個性が集い、想いがカタチに。
長年に渡り愛される「HUNTER×HUNTER」
突然ですが「HUNTER×HUNTER」という作品、知ってますか?
漫画版は1998年から週刊少年ジャンプで連載がスタートし、アニメ化もされ、20年以上も愛され続けている作品です。
僕自身、連載当時から大ファンだったわけではなく、むしろ「読んだら絶対にハマっちゃう」と少し避けていたきらいがあったのですが、探究学舎で全巻揃っているのを発見してしまい、読み始めた結果バチコリ大ファンになってしまった口です。
そんな「HUNTER×HUNTER」には、ファンを惹きつけるギミックや伏線がたくさん登場します。「あれはそういうことだったのか!」「この時点ですでに結末が示唆されてる!」なんていうことは日常茶飯事。きっとファンのみんなは、じっくりゆっくり編まれていくストーリーを、何度も何度も読み返しながら、新たな発見に喜んだり、深い考察を楽しんだりするのが大好きなのではないでしょうか。
架空の盤上競技『軍儀』が驚きの商品化!!
さて、そんな大人気コンテンツである「HUNTER×HUNTER」ですが、先日ファンをあっと驚かせる発表がありました。
作中に登場する架空の盤上競技『軍儀』が公式商品化!!
このニュースに、Twitterもお祭り騒ぎになり、完全受注生産ということもあり、瞬く間に予定予約数に達し、現時点では購入できない状態に。
この『軍儀』については、これまでもファンの間でルールの考察や、内容と作中のストーリーのリンクについての読み解きが行われていたモノで、ファンからすれば「待ってました!」の商品だったこともあり、一瞬にして売り切れてしまうという事態に。
きっかけはひょんなことから
実は、この『軍儀』のプロモーションに、探究学舎とふくいけんも関わっていたのです。
よろこびおじさんこと探究学舎の仲間であるちよやえパパと一緒に山形県長井市で仕事をしている最中、彼からこう問われました。
「ふくいけん、HUNTER×HUNTERって好きだったりする?」
間髪入れずに「めっちゃ好きです。めっちゃ。バリ好き。」とテンション高めに返す僕に対して、一緒に『軍儀』のPV撮影をやらない?と誘ってくれました。
打ち合わせより「100年の森」?
そんなひょんなことをきっかけにしながら、ついに撮影についての打ち合わせ。発売元であるユニバーサルミュージックに足を運ぶわけですが、みてくださいこのすごいビル!
竹下通りと明治通りのぶつかる角にそびえたつ高いビルにユニバーサルミュージックのオフィスがあります。普段探究学舎では白メガネに木梨サイクルのキャップ、ノースフェイスのジャケットというラフな格好のふくいですが、この時ばかりは「相手は大きな企業だから、勝負服でいこう!」と気合をいれました。
とってもしっかり者そうな担当の方と、よろこびおじさんと打ち合わせをするわけですが、打ち合わせを前にして僕の頭の中をぐるぐる渦巻いていたのは別のことでした。
(ここ、原宿やんな。んでもって、こんなに高いビルってことは、ワンチャン明治神宮一望できるかもしれん。明治神宮を間近から一望できるなんか、胸熱すぎる。あー、みたい。100年続く森、上から見たい。早く見たい)
何言ってんだよ!と思われるかもしれませんが、明治神宮はおもしろいのです。
明治天皇とその皇后である昭憲皇太后を祀るために1920年に創建された神社。何もない原野だった場所に森をつくることになり、日本全国から献木を募り、集まった木々はなんと10万本以上。林学・造園学を専門とする本多静六、本郷高德、上原敬二の三人が設計を担当し、それらの木々をうまくデザインし森づくりにあたる。当時の内務大臣、大隈重信は日光の杉並木のような、厳かな針葉樹の森を設計するようにと主張したが、設計担当の三人はその要求を拒否。彼らが目指したのは「永遠に更新され続ける人工の森」で、そのためにはスギではなく、カシ、シイ、クスなどの常緑広葉樹にすべきと主張し、デザインしていったのです。
かくして、建立から100年以上経った今日、明治神宮はいまでも更新され続ける森として、都会の一等地で生き物たちの命の営みを支え続けているのです。
(そんな森を眼下に望めると知りながら、真面目に打ち合わせできるほど、落ち着いた人間ではない!!)
わかりやすいルール動画をつくる
さて、明治神宮の森をしっかり愛でた上で、僕たちが取り組むことになったのは『軍儀』の『わかりやすいルール動画』をつくること。
ただでさえ難解で複雑なルールを、できるだけわかりやすく、簡潔に伝えるための動画をつくることになりました。
「むずかしく思えること」を「わかりやすく伝える」のは、学習体験のデザイン(LXD:Learning Experience Design)を生業とするふくいの得意領域です。探究学舎の授業でも、一見複雑に見えること、難しそうに思えることの本質を抜き出し、それを納得しやすい形で、驚きと感動をもって届ける技術を磨いてきたので「素敵な動画をつくったるでー!」と意気込んだものの、さて、ルール説明動画を、どうやって無機質でなく、見応えのあるものにできるかという問いは中々難解でした。いろんなアイディアを練りながら、時にはネタのような動画を見てインスピレーションを得たり。
いや、めっちゃおもろいねんけど、これを料理するのは難しい・・・。笑
こういうときはぎりぎりまで煮詰めるのがよい、と思い、ぎりぎりまでこの動画制作のことを考えずに、その間ずーっと牡馬のことや、牝馬のことや、騸馬のことを考え続けていたわけですが(ほぼ競馬やんけ)、ある日いいアイディアが降りてきました。
アナクロスティックのネタ的に紹介したらどうかしらん。
血迷いました。絶対ダメだわ。
そんなときは決まって、「迷ったときは、とにかく手を動かす」というふくい流の仕事の鉄則に従い、ぼやけたイメージなりに絵コンテを描き始めていきます。
するとなんとなーく、全体の流れと、必要なカットと、セリフとが見えてきて、気づいたときには意外とカタチになっています。実は探究学舎の授業づくりも似ている部分があります。
というのも、探究学舎の授業づくりにもいろんなスタイルがあり、プロットと呼ばれる文章を書き上げてからスライドに起こしていく人、設計図シートを埋めてからスライドに起こしていく人、直接スライド起こしを始める人など様々ですが、ふくいはいつも直接スライド起こしをすることがほとんどです。頭の中で全体の構成、登場人物、感情の起伏、伏線となる要素など、コンテンツに必要ないろんなものをイメージしながら、とにかく手を動かしてすぐにスライドにする。
なぜなら、最終アウトプットがスライドなのだから、わざわざ別のチャネルである文字や絵を経由する必要はなく、スライド1枚1枚をモジュール(部品のようなもの)に見立てて組み立てていくのが一番直感的で、一番早いと思っているからです。加えて、頭の中にある脚本のイメージが明確であればあるほど、わざわざ文字起こしをするまでもなく再現可能なことが多いので、「映画的な脚本、即、スライド」という図式でいつも授業づくりを行います。
個性が集い、想いがカタチに。
そんなこんなでついにコンテが確定し、撮影当日。ゆうきさん(ちよやえパパ)と、カメラマンの竹内さんと、出演者としてツナちゃん、そして粒くん。ふくいの描いた絵コンテをもとに、探究学舎のオープンスペースで撮影開始!と思いきや、ふくいとゆうきさんが一言。
「本棚、汚いね」
背景になる予定の本棚がぐっちゃぐちゃということが気になり、急遽模様替え。
「僕、本棚整理のプロなんですよ」と得意げに本棚を本気で整理するゆうきさん。全員が全力で綺麗にした結果、それまでとは見違えるほどのディスプレイ感。普段からこんなふうに綺麗にしとけよ。笑
ということで、照明を組み立て、いざ撮影スタート。
カメラ好きなふくいと、プロのゆうきさん、竹内さんが、ライティングにこだわりながら、画角、抜け感、見えなど、あれこれ議論しながら撮影していくプロセスは、絶対的ボスみたいな人がいない、ティールな撮影で、終始ワクワクしました。
そんでもって細かく観察してみると、出演者のつなちゃん!爪をピカピカに磨いてくるだけじゃなく、「HUNTER×HUNTER」に登場するコムギというキャラクターを意識した衣装になってる!と、感動。
撮影だから、勝ち負けなんてないのに、模擬対局で本気になる粒くんにも、感動。笑
細部に徹底的にこだわるゆうきさん、ヲタク心がわかって細かな部分に工夫を凝らすツナちゃん、いつでも負けず嫌いな粒くん、そして初めて一緒に現場を共にするのに壁を全く感じさせない竹内さん。それぞれの個性が集い、その結果、HUNTER×HUNTER愛が素敵なカタチになりました。
そして、最後の1ピース。動画のナレーション、探究学舎のことをよく知る方なら一発でわかりますね。そう、我らがくぼっち!プロの技ですね。
たかが4分の動画を撮るだけの仕事で、そんなに工夫しなくても作れるものなのかもしれません。けれど、どれだけ小さな仕事だったとしても、その一事に丹精に心を込めて全力で振り抜き、そして一緒に仕事に取り組む仲間の素敵な姿も同時に愛でる。そうするだけで、その仕事がキラキラ輝いて見える。
今回のプロジェクトは、HUNTER×HUNTERの大ファンであるふくいにとってはとても思い出に残る大きな仕事でしたが、それ以上に、素敵な仲間に囲まれてわちゃわちゃ楽しみながら取り組めたことが大きなよろこびでした。
次回以降につづく。
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