異文化の融和を描く 『カルメン故郷に帰る』(1951)
カルメン故郷に帰る(1951年製作の映画)
上映日:1951年03月21日 / 製作国:日本 / 上映時間:86分
ジャンル:ドラマ
国産長編カラー映画としては「初」
海外ではすでにカラー長編映画はあったし
日本でも短編カラー映画はあったようですが
国産長編カラー映画としては「初」とのこと。
松竹が社を挙げて取り組んだ企画でしょうよ。
なのに、、なんでこんな辛い話なの。。。
何か言いたいことがあったんでしょうね、木下惠介。
そしてその言いたいことをうま〜く隠したんでしょうね、木下惠介。
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この映画の肝は「カラー」なんだから、主役はカルメンとマヤ。
彼女らが東京から持ち帰ってきた鮮やかな芸術・文化を
田舎者が迎え入れる、という導入ですわな。
この田舎者たちってのがまた容赦無く田舎者。。。
顔も服装も、カラー映画なのにモノクロみたいに地味。。
残酷なくらいに田舎者。
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カルメンたちとは強烈な対比があって
この対比は結局はそのまま弱まらない。
融和はしないわけです。
カルメンたちは自分たちが芸術だと信じるものを曲げなかったし折れなかった。
田舎者たちは田舎者のまま、1mmも変わらなかった。
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ただ田舎者たちはカルメンたちの恩恵だけは受けた。
丸十はカルメンたちによって金を稼げたからこそ
失明した田口先生にオルガンを返すことができた。
父は稼ぎを小学校に寄付して、教育が潤う。
校長は「この金で本当の芸術家を育てられる」と宣う。
カルメンたちの芸術を1秒も認めない(見てもいない)のに、ただ恩恵だけは受ける。
ほんとに木下惠介ったらぁ。
ラストネタバレは以下に。
で、ラスト。
田口先生は返ってきたオルガンで地味〜な歌を歌う。
運動会でも田口先生が歌うシーンがあったけど
そこでも観客が飽きてしまってる顔を映していく。
丸十も飽きて
丸十がマヤの手を握ったことで騒ぎになって
観客も歌よりもそっちの方が面白いって感じでキャーキャーと盛り上がる。
それに田口先生は落ち込む。
「この村の人たちは芸術を理解しない」
その田口先生の歌を再度、木下惠介はじ〜〜〜〜っくりと観客に聴かす。。
カルメンたちのシーンでは、明るい歌と踊りで観客を楽しませているのに。
地味〜な田口先生の歌と、地味〜な子供たちの地味〜な踊りをじ〜っくり映す。
「あなたたち、本当はどっちが好きなんですか?」と。
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で、カルメンたちは東京へ帰る。
打って変わって明るいシーン。
華やかな色、歌、動き、表情。
田舎者は金以外何も受け取られなかった。
両者は全然融和しなかった。
もぉ!ほんとに!木下惠介ったらぁ!