レポート「まちの桜守サークル」
皆さんこんにちは!ふくまち大学ライターのDaiと申します。2023年9月10日に開催されました「まちの桜守サークル」のレポートをお届けします!
そもそも「桜守(さくらもり)」ってなあに?
「ふくい桜守の会」について
福井市の中心を流れる足羽川の約600本の桜並木。
桜の名所100選にも選ばれ、例年春の「ふくい桜まつり」は多くの花見客でにぎわいます。この桜が実は樹齢70年を超え、寿命を迎えつつあることはご存じでしょうか。
この桜並木を次世代に受け継ぐために活動を続けるのが「ふくい桜守の会」の皆さんです。
本日はふくまち大学の”せんせい”として、福井市役所職員の野村恒太さんと、樹木医の今井三千穂さんにお越しいただきました。
前半は座学で桜について学びます
本日の会場は福井市中央にあるクラフトブリッジ。足羽川のすぐ近くに立地しています。
参加者は年代も様々で、親子連れもいらっしゃいます。ふくまち大学では参加者同士の交流も大切にしているため、まずは簡単な自己紹介をしてから、講座がスタートします。
○足羽川の桜はいつ、どんなきっかけで植えられたの?
足羽川の桜は、昭和27年の福井復興博覧会を機に約1,300本の桜を植えたことが始まりで、そのうち500本が足羽川の堤防に植えられたそうです。
日本のさくら名所100選にも選ばれ、ひろく市民に親しまれてきました。
○桜の保全と河川防災の問題
しかし、平成16年の福井豪雨で足羽川堤防が決壊。桜並木そのものの被害は多くなかったものの、「堤防強化」が大きな問題になり、福井県や福井市、沿線住民などが何度も協議を重ね、官民が協力し合って桜堤を維持管理する今の体制になりました。
○伐採した桜の活用
樹齢70年の古木については、適切に維持管理しながら、枯れた場合にはその場所に新しい桜を植えることはしない。
その代わりに、堤防の道路側の面(植えても堤防の機能に問題の無い部分)に新しく桜を植えることで桜並木を保全することにしました。
また、部分的に桜の古木を伐採しましたが、樹木医でもある今井先生の指導により、それらの桜は県内への移植に成功しているそうです。
○新しい桜の植樹と管理
これまで足羽川の桜はソメイヨシノでした。しかし、福井豪雨後に新たに植えた桜は24種類。その中でもジンダイアケボノ、ヨウシュン、コマツオトメは病害虫に強く、ソメイヨシノの後継種と言われているそうです。
植桜の管理として、代表的なものに以下の作業があります。
・イラガ繭の駆除
・選定枝の木口防腐処理
・コフキタケの駆除
・成長の測定
○古木桜の衰退と再生事業
ここ数年で、樹齢70年になったソメイヨシノは衰退が見られるそうです。
そこで、ふくい桜守の会では、平成31年から4年間にわたって衰退した桜の再生を目的に、強剪定による再生実証実験を実施しました。
強剪定とは、幹が衰退する前に、比較的太い枝を見極めて切り落とし、幹・枝の樹勢を萌芽成長に回す処置です。
資料で見せていただきましたが、切り落とした枝から若い枝が伸び、花をつけて葉も生い茂ってくる様子がよく分かります。
後半はフィールドワーク!桜の木を見に行こう
みんなで歩いて足羽川の堤防へ
後半はクラフトブリッジから徒歩5分の足羽川の堤防へ移動します。
足羽川の左岸にある桜並木に向かいます。
枝の剪定作業を見学
今井せんせいが一本の桜の古木を例に、桜の幹の中は空洞になってしまっていることなどを説明してくれました。根から水分を吸い上げる力を保つには枝の剪定が必要です。
桜の枝を切り落としたら、必ず専用の薬剤で養生する必要があります。剪定作業をする場合は、専門家の指導の下で行いましょう。
桜の幹に生えているコフキタケを駆除する様子も見せてもらいました。もう少し深く、幹まで削り取るのが理想だそうです。
コフキタケが生えてしまった桜の木は、幹の内部まで菌が浸食しているそうです。しかし、胞子が飛んで周りの木に被害を広げないためにも駆除が必要です。
足羽川の桜並木を維持していくには「桜守活動」が不可欠!
現在の古木桜を放置することなく、再生させることで長期にわたって観光資源である美しい「桜のトンネル」を維持することができます。また新しく植栽した桜についても、同様に維持管理をしていく必要があります。
私たちの見慣れた足羽川の桜並木は、こうした地道な桜守活動によって維持されているという事が分かりました。
これからは桜の花の時期だけでなく、一年を通して足羽川桜並木の様子に注意して暮らしていきたいと思います。
桜の木の維持管理について教えて欲しいという方や、ふくい桜守の会の活動についてはこちらへお問い合わせください。
今後もふくまち大学では様々な講座を開催します。
みなさまのご参加をお待ちしています!
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