どうもモヤモヤ…… クレイアニメ映画『ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒』
ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒(2019年製作の映画)
Missing Link上映日:2020年11月13日 / 製作国:アメリカカナダ / 上映時間:93分ジャンル:アニメ
呆れるくらいにすごい。。。
この映画はクレイアニメーションです。
馬車が走って道の泥が跳ねて壁にかかるとか、
その後のノックしてたら出てきた執事を殴っちゃうとか、
ディテールへの力の注ぎ方がすごい。。。
「ここ止め絵でいいよね?大変だし…」っていうシーンがない。
(現在日本で興行成績塗り替えまくってるあのアニメ映画は結構ビッタリ止まってる絵多かったですよね。。。)
どんどん動かしたいし、
とことん細部に拘りたい人たちが作った変態映画ですよ。。
考えられない。。
どうかしてる。。
つまり、、、、ありがとう!!!!!
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同アニメ製作会社の
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』でもクレイアニメーション技術がすごかったけど、
終盤はなんかDCのビーム対決みたいな感じでちょっと冷めちゃったのですが、、
今回はラストまでずっとクレイアニメの良さが貫かれてて素晴らしかったぁ。。
クレイアニメの魅力は「実在感」と「触りたい感」だと思います。
絵によるアニメとは違って
目の前で動いているキャラはクレイ人形としてこの世に本当に実在してる感。
そして、触りたい感。
あの粘土の質感。
肌のとか髪とか服とか体毛とか触りたい。。
とくにリンクの鼻。。
触りたい。。
アニメは永久に触れないけど
クレイアニメの人形はいつか触れるかもしれないし、
触ってる人もいっぱいいる。
画面に映っているものへの愛情の向け方に不安が起こらない。
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クレイアニメの問題点は
ほのぼのし過ぎちゃうってこと。
スピード感はやっぱ難しいし、
死んじゃうかも感も難しい。
なので、サスペンスが難しい。
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』ではそれがビーム対決だったんだと思いますが、
今回はすごかった。。
氷壁のシーンですね。
いやぁ手に汗握った。。。
高所恐怖症の人間にとっては地獄。。
つまり最高のサスペンス。
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技術もすごいし、製作への変態的な熱量もすごい。
話も面白い、と言ってもいい。
テーマも、
ものすごく現代的な事案を
切れ味鋭く断罪している?感もある。
まぁ、、この辺がね、ちょっとハッキリしないもんで。。
ちょっとテーマがまとまってない感じもして。。
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アメリカ本国では大コケ。。
1億ドルの負債を抱えることになったそう。。。
初登場からしてランキングが低かったそうなので、
テーマ的な問題ではないとは思うんですが。。
何がウケなかったのでしょう。。。
大丈夫かな、制作会社ライカ。。。
気になるところは以下に。
「文明を進化させるな!進化したら私が不要になってしまう!」と言ってた
進化論否定派は映画冒頭からクソ扱いされてましたし
氷の橋で自分で橋を壊して
自滅していきました。
そういうメッセージの映画なのでしょう。
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しかし、、、、、、
少数民族であるリンクはイギリス文明に同化しちゃったよね。。
もちろんリンクの個人の希望ならば、
映画のラストにそれが叶えられることはもちろん良いことです。
しかもリンクはライオネルのお手伝いじゃなくて「相棒」になったわけなので、
未確認モンスターだったリンクが自分が希望する相手(ライオネル)と対等の存在になれたことは
リンクにとって夢の達成
でしょう。
ただ、、、、、
気になるのは、、、、、、、
この映画の結末として
リンクが西洋化する確率と
ライオネルがリンク化する確率は同じだっただろうか。
ライオネルが「リンクの同じ暮らしをするっ!」という選択肢はどれほどあったでしょうか。
リンクが西洋化する。
ライオネルはリンクを西洋化させる。
という選択肢しかなかったのではないか。。
そうすっと、、、、なかなか、、、前時代的なメッセージだわな。。。
ただ、
リンクは孤独なのが嫌だったわけだし
好きなライオネルと一緒にいるために西洋化することに何もハードルなかったのかもしれないし
そもそも英語が話せるくらいに西洋に憧れていたんだから
リンクが西洋化することには何も問題はない、と言える。
ただ、リンクが少数民族のメタファーだとすると、、
結局西洋化させられちゃうってのは、やはり前時代的。
でも、
そもそも前時代が舞台なわけだし、とも思うし、
でも、
ノリノリのアニメーション製作会社ライカでヒュー・ジャックマンが声やってる映画だよ?とも思うし、
いや、でも、リンクの個人の希望が叶えられるなら、、、
とぐるぐる考えがまわっちゃう。。
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ヒマラヤの人たちの描き方もそんなに褒められたモンでもないし、、、
やはり両手をあげて絶賛しにくい映画ではあるわな。。