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【薬がない!?】医薬品の供給制限がやばい/薬剤師から見た現状と対策
📚目次📚
供給制限の現状・影響
供給制限の原因
具体的な供給制限薬剤
病院への影響
対策
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1. 供給制限の現状・影響
現在、医療界は薬の供給制限に直面しています。これは患者、医療機関、そして医薬品メーカーに広範な影響を与えています。この問題は、特定の薬剤が入手困難となり、治療計画に支障をきたしていることです。コロナの影響や製造・物流、医薬品メーカーの不正問題、物価高の問題が複合的に結びつき、医薬品供給が逼迫している状況が続いています。
供給制限の影響は患者にとっても深刻であり、治療の遅延や適切な治療が行えないことが懸念されています。また、病院や医療機関では、薬剤の不足により治療計画が変更され、医療スタッフは予測不能な状況に対応しなければなりません。これが医療体制全体に及ぼす影響は計り知れません。
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2. 供給制限の原因
供給制限の背後には様々な要因が絡んでいます。きっかけとなったのは2020年に一部の製薬会社の不適切な製造や品質管理の不正が発覚したことです。これにより他の多くの製薬企業にも立ち入り検査などにより問題が発覚しました。そして製薬会社の業務停止・改善命令により多くの医薬品が製造中止や出荷調整となりました。
さらにコロナによる原材料の調達困難や物価高なども影響しているようです。
また同じ医薬品でもジェネリックなどで多数製薬企業が販売していますが、1つの製薬企業が販売中止になると他の製薬企業に注文が集中し出荷調整となっているとのことです。
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3. 具体的な供給制限薬剤
現在、供給制限が深刻化している薬剤にはいくつかのカテゴリがあります。抗生物質、去痰剤・鎮咳薬、軟膏、ビタミン製剤など特定の薬剤がその代表例です。
あくまで一例ですが、
・オーグメンチン(抗菌薬)
・カルボシステイン(去痰剤)
・メジコン(鎮咳薬)
・ビタメジン(ビタミン製剤)
・亜鉛化軟膏(軟膏)
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4. 病院への影響
医療機関において供給制限は深刻な問題となっています。
影響としては以下の2つがあります。
1.患者の健康状態への影響
2.医療スタッフへの負担に対する影響
まず患者への影響ですが、薬剤が供給制限で使用できない場合、代替できるものは変更しますが、代替薬がないものもあります。代替薬がない場合想定していた手術ができない、想定した治療ができないことにより本来得られていた治療が受けれなくなります。
また代替薬があったとしてもベストの選択ではないため、効果が劣る場合や、思わぬ副作用で生じることがありえます。
続いて医療スタッフへの負担です。これは病院に限らず調剤薬局も同様ですが、いままでただ調剤すればよかったものが、薬剤がない場合に医師への代替薬の変更提案をする必要があります。また薬品の在庫確保に対しての対応をが必要です。この負担は普段の業務への影響がかなり大きく、現在薬剤師はその影響をかなり感じているのではないでしょうか。
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5. 対策
このかつてない医薬品の供給制限はまだ終わりが見えません。そのため今後も継続した対応が必要となります。
今回は病院薬剤師としてできる対策にフォーカスしますが、できることとしては医薬品の適正使用の推進です。
当院での事例ですが、現在供給制限となっている薬品の適正とは思えない使用があります。
例えば、美容目的のビタミン剤内服。不必要な去痰剤・抗菌薬の長期使用、必要の低い患者へのとりあえずの処方。などなど今まで在庫があれば見逃していた処方に対して医師への積極的な相談対応が必要です。
またDI担当者など在庫の責任者が在庫状況を適切に把握し、対策の提案や、対応の責任者の任命が必要と思います。
そして一部の医療機関による買い占め等を行わずできる限り広く、必要とする患者が使用できるようにすることが大切と考えます。
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