全体に迷惑をかけます。
その前に「経歴詐称はもう犯罪」です。
この業界の浄化のためにも、経歴には嘘をつかないこと、隠さないこと。
そして「企業側もそうは言っても疑うのは分かるから、面倒だけど行きたいと思える企業なら受けてやるか」という「リファレンスチェックはあって当然」ともはや諦めて受けましょうというのが、企業側目線での本音を踏まえた上での、転職希望者へのアドバイスです。
(4)エージェントとしての本音
正直エージェントとしてもリファレンスチェックは面倒です。
「あ、ここもリファレンスチェックを導入してきたか、また調整が面倒になるな」
「リファレンスチェックで離脱する転職希望者多いんだよな。。やめてくれよ」
「リファレンスチェックのせいで選考が遅れるから、急いでいるこの人には紹介するのを辞めようかな」
と思うことすらあります。
ていうか思います。
でも今後は「リファレンスチェックは当たり前になるんだろうな」、と合わせて思っていますし、ある種諦めています。
ゼロトラストという言葉を昨今よく聞きますが(きっと定義は異なりますが)、誰も初見では人を完全に信じられないのも当然ですよね。
疑ってかかった方が、やるだけやった方が安心と言えるのもよくわかります。
が、一点だけ懸念があるとすると、リファレンスチェックも「良いことを書いてくれる人に任せればいいや」という人や、「リファレンスチェックすり抜け方法」みたいなものも出回って来るんだろうなというのも思っています。
全てはいたちごっこと言えますが、だからこそ先述したように「嘘をつかない」「面倒をかけるのを当たり前と思わない」というのを転職希望者も企業側も心に留めておくという、人としての当たり前の行動をするべきという所に戻るのだろう、と思っています。
正常な業界になって欲しいという一心で、今回はリファレンスチェックについて書かせて頂きました。
また業界裏話なども書いて行ければと思っていますので、よろしければ「スキ」やフォローを頂けると嬉しいです。覆面でした。