新しい生活⑧

私は普通の専業主婦に戻った。でも、普通とはちょっと違ったのは、私の鬱病が再発し始めたから。
彼との別れと、慣れない嫁ぎ先と実家の往復、馴染めない家族と、私は疲れ始めていた。
どんなに頑張ってもスーパーには行けないし、料理も出来なくなってしまった。
料理はかなり労力を使うから、直ぐに疲れてしまうのだ。ぐったりしてしまう。
本当に申し訳ないと思う。
でも私には、息子が居てくれる。
息子がかけがえのない、大切な宝物だった。
私はこの子の事を、もう少しで大きな心の傷をつける所だった。
あの時、引き返して良かったのだ。
例え家事が全部出来なくても、私は息子の傍に居られたらそれだけで充分だった。
元気が無くなっていく私を、唯一慰めてくれたのは、息子の笑顔だった。
私の膝の上に座って、「お母さん、お母さん。」と、呼んでくれる。
こんな出来損ないだけど、「お母さん」って、呼んでくれるんだね。
「お母さん」って呼んでくれるのは、たった１人。あなだけ。
それだけが、私の心の支えになっていた。
つづく