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#七転八倒録「伝言」
最近、広告代理店で働いていて一つ分かったことがある。
「伝言」が上手な人は組織に向いている、ということだ。
広告代理店に限らず、組織で働く以上、「伝言」は全ての仕事にとって必要だ。報連相!
伝言ゲームのように、単発でタイマンだったら分かりやすい。
しかし職場では、上司・同期・クライアント…あらゆる方向から伝言がある。
しかも口頭・電話・メール…と手段もバラバラだ。そして、内容も伝える先も多岐に渡る。伝言ゲームHARDモードである。
これを全て正確に伝えるというのは、基本的な仕事ながら簡単なものとは言えない。少なくとも私からすると。
職場では「伝える」ということの難しさを痛感することばかりだ。
ということで今回は、私が新人の定番業務「電話取次」で清々しいほどに七転八倒した時の記録と、そこから学んだ「伝言において大事な4つの要素 AIEC」について書き残してみたい。AIECはPDCA的な造語です。
思い返すと恥ずかしいけれど、あの時はアレでも本当に一所懸命な時期だった。入社して1ヶ月経ち、雑用に追われていた某日。
ひたすらExcelにリストを入力する作業をしていると、デスクの固定電話が鳴り響いた。
上司宛の電話が鳴っていたのだ。しかし上司は不在。
この時点で「いつもの電話取次とは何か質が違うぞ…」とは思っていたのだが、フロアにいる新人は私のみ。
部長からは「全ての電話が1億円の発注だと思って3コール以内に出ろ」と申し付けられている。
いったれ!と思い、電話に出る。「株式会社〇〇の××と申します。アイ(ザワ)様いらっしゃいますでしょうか?」
なんと、上司宛ではなかった。ちなみに名前は仮名である。不思議に思いながら部内のアイザワさん宛に取りつごうとするが、アイザワさんはフロアに不在。
書き置きをしていると、アイザワさんが戻ってきた。メモを元に内容を伝えると…「俺、そんな会社も人も知らないぞ?」「え!?」
どういうことだ…?同じフロアにはアイザワさんは一人しかいない。アイザワさんには何回も取り次いでいるが、こんなことは初めてだった。
「本当にそれ、俺宛だったか?」
「すいません…ちょっと、確認してみます。」
電話に録音機能はない。必死に記憶を探る。そういえば、アイザワさんの(ザワ)のところだけボヤっとしてた気がするな…。もしかして…?
と思い、社内の名簿リストをチェックする。すると、支社に「アイダ」さんが!
これ、アイザワさんじゃなくてアイダさん宛なのでは!?!?そんな仮説を元に、恐る恐る初めて支社に電話をかけてみる。これでハズレだったら空回りこの上ない。
そんなことを考えているうちに、アイザワさんが周りにさっきの件を周囲に相談している。新人を助けようとしてか、新人による謎の電話取次事件はみるみるうちにフロアに広がっていく。ひえ〜!申し訳ない〜!
とりあえず、アイザワさんに「アイダさん宛かもしれないです!私から確認してみます!」と連絡してザワザワするフロアの鎮火を謀る。
何となくフロアからの注目が集まる中、アイダさん宛に電話をかける。プルルル…プルルル…頼む〜アイダさん宛であってくれ〜!!
「アイダさん、お疲れ様です。新人の山吹です。〇〇株式会社の××さんからアイダさん宛にお電話があったのですが…」
「…?私は知らないぞ…」
OH MY GOD
ガッツリ頭を抱えた。こんなことなら、常務の電話なんて出るんじゃなかった…。謎すぎる…詰んだ…。
と意気消沈していた、その時!
上司が出先から戻ってきた。普段はなかなか話しかけられない上司だけれど、もうこの際、正直に起こったことを話す他ない!
「すいません上司。先程、常務宛のお電話に取り次いだのですが…不明な点がございまして…。〇〇株式会社の××様からなのですが…」
「ああ!〇〇株式会社の××様ね!この前初めてお会いして、今度のプロジェクトの件で支社のアイダを紹介したんだよ。だから、その件でアイダに取り次いでもらえればOK!」
CONGRATULATION…!
常務の返答が、私を安心で包み込んだ。その声が響いていたフロアにも心做しか安堵感が立ち込めた(ように感じた)。合点承知、そういうことだったのか。
新人×新規×聞き間違えがもたらした電話取次の七転八倒。この後、アイダさんに事情を説明して〇〇株式会社の××さんとの間を取り持つことが出来た。
広告代理店では、今回のようなことは少なくない。電話取次の一つ二つがこじれにこじれていくことも、無くはないのだ。
でも、そんな「こじれ」は出来るだけない方がいい。という訳で、今回の件から学んだ「伝言」における大事な要素を4つ挙げてみた。
①相手の情報を取り入れる「姿勢」
まずは、相手の情報に耳を傾けて、メモを取って分からなかったら聞き返す「姿勢」が大切だ。インプットが十分でないと、それ以上のアウトプットはできない。
②取り入れた情報の正確な「解釈」
取り入れた情報には、事実だけでなくニュアンスも含まれている。相手との関係がフランクなのか畏まっているのかで、関係性も捉えることが出来る。勝手な思い込みをせず、正確な「解釈」をするのは大事だ。
③漏れがなく伝わりやすい「表現」
ここからはアウトプット。正しい「姿勢」で正しく「解釈」した情報を、漏れや誤字脱字がないように伝えること。しかも、文脈として分かりやすくシンプルでないと相手にとってストレスになってしまう。5W1Hみたいなフレームワークに落とし込むのも有効だと思う。
④正しく情報共有されているかの「確認」
どれだけ気をつけていても、聞き間違いや伝え漏れは起こってしまう。人間だもの。だから、伝言を受け取る側も発信する側も、内容が正しく相手と共有されているかの「確認」ができれば安心だ。
今回、私が挙げた、伝言において大事な4項目をPDCA的にまとめるたところ…
姿勢:Attitude
解釈:Interpretation
表現:Expression
確認:Check
AIECになった。語呂が良いのか悪いのかは微妙だけれど、思い出すのに便利だから一応置いておこう。
という訳で、このAIECを意識しながら、より質の高い「伝言」が出来るようになりたいなぁ、という七転八倒録でした。
ちなみに今回の例は電話取次だったけれど、口頭でもメールでもそう。
メールだったら資料を添付し忘れないよう文を書く前に添付しておくとか、口頭でもちゃんと正式な社名で伝えるとか、ちょっとした工夫で「伝言」の質は上がるということなのだ。
また機会があれば、「伝言」についての考察や工夫を書いていきたいと思う。未だに私としては苦手意識があるので…。伝言、奥が深い!
現場からは以上です。
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