ラストネタバレあり『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
もうベスが最初に映った段階でウルッときて
それからベスが映るだけでウルッときて
いよいよってときはもう涙拭うのも無駄ってくらい涙出て
ついにはMr.ローレンス単体だけでも泣けてきて
最終的にはピアノが映っただけで泣けて。。。
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150年前の原作小説『Little Women』の強度がさすがだし
現代アレンジも効いていて
演じる女優自身の強さ(シアーシャーローナンエマワトソンローラダーンメリルストリープだぜ!明らかな意思を感じる)もあって
大昔の、何度のリメイクされているのを、また、今、リメイクする意義がちゃんと作品のテーマとして提示された素晴らしい映画だと思います。
現在と過去行ったり来たりしすぎ問題
ただ
「誰もが知ってる若草物語」だと思いすぎて
ちょっと話複雑にしすぎじゃないですか。。。
現在と過去が行ったり来たりしすぎでしょう。。
しかも現在と過去の見分けがつきにくいし。。
この時空の歪みが
ベスの見せ場ではいい効果を与えたわけだし
まんまと泣かされたんですが、、
ちょっと凝りすぎかな。。
「家族とは過去の記憶と共に進行するもの」という暗示なんだろうけれども。
初めて若草物語を観る人はちょっと難しいのでは。。
あと、現在と過去が交互に見せられると「あの男さっきまでA子のこと好きって言ってたのに、もうB子に行っちゃってる!」ってなっちゃって、あの男が軽い男に見えちゃう。
A子とB子の間には7年あるんだけど、それが感じられない。
グレタ・ガーウィグが若草物語をっ!問題
『フランシス・ハ』『レディ・バード』の
グレタ・ガーウィグ監督の味があんまないなぁと思いました。
グレタ・ガーウィグが若草物語をっ!!
というニュースを聞いた時の衝撃が
作品自体にはあまりなかった。。
もっともっとヒリヒリした、ジリジリした、嫌〜なコメディ感を期待していました。
ただ、ラストですね。
ラストいいですねぇ、嫌味ですねぇ。
グレタ・ガーウィグ感出てますねぇ。
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今作を観ながら
「あれ?そういえばジョーってラストで…」って心配してました。
原作通りのラストだと今作のテーマがぶれてしまうけど、どうすんだろうと。
さすがグレタ・ガーウィグですよ。
笑わせていただきました。
これですね、このラストのための今回のリメイクでした。
キャスティング最高問題
結婚こそ女の幸せだと姪たちに押し付ける役をあのメリル・ストリープがわざわざ演じるのさ。
フリフリのドレスに憧れて内助の功に徹する役をあのエマ・ワトソンがわざわざ演じるのさ。
ただ、エイミー役は前作のように2人が演じた方が良かった。エイミーの変化がわかりにくかったし。エイミーのことを好きになるあの人物の心の変容についていけない。。。これはシャラメのせいでもピューのせいでもない。
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僕はウィノナ・ライダーの『若草物語』世代ですので
ウィノナが演じたジョーの輝き、計算のなさ、ノーコントロールさをどうしても思い出してしまうんですが。
今の世代にとっては
シアーシャ・ローナンのジョーが『若草物語』のジョーになるわけですからね。
そうやって時代に合わせたジョー像が更新されていけばいいんですね。
ラストネタバレは以下に。
ラストネタバレ
最愛の妹ベスが亡くなってしまったし、一回はローリーからのプロポーズを断ったけど「結局わたしにはテッド(ローリー)しかいないんだわ」と思い直して「次にテッド(ローリー)からプロポーズされたら受けるわ」と母に相談。
一方その頃ロンドンでは。ローリーとエイミーがいい感じに。
元々エイミーは小さい頃からローリーのことが好き。でもローリーからするとエイミーはあまりに幼なすぎて眼中に入っていなかった。
※ちなみに『若草物語』(1994)では、幼少時のエイミーをキルステン・ダンストが演じて、大人になったエイミーをサマンサ・マシスが演じているので、「あ、エイミーがレディーに変身した!」って感じが強かったんですが、今回は、フローレンス・ピューが最初っから全然13歳には見えないし、レディーになってからもそんなに印象が変わっていない。。コロッとエイミーに行っちゃうローリーが変な感じになっちゃう。。
一応、エイミーはもはや子供ではなく美しきレディーになったという設定なので、ジョーに振られて7年間傷ついてきたローリーは愛する対象としてエイミーを選択する。エイミーもそれを受け入れる。
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ベスの葬式には間に合わなかったけど、ローリーとエイミーが帰国。
ジョーは子供の頃に湖畔に備え付けた秘密の郵便受けにローリーへの愛の手紙を投函しちゃう。
しかし、帰ってきたローリーはエイミーのことを「妻」と紹介。めっちゃショックを受けつつも、まぁそもそもプロポーズ断ったの私だしってことで、感情を隠して、二人を祝福する。
エイミーはジョーの反応が怖かったけど、ジョーがもちろん祝福するわと言ってくれたから、安心してエイミーとジョーがハグ。
「辛いわよね、ジョー」ってな表情でジョーを見つめる母。
ジョー、湖畔の郵便受けから手紙を回収。破いて川に不法投棄。
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ジョーは落ち込んで自分が書いてきた小説を一枚一枚燃やし始める。しかしその中にベスに宛てて書いた文章を見つける。
お金のために殺人事件とかの小説を書いてきたけど、違うわ、私は私の物語を書けばいいんだわ、と思い、いきなりめっちゃ書き始める。
何枚も書いては床に並べてインクを乾かす。
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タイトルは「LITTLE WOMEN」。父が四姉妹をリトルウーメン(複数形)読んでいた。子供の女の子たちではなく、まだ小さいけど立派な女性たちという意味を込めて。
「LITTLE WOMEN」を持って出版社へ持っていくが、あっさり断られる。
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帰宅するとそこにはジョーがニューヨークで出会ったイケメン教授フリック(ベア教授)。
ここからちょっと全員のテンションがおかしい。たぶん、小説「LITTLE WOMEN」の世界に突入。
ジョーはそんな気はないんだけど、家族たちが異様にフリックを受け入れて「彼はイケメンね」とか言ってジョーといい感じにさせる。
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出版社の編集長の自宅。こどもたちが「LITTLE WOMEN」の続きを読みたい!と騒ぎ出す。
「え〜、そんなに受けがいいなら出版するか」と編集長はその気になる。
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マーチ家。ピアノも引けるフリックはベスのピアノをたおやかに弾く。みんなメロメロ。
で、雨の中フリックは帰宅。駅まで徒歩。
おわり。
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出版社。再度「LITTLE WOMEN」を読んでいる編集長。
「え、主人公の女性がラストで結婚しないのか?」「はい」
「女性が主人公ならラストは結婚させるか、死なせろ」「結婚させれば出版してくれます?」
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マーチ家。フリックは雨の中を帰宅。駅まで徒歩。
「ジョーったら追いかけなさいよ!」と家族みんなが推してくる。
エイミー「ローリー!馬車の手配を!」ローリー「まさかジョーの恋を応援することになるとは」
ジョー、馬車で駅に着く。大雨。フリックは徒歩だったからジョーよりも後に駅についた。ひとつの傘の中で抱き合う二人。
おわり。
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出版社。
「お金のために結婚させたんだから、売上の配分は○%で!著作権も譲渡はしないわ」
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ジョーは本のもうけで学校を開く。場所はマーチおばの大きな屋敷。
父も母も姉妹たちもローリーも、生徒たちに自分の得意分野を教えている。
微笑むジョー。
本当におわり。