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❾実際の裁判結果は?家族の主張は? 映画『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』  大いなるネタバレあり ~映画イラスト~

死霊館 悪魔のせいなら、無罪。(2021年製作の映画)
The Conjuring: The Devil Made Me Do It
監督 マイケル・チャベス
脚本 デイビッド・レスリー・ジョンソン=マクゴールドリック
出演者 パトリック・ウィルソン ベラ・ファーミガ


四コマ映画『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』 

→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2786

死霊館 悪魔のせいなら、無罪。



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死霊館ユニバースまとめ(2021年時点)

以下時系列順

⓪『 The Nun(死霊館のシスター)』以前

①1952年『 The Nun(死霊館のシスター)』

②1958年『 Annabelle: Creation(アナベル 死霊人形の誕生)』

③1970年『 Annabelle(アナベル 死霊館の人形)』

④1971年『The Conjuring(死霊館)』

⑤1972年『Annabelle Comes Home(アナベル 死霊博物館)』

⑥1973年『 The Curse of La Llorona(ラ・ヨローナ〜泣く女〜)』

⑦1977年『 The Conjuring 2(死霊館 エンフィールド事件)』

⑧1981年『 The Conjuring: The Devil Made Me Do It(死霊館 悪魔のせいなら、無罪。)』

死霊館ユニバースまとめ(2021)
http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2775


宗教映画

マイケル・チャベス監督(『ラ・ヨローナ~泣く女~』も同監督)も「これ信仰の映画。」と発言している通り、この映画は宗教映画。

さらに「ウォーレン夫妻は悪魔の存在を信じていたと思う」とも言ってるので、この映画はウォーレン夫妻側から一方的に描いたものだとわかります。


❶弁護士「殺人事件を悪魔のせいで無罪にしたいなら法廷で悪魔の存在を証明しなさい」

❷ウォーレン夫妻「悪魔は存在する。なぜなら聖書に書いてあるから。」

❸弁護士「法廷で聖書は通用しない。」

❹ウォーレン夫妻「宣誓する時聖書が使われている。聖書は法廷で信じられている」

↑この流れは面白かった。

悪魔がやったなんて法廷で通用するわけないじゃん、と思っていたら、悪魔が存在している書かれた聖書を法廷も使っているじゃないか、と。

宗教が法に入り込んでいるわけですね。

宣誓には聖書を使っておいて悪魔の話になったらいきなり聖書を否定するなんて通用するのか!?という。

これは面白い。「宗教と法」の正しいあり方とはなんだろうと興味を持ちました。

と思ったんだけどこの部分は解決もされないし、問題提起もされないし、冒頭以外この話は出てきません。。

残念無念。。


やっちまったな!

映画のウォーレン夫妻は実際の夫妻とはかなりイメージが違うようにキャラ設定されています。

そもそも『死霊館』や『死霊館 エンフィールド事件』くらいでしかウォーレン夫妻はしっかり描かれてこなかったわけですが、
この2作ではウォーレン夫妻は冷静でした。

僕はオカルトが別に好きではないのであんまり本気でオカルトを信じさせようとしてきたり、それと商売を結びつけていると、引く。

その点、前作までのウォーレン夫妻はギリ良かったんです。
「本当に悪魔って存在するのかも知れな〜い!」とホラーエンタメとして楽しめていました。


実際の事件「アルネシャイアンジョンソンの裁判」

1980年にアメリカで起きた殺人事件がこの映画の元となっています。
悪魔に取り憑かれたことで殺人を犯したってことで裁判で無罪を主張したという事件。

この事件について書かれたロレイン・ウォーレンと作家のジェラルド・ブリトルによる著作「コネチカットの悪魔」を原作としています。

一番最初に悪魔に取り憑かれたとされたデビッド・グラッツェル(当時11歳)の父と兄はこの「コネチカットの悪魔」を「完全な嘘」と言っています。

父と兄は(息子、弟である)デビッド・グラッツェルはそもそも悪魔に取り憑かれていなかったと主張しています。

さらに、殺人事件が起きたすぐ後からこの事件を書籍化&映画化することを計画していたウォーレン夫妻のことをデビットの父と兄は不審に思っていました。

のちに「ウォーレン夫妻が利益を得るために家族が利用された」と訴えている。

当時映画の制作も始まりましたがそれは頓挫。
しかし1983年に「コネチカットの悪魔」として書籍化。物議を醸す。

2007年の同書が再販れてる時に、デビットの父と兄は、プライバシー、名誉毀損、および「精神的苦痛の故意による精神的苦痛」に対する権利を侵害したとして、著者と本の出版社を相手に訴訟。


「この映画は実話である」

「この映画は実話である」と映画冒頭結構大きな文字で出てきましたね。

This movie is based on true story.のフォントのサイズは法で規定されてないだろうし、
真実と創作のバランスが7:3だったらThis movie is based on true story.って表記していいけど6:4だったらダメとかの決まりもないし、
This movie is based on true story.の日本語訳は「事実を基にした映画」にすべきという決まりもないのでしょう。

This movie is based on true story.の映画を見た後にどこまでが実話だったのかを調べる観客はそう多くないでしょうし、それが義務だとも思わない。
映画がそんなにめんどくさいものであってはいけないと思います。

つまり映画製作者がどれだけ誠実であるかが問われているわけです。

「こんなに創作混ぜといてThis movie is based on true story.とは表記できないよね〜」という誠実さ。

この誠実さを悪意なく越えてくるものがあります。それが信仰。

片方が悪魔に取り憑かれていなかったと主張している状態であっても主役側の意方的な見方で「悪魔は存在する」とした映画にThis movie is based on true story.と表記できちゃうのは、信仰心があってこそ。

それが実行されているので、この映画は極度の宗教映画。


「そのための能力じゃない!」

ロレインに透視能力があることを警察に証明するために、殺人事件で使われた武器を選んだシーンありましたね。

あれがホントだめでしたね。今までのウォーレン夫妻だったらやらなかったと思いますよ。

警察に自分の力を信じてもらうために透視能力を使ってみるなんてことしなかったはず。
それくらい慎重さを持っていたし、その能力の崇高さを本人たちこそが感じていたはず。

警察に透視能力を見せつけて信じて貰えば話が早いけど、それは信念を曲げることになるので、できない!
遠回りしてでも別の手段で問題解決を急ごう!っていう流れだったら、良かったのに。

一応夫が「そのための能力じゃない」と阻止しようとしたけど、
ロレインはサッと透視能力使っちゃったもんね。。
信仰ってそういうことなのかね。信じてもらうためにサッと奇跡を起こしていいものなの?


裁判結果

実際の裁判では「悪魔のせいにするのは流石に無理っぽい」って思った弁護士は「正当防衛」路線に変更

結果、過失致死罪で有罪判決を受け、10年から20年の刑を言い渡される。

模範囚だったので5年で釈放。

映画では短い刑期で出でられたことがまるで結局悪魔のせいだって認められたからみたいな雰囲気でやってましたけど、実際は模範囚だったから。


この事件を映画化したのは失敗だったと思います。
やめといたほうがよかった。
もしくはもっと公平な視点で描くべきだった。

エンドロールに実際のウォーレン夫妻の写真が出てくるのもどういうつもりだったんだろうか。映画で描かれる人物像と全然違いそうな雰囲気だったけど。。。

エンドロール担当者がせめて一矢報いたかったのかなぁ。。

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