吉見町臨時議会が開催され、吉見町給食センターの調理と運搬が民間企業へ委託されることに。
12月18日午前9時に吉見町臨時議会が開かれ、同8日本会議において修正動議が提出されていた「吉見町給食センター運営事業に係る債務負担行為補正」が再度、議論されました。
先の本会議では複数の補正予算案がひとつに束ねて提出されていたため、複数あるなかから「吉見町給食センター運営事業に係る債務負担行為補正」を除いて議論すべしという議員の声が上がり、町執行部に再考を促していたところでしたが、町長による異議と再議要請が議長に提出されたことを受け、臨時で議会を招集し、この件が再度議論されることになりました。
議題は議案第73号「令和5年度吉見町一般会計 補正予算(第5号)」に対する再議のみ、です。開会してすぐ宮﨑町長が今回再議に付した理由を述べました。下記はその際に読まれた文書です。
この後、本議会は休憩に入り、議長はじめ議員全員が会議室において全員協議会を公開で開き、質疑の流れ、討論の流れ、採決の流れを議会事務局の説明を受けながら確認したうえで、本会議が再開されました。
まずは質疑です。
わたしは「給食の調理と運搬を民間委託したとしても、価格がかえって高騰したりサービスが低下するなどして、再度公営に戻した自治体が他にあるが、町の受け止めを」と質しました。
これに対して事業全体を管理する教育総務課(教育委員会)は、「そういった自治体があることは承知している。調査研究する」と課長が答弁しました。
続いて「委託する理由で町長が述べた人材の確保、労務管理などの面を含め、委託後に改善されたかどうか全体を精査し、資料を給食委員会や議会に公開するか」と質したところ、「そのように対応する」と回答しました。
他にも複数の議員が質問しました。1月末に町内全戸配布予定の『よしみぎかい(議会だより)』で詳述します。
続いて討論です。複数の議員が賛成の立場、反対の立場でそれぞれ論拠と主張を明確にしつつ発言しました。わたしの意見は以下です。原文そのままです。
議長の許可を得ましたので、原案に賛成の立場から討論に参加します。無所属の福井学です。
政府が進める行政改革により、公共サービスを民間へ開放する流れが続いています。しかし、公共サービスがかつて提供していた水準から下がったのではないかと疑われる事例が全国的に見られており、本議案にともなって吉見町にそういった事態が起きないよう、議会はチェックが必要です。
本議案による民間委託にともなって、給食における自治体が負うべき責任が軽くなるわけではありません。『学校給食法』では、給食を教育の一環と位置づけ、自治体など学校設置者が給食の運営に責任を持つと明示されており、それは委託後も同じです。しかし、昭和56年に国が設置した「第二次臨時行政調査会」が民間活力の導入を推し進め、さらに昭和60年に旧文部省は「学校給食業務の運営の合理化」を通達し、これまでの姿勢を一転、給食の民間委託推進を打ち出しました。さらに平成15年に文部科学省スポーツ青年局学校健康教育課長から各都道府県教育委員会へ宛て、学校給食の運営合理化を求める事務連絡が出され、合理化を国は重ねて要請しています。
吉見町ではこれまで、児童生徒の健全な育成と地域社会の食生活の形成に、給食の公設公営が最も効果的として、対応をこれまで変えずにきましたが、変化が求められています。今後も他の自治体で民間委託への流れは強まると予想され、町として今回は重い決断に至ったと認識しています。
また、『食育基本法』に基づき町は食育推進につとめており、その姿勢は民間委託後も変わりません。家庭では親の共働きが増えたこと、冷凍食品や時間短縮を目的とした調理方法が一般的になり、家庭での食育推進は困難になってきており、学校給食を中心に食育を推進する重要性は今後さらに高まります。給食センター発行の「食育だより」によりますと、先月「彩の国ふるさと学校給食月間」として、吉見町産の食材を取り入れた郷土食、のっぺい汁やあぶら味噌丼が献立に並んだとあります。こうした食育推進は民間委託後も町に課せられます。次世代につなげたい食育とは何か、町は今後も真剣に考える責任、備えていく責任があります。
今回わたしは賛成の立場で討論に参加いたしますが、給食は毎日献立が変わるという点、さらに量が多いのにもかかわらず手早さも求められるという点で、食品工場でつくる食品のように合理化は最初から一定程度しか望めないという点では、公営が民間委託に変わろうと同じです。つまり、栄養士や調理員の方々による協力が得られなければ、公営でも民間委託でも調理方法の継承、技術の蓄積は難しいはずです。また、民間委託をしたからすべて順調にいくということはなく、いかなる公共サービスも、振り返り、町民の声を抜きにしては成り立ちません。町は児童生徒、保護者、教育関係者、そして調理員の声をしっかりと聞き、公共サービスの向上を不断に目指していかねばならないことだけは、言葉を強くして求めてまいります。
以上でわたしの討論を終わります。
続いて採決に至りました。12月8日の本会議で採択された修正案をもう一度採決にかけるというもので、議長も採決に加わる特別多数決という方法、それは14名の議員のうち三分の二が賛成をすれば修正案は再度採決されるという仕組みですが、このたびの採決では規定数に及ばず、修正案が否決されました。
続いて原案の採決、つまり給食センターの民間委託にともなう債務負担行為の補正を含んだ案を、原案のまま採択することに賛成の議員の起立を求めたところ賛成7名反対6名となり、原案が採択されました。
給食センター民間委託のための公募型プロポーザルの募集告知が、町ホームページに翌日公開されました。ご参照ください。