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ラストネタバレあり 映画『帰れない山』 ラストのカラス3羽めっちゃ自然の摂理… 〜映画感想〜

帰れない山(2022)Le otto montagne/The Eight Mountains 上映日:2023年05月05日 製作国:イタリア ベルギー フランス 上映時間:147分
監督 フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン シャルロッテ・ファンデルメールシュ
原作 パオロ・コニェッティ
出演者 ルカ・マリネッリ アレッサンドロ・ボルギ



■原作は世界的ベストセラー『帰れない山』(原題:「LE OTTO MONTAGNE」八つの山)

本作の原作は、イタリア文学の最高峰「ストレーガ賞」、フランス「メディシス賞」外国小説部門、 「英国PEN翻訳小説賞」などを受賞し、世界39言語に翻訳された国際的ベストセラー小説「帰れない山」。
​とのこと。

2022年2月現在は1年の半分をアルプス山麓で、残りをミラノで過ごしながら執筆活動に専念する。
ともあるので、原作者と主人公ピエトロはかなり重なってるんでしょうね。

■小説が原作なだけあって物語が強い。

映像に頼った雰囲気映画ではなくちゃんとキャラクターがあるし
映画化を考えてなかったからだと思うんですけど、結構いろんな国に行くので、、ロケ大変そうでした。。

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映画予告編の四コマ漫画

■四コマ映画『帰れない山』


https://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2934


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■とはいえやはり山の映像すご

アルプス山脈の2番目に高い、イタリア北部モンテ・ローザの映像がすごい。
夏は気持ちよさそうな風と美しい緑なんですけど
冬は軽地獄ですね。雪地獄。
「やっぱ自然っていいよね」なんて軽々しく言えない。

途中、都会からピクニック気分で若者数人が来るんですけど彼らの異質っぷりが際立つ。
自然からも、自然と同化している主人公のひとりブルーノからも彼らは拒絶されるそりゃそうだ。


■ブルーノとピエトロの友情の物語

話の主題は男二人の友情の物語。
監督が「この友情をラブストーリーのように撮った」と言っているのが合点がいく。

その「愛してる」は友情由来のもの?それとも??
っていうシーンの連続。
どこへ行くの?ふたりはどこへ向かっているの?全然いいんだけど、行っちゃうの?

ってハラハラドキドキしながら観れて、もう本当に楽しかったです!


■都会っ子ピエトロ、自然っ子ブルーノ、それぞれの父

この映画には、ピエトロとブルーノと、存在感の大きいピエトロの父、そして不在のブルーノの父の4人の比重が大きいです。

こう考えると「強い父に押し潰される息子ふたり」の物語な感じがします。
「父との和解」?

父の押し付けてくるものや期待からなんとか逃れようとしたり、飲み込まれたりして大人になって
父の死後、父という存在を受け入れる、受け流す儀式をしたんだろうね。

それを一人ではなく、ふたりですることができたんだ、ピエトロとブルーノは。


■男女の差

性差について原作者や監督がどれほど自覚的に描いているのかわからないけど、、めちゃくちゃ描かれている。
とにかく「母・妻」と「父・夫」の差異が大きい。大きい。大きい。

あ、原作者パオロ・コニェッティ、僕と同い年だ。1978年生まれ。
39歳の時に小説『帰れない山』を発表。
2022年2月現在は1年の半分をアルプス山麓で、残りをミラノで過ごしながら執筆活動に専念してるとのことなので、都会が疲れちゃう人なんですかね。特に人間関係。


■自然は逃げ場ではない

ピエトロとブルーノがある約束を果たすために「家」を作りまして、そこが二人の桃源郷のようになりまして、

そこでの暮らしはロマンチックだしロバは可愛くてほのぼするんだけど
そこに「現実」や「社会」がじわじわと降り積もってくる。

いつまでもビオトープみたいに生きていきたいけどね。。

***

四コマ映画『帰れない山』https://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2934



ラストネタバレは以下に。。


ブルーノは、以前ピエトロが連れてきた友達の中の1人の女性と結婚。
女児も生まれ〝自然と融合した暮らし〟を実践。
動物と自然と人間の理想的な暮らしを追求。

「あ、へぇ、ブルーノって結婚とかするんだ…」と思ったかどうかはわかりませんが、
都会っ子として生きてきたピエトロは路線変更してカトマンドゥ的な場所(どこでしたっけ…??)で観光客向けの通訳ガイドと地元の学校の英語教師をやりつつ、本を書きそれがヒット。
その地で女性と結婚。

お互い結婚し家族を持ち、それぞれの生き方を確立した(っぽい)状態になったものの、
ブルーノの理想的な山暮らしは破綻していく。

借金は増えていく一方だし女児の教育費もままならない。

家族を窮地に追いやっているのに山での理想的な暮らしを捨てられないブルーノを、経理も担当している妻が三行半を突きつける。
妻と娘は出ていく。

自暴自棄になっているブルーノをピエトロが尋ねる。
喧嘩別れをしていた2人だったが次第に打ち解け合う。

家族、社会、金。
自然の中で生きることを難しさを誰よりも知っていたはずのブルーノだったが、結局は〝社会〟の重さに押しつぶされてしまう。

「俺の心配はするな。山が俺を傷つけたことはない」これがピエトロに向けて言ったブルーノの最後の言葉。

ものすごい積雪で心配した従兄弟が救助を要請。
救助ヘリが山小屋に到着。
ブルーノとピエトロが作った屋根をチェーンソーが真四角の穴を開ける。ブルーノはいない。
写真立てには子供の頃のブルーノとピエトロ。

「周囲を捜索したがブルーノは見つからなかった。それ以上探しても無駄だという結論に。雪が溶けたら見つかるだろうと。これはあの人が望んだこと?」by ブルーノの妻

春になり雪が溶けて所々土が露わになる。
そこにカラスが3羽。
「わ〜い♪」みたいな感じで肉をついばんでいる。
めっちゃ自然の摂理。
これがブルーノの望んだことだろうか?


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