精神科入院⑪

主治医から、外泊許可がおりた。最初なので２泊３日で外泊することになった。そして、徐々に外泊期間を伸ばして、退院後も生活しやすいように慣らして行こうと言うことになった。
外泊するのは、今回が初めてだった。
私は嬉しかった。息子に会えることが一番嬉しかった。息子には特別な思いがある。私が思い出した記憶の中に、息子が幻となって、私を助けに来たからだ。息子のお陰で私は救われたと、今でも思っている。
外泊する日が来て、私は母に迎えに来て貰い、実家に泊まることになった。そして、息子に再会した。夫は何回か病院に面会に来てるので、面識はある。息子は最初は照れ臭そうにしていたが、そのうち、噺をしてくれるようになった。まだ打ち解けるには時間はかかるかもしれない。私にとってはまるで記憶がなくて、いきなり4歳の母親になったので、戸惑いは隠せなかった。こういう時ってどうしたらいいんだろう。
実家の母は「無理に母親になろうとしなくていい。」
と、言ってくれた。遊び相手でも何でもいい。息子と一緒に過ごせたら、それだけで充分だとそう思うことにした。つづく