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TPN(中心静脈栄養) 意外と知らないこんなことやっていた! 病院薬剤師業務💉 ②
今回はTPNで薬剤師が行っている業務を紹介していきます。
1.準備
まずTPNの準備は材料を集めることです。TPNの患者は1人ではないのでまとめてブドウ糖液や、アミノ酸輸液、ビタミン、ミネラル、電解質、その他集めます。
次に集めたものが間違いなければ、集めたものを消毒用アルコールで消毒し、パスボックスに入れます。パスボックスとは無菌室に点滴を入れる際、直接入れるとどこで菌が付くかわからないですよね。なので無菌室と外の間に両側から空けられる空間があり、そこに入れて、無菌室から取り出します。このパスボックスは紫外光が照射でき、紫外線でも消毒できます。
雑な絵ですいません💦
こんな感じです。
それが入れ終わったら、中に入りますが、このまま直接入ったら自分が中にばい菌を持ち込んでしまいますよね。
そこで次の操作に移ります。
2.手指の消毒
そのまま無菌室に入ると自分に菌がついているので、無菌室に入る前にもう一つ部屋があります。
この部屋ですることは・・・
1.ガウンを着る
2.マスクをする
3.キャップをする
4.手を洗う
5.消毒
6.中に入る
大きく分けるとこのステップがあります。
細かく説明していきます。
まず1.2.3のガウン、マスク、キャップは中に菌を持ち込まないようにするために必須ですね。基本的には安価のディスポ―ザブル(使い捨て)です。
イメージはこんな感じです。
(※手袋はまだつけていません)
次に手を洗います。手は肘まで石鹸で洗います。手洗いの仕方は施設によって異なると思います。
私の在籍する薬剤部では全部で3回手を洗います。
まず手から肘まで片方の手を洗います。一度流したら、今度は逆の手を手から肘まで洗います。最後に手のひらを念入りに洗います。
結構疲れます。また水で流すときも、手指は特にきれいにしたいので、手は上に向けて下に洗い流すようにします。
ここで1回しっかりと手を拭きます。
次は消毒です。消毒液で消毒するのですが私の在籍する薬剤部では全部で4回消毒します。
1回目は大雑把に指から肘まで全体を消毒。2回目は片方の手を消毒、3回目は逆の手、4回目は手、指を消毒します。
自分でも思いますが、本当に念入りですよね。自分も初めてやるときはびっくりしました。施設ごとにやり方も違いますがここまでやっている病院は少ないのかも・・・??
さて、手を洗い消毒しました。
次の行動は正しいでしょうか?
「 手でドアを開けて無菌室に入る 」
さぁどうでしょうか、他に何するんだ? という方はまだ無菌の大切さが伝わっていないかもしれません。ちなみに自分は初めの時これをやって先輩にとても怒られました🤣
なんだかわかりましたか?
そうです。扉を手で開けたらせっかく手を綺麗にしたのに無駄になってしまいますよね。基本的にここからは何も手で触れたくないのですから。
自動ドアの施設があったらごめんなさい💦
そうなんです。じゃあどうやって開けてるんだよと思われる方もいるでしょうが、私の施設では腰(背中)でドアノブをひねって開けています。(うまく伝わらなかったらごめんなさい🙇)
これでようやくTPNの混注ができます。
手洗い・消毒はかなりするので手は荒れやすいです。なのでTPNは当番制で週1・2回くらいになっています。
3.混注
それでは早速混注に入ります。まず混注は2人体制で行います。これは点滴を混ぜると、その中に何が入っているか後々確認が非常に難しいからです。なので点滴を混ぜる前にすべての材料を集めて確認、中途半端な量(200mlから100ml抜いて混ぜる)などの場合は互いに確認するためです。
まず無菌室に入ったら手袋を着けます。
この手袋も外側はきれいにしておきたいので触れないつけ方で付けます。
※説明し忘れていましたが、無菌室に入る前にクリーンベンチの消毒・清掃と、手袋の用意はしておきます。消毒の際は消毒綿で拭き、紫外灯で数分消毒します。
手袋を着けたら、パスボックスから点滴を取り出し、改めて中でも消毒綿で拭きます。拭き終わったものはクリーンベンチの中に入れていきます。
そこから混注を始めます。
先ほども説明したように、必要な点滴を集め確認後、混注していきます。
ここで問題です。
以下の点滴があります。ブドウ糖液30%の袋にすべて混ぜる場合、あなたはブドウ糖液に何回針を刺しますか?
ブドウ糖液30% 500mL 1KT
アミノ酸輸液 200mL 1KT
ビタミン剤 1V (溶解が必要です)
ビタミンCアンプル2mL 1A
使える医療器具は、針、5~50mLのシリンジ、連結管
もしこれで3~4回と答えたら大間違いです。 正解は1回です。
この操作も薬剤師の腕の見せ所なのですが、できる限り詰める点滴の針を刺す回数は減らしたいですよね。なぜなら菌が混ざるリスクが上がるからです。
なのでブドウ糖液から液を取って(1回)、ビタミン剤を溶かしてそれをブドウ糖液に戻す(2回)、さらにビタミンCを取ってブドウ糖液に入れる(3回)、アミノ酸輸液を連結管で混ぜる(4回)は最低の操作です。薬剤師失格です。
正解はアミノ酸輸液から液を取ってアミノ酸輸液に混ぜる。ビタミンCから液を取ってアミノ酸輸液に混ぜる。そのアミノ酸輸液を連結管でブドウ糖液に混ぜる(1回)で綺麗に終わりますよね。
※ビタミンCでビタミン剤を溶かす、もしくはビタミン剤と一緒にとってアミノ酸輸液に入れる方法もあり、そちらの方が全体の針を刺す回数が少ないのですが、ビタミン剤が分解するなど賛否両論のため今回はそこまでしていません。
もちろんやり方はいろいろあり、オーダーの種類でもやり方はいろいろありますが、針を刺す回数を減らす(感染リスクを下げる)ことが大切ですということです。
もちろん混ぜ終わった後はコアリング(注射針挿入部位のゴム片が混入していないか)確認します。
すべて詰め終わったらパスボックスに入れ外から出して終わりです。
終わった後はクリーンベンチの掃除や物品の補充を忘れてはいけません。
いかがだったでしょうか。本当に消毒や手洗いを徹底しているんだなと思っていただければそれだけで幸いです。
実習生さんもよく来ますがよく苦労されています。針を手にさしてしまう実習生さんもいますしね。あとは抜いた液をこぼしたりして大惨事になったことも。
自分はないですが、昔点滴が1つ余ってすべて作り直しになったこともあるとか。
病院薬剤師にとって大切な業務です。大変で時間もかかります。誰にも見られないので割と知られていない業務ですが少しでも皆さんに知っていただければ幸いです。
ではまた!
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次回「 抗がん剤 」
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