誰かを軽んじてしまった過去 心にグサリと… 映画『愛のくだらない』ネタバレあり
愛のくだらない(2020年製作の映画)上映日:2021年08月27日製作国:日本上映時間:95分
監督 野本梢
脚本 野本梢
出演者藤原麻希 岡安章介 村上由規乃 橋本紗也加 長尾卓磨 手島実優
新人監督作を対象とした田辺・弁慶映画祭の第14回グランプリ受賞作。
第13回のグランプリは『おろかもの』でこちらも素晴らしかったよ!
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新人監督なんだけど、
初期衝動作っちゃいました的な
雰囲気重視のよくわからない映画などではなく、
ほんとにきっちりと考えられていて、
描きたいテーマを映像で語ることが実現できている。
しかも原石らしい魅力も随所にあるので、ほんとに観ていて楽しいし、
観終わったあともメッセージを持ち帰ることができる力作でもある。
刺さってしまった。。
誰かを軽んじたり、踏みつけたり、うっすら下に見たりしてきた罪はそうそう許されるものではないけど、
そういう罪を負っても生きていくしかないんだから
ちゃんと反省して丸裸になってぶつかっていくことで
何かをちょっっとずつ良くしていくしかないんですよね…。
死んで詫びるわけにもいかず、
不幸になって詫びても世の中は良くならないだろうし、
せめて世の中が良くなるような小さな一助にでもなれるように
生きてくしないんよね。。
なんか最近過去の数々のやっちまったことがパッと思い出しては、
「うおっ!ホントすみませんでしたっ!」と1人でダメージを受けることが多いもんで、、、
この映画は刺さってしまった。。
主人公の女性は割と周りの人を軽んじてしまう人。
彼氏も下に見てる感じするし結構大きな嘘をついている。
ゆるふわ女性後輩社員はどうせ女使ってんだろと軽蔑してる。
清掃員の人をぞんざいに扱ってる。
専業主婦の友達のこともうっすら軽んじている。
バリバリ働いている自分の方が上だと思ってる。
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↑こう箇条書きにすると嫌な奴なんだけど、、、
不思議と主人公を切り捨てられない。
人間として未熟なのに〝大人〟としてまっとうに生きていかなきゃいけない大変さは僕も重々わかってるから。。
何回も失敗してきてるから。。
家族にも友人にも恋人にも後輩にも同僚にも上司にもクライアントにもあらゆる社会問題にもあらゆるマイノリティにも、
全部正しい知識で正解の対応なんて出来てないもん。。
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その贖罪の映画ですね。。
監督も主人公には自分のことを投影した、的なことをおっしゃってましたよ。
どの部分がご自分の体験(後悔?)と重なっているのかは分かりませんが。
ラストネタバレは以下に。
この映画の面白いとこは、
ラスト近くで主人公は反省をするんだけど、だからと言って何かを解決するような行動もさせてもらえてないとこ。
彼氏との関係は修復できなかったし、
仕事のことも栞の親切で何とかなっただけで麻希が解決したわけでもないし、
友人夫婦の家庭の不和についても旦那に「せめて玄関の電球変えてあげて」と言っただけで、突然泊まらせてもらったりと迷惑かけっぱなしのわりに全然活躍できなかった。
だからラストはショボい。
大団円なんか来ない。そんな人には。
ただ波打ち際で一瞬微笑むだけ。
しかも彼氏の空耳きっかけで。
自分を呼ぶ彼氏の声が聞こえて振り返ったけど誰もいない。
そんなハッピーにはしてもらえない。
ただちょっと微笑ませてもらっただけ。
私ずっっと酷かった。
私なりに一生懸命だったとは言え、ずっっと他人を軽んじて来てしまった。
反省したいし学びたいし変わりたい。
ほんとのハッピーエンドは私にはまだまだまだまだ先。