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熊野旅 直近 去年【その4】


十津川村の宿を、朝5時30分に、静かにそっと出発しました。

まだ真っ暗ですが、前回玉置神社を訪れた時に比べると、今回は相当近く、
気は楽です。

ここからは割とすぐ、上り坂の本格的な山道になっていきます。

山道に入ると、外灯はあまり(全く?)なかった記憶で、
もし車のヘッドライトを消してみると、真っ暗闇です。

・・・・・です。


前回、早朝参拝に行った時は9月であったので、
天候は良くなかったのですが、朝の時間、すでに暗闇ではなく、
視界はよく見えました。


今回は、まだ真っ暗・・・。


車は皆無かいむで、ヘッドライトがあっても先まで照らせず、
光が届くのは、自分たちの行く、ちょっと先のカーブまで、という感じで、闇が光を吸い込んでいく・・・中、主人が慎重に運転していきました。

それでも、おっとっと💦と感じるところもあり、ヒヤヒヤしました。

中央線はなかった記憶です。

そんな道でありながら、
途中で、若くも年老いているというでもない、暗闇のせいか年齢不詳の様に感じられる男の人が、この闇の中をたった一人で歩いていくところを追い越しました。

びっくりしたー!👀

車の自分達でも怖いのに・・・。

山に上る登り坂になってから、玉置神社の駐車場をゴールとすると、
たぶん半分地点か、3分の2地点ぐらいのところでした。

婆たちも時間感覚的に、かなり登ってきたと感じていて、結構高い地点だと思います。

頭にヘッドランプをつけて、リュックを背負われていましたが、本格的な登山の格好という感じでもなく、
季節柄そんなはずはないでしょうが、一瞬ジャージの上下?の様に見えてしまいました。

暗い上に、横を通り過ぎただけですから、その服装は婆の見間違えでしょう。12月ですから、そんな筈はありません。

当然ですが、かなり疲れて苦しそうな表情でした。

通り過ぎた後、
あの人、玉置神社に行くのかな?
もしそうだったら、乗りませんか?って声かけてあげよっか?
と、主人に言いましたら、

車に乗らないで、わざわざ来てるんだから、それが目的でえてそうしてるかもしれないんだから・・・、
と主人は乗り気ではありません。

でも、ここから徒歩で玉置神社だったら、何時に着くの?
お昼ぐらいになっちゃうんじゃないの?
と、本格的な山歩きをしたことのない婆は、そう思い言いました。

主人は、
玉置神社に行くんじゃないかもしれないし・・・、とさらに乗り気ではありません。

確かにそうだよなー、と思いながらも、
でも、声かけて、必要なければ、結構です、と言うでしょ。
いちおう声かけてみる?

と、さらに言いましたが、
その間にも、車は走っていて登っており、
真っ暗闇、細い山道で、Uターンも難しく、
主人も乗り気ではないので、その提案は無しになりました。

確かにお節介かもしれない。

声をかけられたほうも、こわいと思うかもしれない。
乗せたほうもいざ乗せたら、こわいと思ってしまうかもしれない。

こんな時間、こんな闇。

それにしても、こんな時間に徒歩でなんて、何時から登り始めたのでしょう?
山登りの経験がない婆の考えでは、少なくともここまで5~6時間ぐらい・・・?、日付が変わるぐらいの時から、ずっと歩き続けているのではないかと思ってしまいました。

本格的な専用の山登りの服装ではなかったし、12月の朝5時台に、奥深い山の道路、中間地点以上の高度まで、アスファルトのくねくね道路の闇の中をずっと歩く、というのは、登山として普通のことなのかなあ?

山登りっていうと、熊野古道のような、地面が自然のもの・・・、土や岩の細い山道を行くっていうイメージなのですが・・・。

それとも、山のお仕事関係の人で、仕事の現場に時間までに行くのに、前日急に車が故障して、責任感の強い彼は、早起きして、歩いて仕事に向かった・・・、などというストーリーも、頭のなかで作り上げてしまいました。


そんなことを考えながらも、玉置神社の駐車場に到着し、
真ん中に1台だけポツンと大きなワゴン車が停まっており、
窓のカーテンも閉まって、中に人がいるのかどうかは不明ですが、
車も人も熟睡というようなオーラが出ていて、
しーん・・・とした雰囲気でした。


12月の早朝参拝は初めて。
今年も温暖化で、道路は全く雪もなく、凍ってもおらず、上ってこられましたが、
途中、スタッドレスタイヤなど、雪や凍結に備えたタイヤ以外の車は走行出来ません、というメッセージが貼ってある、A型バリケードと呼ぶらしいんですが(←ネット検索)、工事現場などによく置いてある移動式の柵が、複数置かれている箇所が1ヶ所あったので、

もしかしたら、雪の日などは、道路をその柵で、一部封鎖してしまうのかなぁ、などとも考えました。

そうすると、飛行機や、新幹線などでこちら方面に来て、レンタカーを借りる場合、冬用タイヤの車を借りなければならないんだ!と思いました。

レンタカーの会社でも、そのような車の用意が一定数はあるでしょうが、雪が実際降らない限りは、そうそう利用されるものでもないでしょうし、
山奥の玉置神社以外の、熊野の神社や観光地は、それほど深山しんざん奥深く、という訳でもないので、
ただ玉置神社に行く時だけは、道中、
短い小さな急カーブの部分でも、急坂状態の角度で傾斜している箇所もあったような?気もし、凍ってたら確かに危ない、登ってかない空滑からすべりになりそうで、こわいなと感じました。


さて、玉置神社の山道の参道を歩きはじめてみると、
暗いのですが、懐中電灯までは必要なく歩くことが出来ました。

山の道路を車で上がってきた時は、あんなにこわかったのに、
この山道は、ちっともこわく感じません。

何でなのでしょうか。

車のように室内で守られているのではないのだから、
こちらの方がこわく感じられそうなものですが、やはり神域であるからか、気持ちよく清々すがすがしく感じます。

良い気分で歩き、本殿に到着。
お参りをして、さらにそこから先の玉石社まで登り参拝してきました。

本殿に戻り、大きな杉の巨木を見たり、
主人は主人、婆で婆で、各々にその辺をブラブラ、
いろいろ見て時間を過ごしていましたが、
それは、明るくなってきた朝の気と、神社の気が清々しくて気持ちが良いから、駐車場に戻りたくないのです。

気がつくと、本殿に向かって左側の、やや離れた高い木の上のあたりが、
夜の消防車のサイレン灯のような、または深夜の赤信号のような、
真っ赤な真紅しんくに染まっていて、
上記のたとえは、この、朝の聖地には全く相応ふさわしくありませんが、実際、消防署から出動した何らかの車が来ているのではないか、その光が当たっているのではないかと真に思ったぐらいでした。
何だろう??と不思議に思って調べに寄っていきましたら、日の出の光が当たったものでした。

オレンジ色ではなく真紅しんくです。

日の丸の旗のような真っ赤で、最初、日の出の光とは思いませんでした。

日の差してくる方向を見てみると、まさしく日の出。

周りに誰もいないし、思わず日の出に向かって手を合わせました。

文字通り『の丸』の赤は、『日の出』の赤なのかもしれないと、その真紅をの当たりにして思いました。


その後、駐車場までの山道をハイキングのような良い気分で歩き、戻りました。

来るとき道路で見かけた男の方は、参拝の参道の山道や、帰りの道路では目にすることはなく、会うことはありませんでした。


宿には7時半か8時(朝食時間が二択あり、二択のうち、後の方の時間ぴったりに到着)に戻り、懐中電灯を本当に有難くお返しし、朝食をいただき、その後宿を出発しました。

途中、熊野本宮大社に寄って、参拝は時間的に出来なかったのですが、
鳥居の外で売られていた『熊野もうで餅』を一箱、自分達用に買いました。
玄米粉がかかっていて、こうばしく美味しかったです。
これはこの後、熊野速玉大社に行きましたら、そちらでも売っていました。

新宮市方面へ車で南下し、
熊野速玉大社を参拝。こちらでも、感謝と願解がんほどきをお伝えしてきました。
その後、神倉神社に車で移動。

今日はとても良いお天気なので、神倉神社の階段は登れそうです。

階段下の鳥居の所に着くと、上から女の人が一人で、トントンと軽やかに下りてきて、
婆はきっとこんなに下の方になっても、こんな軽快に降りられずヨイショっという感じだろうから、羨ましいなあと思いました。

それでも婆は、二度目です。
一度目と違って、様子がわかっています。

貸出し用の長い杖を借りて、経験者として、主人より先に登っていきました。

下の鳥居が見えるギリギリのところで、振り返り、
主人にわざと大きな声で、

「絶対、下を見ちゃダメだよー」


と言ってやりましたら、

やっぱり下を見て、ヤバイっという感じになっており、

近くにいたカップルの2人も、それを聞いて下を見てしまい、
傍目はためからでも、ヤバイっとなっているのが分りました。

わざと言ったんですもの、
ヤバイっとなってくれなかったら、面白くありません。

イタズラはまと

笑いをこらえて前を向き、婆も歩みを進めましたが、
体力等、基本的なものが違うようで、
主人も、カップルの方も、しばらくして婆の横を追い越して、通り過ぎてゆきました。

てっぺんに着くと、首から名札をさげたボランティア?の案内インストラクターと思われる方が一人いらっしゃり、
以前来たときも、複数人いらっしゃいました。

その方は、いろいろな方の写真を撮ってあげていて、
婆達のも撮ってあげるから、そこで待ってて、と言って、
他の方々の写真を、離れたところまで走って行って撮ってあげていました。

待ってて、と言われて待っていましたが、
こちらからお願いしたわけではないので、
主人は参拝も終え、自分達でも写真を撮って、次に行こうか、となりましたが、婆は、待っててと言われたのに待ってないと悪くない?と言いましたら、そのタイミングで偶然、その方が走って戻ってきて、
婆のスマホを急いで受け取って、婆にポーズの注文をしてきました。

えっ?
と思いながらも、やむを得ず言われるままに従いましたら、
本殿の、お参りで鳴らす鈴や、鈴のひもの垂れ下がっている所(←お参りで立つ所)のすぐ隣の岩の上に、「あぐらで座って!」と言われ、
何が何だかわからず、座りましたら、「両手を膝の上に置いて、手の平を上に向ける!」と言われ、それから「親指と人差し指をつける!」
と言うのです。

はい、カシャ!

これって、瞑想や座禅のポーズではあるまいか?
又は仏像のポーズではあるまいか?
いいの?こんな超パワースポットの、日本を代表する神様の神前で背を向け座っちゃって、こんな写真を撮っちゃって?
と後から思いましたが、その時は何が何だか言われるがまま、
思考回路は止まっていました。

でもきっと神様は、ちゃんとご覧になっていて、婆が自らやったのではないのをわかってくださり、笑って許していただけることでしょう。

心配なのは、この写真、随分月日が経って子や孫達が目にした時、婆が自主的に撮ったものと思われたら、ほんとヤダ~💦 やなんだけど~⤵️💦
その時婆がいなかったら言い訳弁明べんめい出来ない💦し、
主人がいたとしても耄碌もうろくして忘れてたら・・・💦

子供達はそこでどんな会話を繰り広げる事でしょう。
うちの、お母さん・・・⤵️💦

・・・・・、
その後、その方は急いでやや下の方に降り、
今度は主人と婆の並んだ写真を、
本殿とゴトビキ岩が両方映るのを背景に撮ってくれたと思います、たしか。

あっと言う間の出来事でした。

走って上に戻ってきて、スマホを返し、
婆が、そこにある階段で、ちょっとぐらついて、借りてきた長い杖が上手く使えず、おたおたしましたら、
「こんなの(長い杖)に頼っちゃダメ!もし杖に全体重かけて置いた石がぐらっと来たら、どうなるの?」と、しかられました。

「そうですねー。」などと、愛想良く返しながらも、
「確かに・・・、良いこと言うじゃん。」と妙に納得した次第でした。

でも~そこのインストラクターさんがそう言った、と言っても、そこで貸し出してくれてる物なんだけど~…..とも思いました。

その後、主人は先に、婆はゆっくりと先ほどの階段を降りながら、
やっぱり一度経験をしておくっていうのは違うなー、と思いながら、
前回よりは余裕で無事に下りることが出来ました。


この後は、熊野那智大社や飛瀧神社、那智の滝にほど近い、
熊野古道の一部である『大門坂』を歩く為に、大門坂の駐車場に向かいます!