ネタバレ&あらすじ 反戦映画『彼らは生きていた』本物の映像と退役軍人のインタビューで構成される〝本物〟の戦争 ~映画イラスト~
映画『彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールド』
1人反戦特集月間
今月は反戦特集を1人でやってとりまして、
この映画を描かないわけにはいかなくて。。
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退役軍人たち200人がインタビューで語った言葉のひとつひとつがあまりにも生々しく、重く、歴史的な価値があるものだと思ったので、
それを。。。
四コマ映画『彼らは生きていた』→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2560
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本物の戦争の映像
戦争映画いっぱい観てきたし、戦場のシーンもたくさん観てきましたよ。
『沖縄決戦』も『野火』も『ハクソー・リッジ』も『プライベートライアン』も観ましたよ。
どれも地獄でしたよ。
しかし、『彼らは生きていた』に映っているものは全部本当。
本当の戦争(しかも地獄の西部戦線…)
再現ではなくリアル。
ここに映ってる人たちが
本物の、
兵士であり、
ほとんどの人は殺され、
ほとんどの人は敵を殺し、
人によっては味方を仕方なく殺した。
本物の塹壕、銃剣、砲弾孔、何キロにも及ぶ鉄条網。
その鉄条網に引っかかる死体。
死体に群がり丸々と太るネズミ。。
特殊メイクではない銃創。
作り物ではない死体。
しかもカラー映像で。。
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原題は「They Shall Not Grow Old」
日本語だと「彼らは年を取らない」とか「彼らは大人にならない」ですかね。
少年兵が多かったので、このタイトルなのでしょう。
この映画は200人の退役軍人からの600時間のインタビューと100時間のドキュメンタリー映像を、
時系列に並べて構成しています。
1914年の開戦から、
軍人募集、
軍隊の訓練、
フランスへの派兵、
西部戦線、
そして終戦まで。
ほとんど隙間なくインタビュー音声が続きます。
俳優でも声優でもない彼らの話し言葉は、淡々と朴訥としていて、それがすごく生々しいです。
その声で
「ドイツ兵を撃った。18歳くらいの少年で、かわいそうだったので水筒の酒を飲ませた。彼はありがとう、うまいと言って死んだ」
とか言うので、ひとつひとつの言葉が重い。。。。。。
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面白いんです…………
で、、、、、、
これ、、、
すごく書きにくいんですが、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
この映画、、
面白いんです。。。
映画としてカタルシスもあるし、
笑いもあるし、
ラストには切なさや悔しさや虚しさでいっぱいになるし、問題意識も生まれ、
反戦の気持ちも強まるし。
129分。
観ている間もずっとドキドキしているし、観終わってからも受け取ったものの重みをズッシリと感じていられる。
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映画のスタートは結構ほのぼのしています。
1914年、イギリスとドイツが開戦したところからスタートです。
イギリスは半年くらいで勝てると思ってた。
若い男性は入隊するのが当たり前だし、名誉なこと。
入隊しない男は臆病者扱いされた。
戦争が何かも知らない、何のためなのかもよく分からずに十代の少年たちも入隊した。
「入隊しよう!」「国のために戦おう!」「君が必要だ!」みたいな広告チラシが貼られ
映画館に行けば、入隊募集CMが流れた。
国のムードがそっちに行っちゃっていて、
ほとんどの人はそっちに流されざるを得なかった。
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だんだんじわじわと怖くなっていきます。
これが「戦争」であることが分かってくるわけです。
昨日まで事務員だったり販売員だった普通の人たちも
自分が兵士へと変容していきながら
「あ、これ本当に戦争なんだ」と実感していきます。
映画の観客もそうです。
地獄の列車に一度乗ると降りられない。逃げられない。
西部戦線のシーンにもありますが
正面からドイツ軍が銃撃してくるけど下がれない。
下がると後ろにいる味方に撃たれるから。
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六週間の訓練が終わり、
フランスへ派兵されるところからカラーになります。
退役軍人たち200人がインタビューで語った言葉のひとつひとつがあまりにも生々しく、重く、歴史的な価値があるものだと思ったので、メモりながら観ました。
四コマ映画『彼らは生きていた』
→ http://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2560
(1914年。ドイツと開戦したイギリス。)
半年くらいで制圧できると思っていたし、
男が入隊するのは当然かつ名誉なことだった。
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命令されるのはイヤじゃなかった。考える必要がないからだ
ほとんどの者は元事務員か販売員
入隊しないと臆病者扱いされる
入隊せずに町で暮らしていると、女性から「なぜ入隊しないの?」と聞かれる。
そして、臆病者を表す白い羽を振られる。
19歳にならないと入隊できないのだが15歳でも入れた。
面接で15歳だと名乗ると19歳だと言いなおせと言われ、言い直すと入隊できた。
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訓練開始。
ただの一般市民を軍人に変える訓練。
最初の数日は楽しかったが、その後は地獄だった。これは戦争だ。
50キロの装備を背負い、60キロ歩く。
支給される軍服は自分のサイズに合っていたらラッキー。
靴のサイズは合ってないのではなくお前の足があってないと言われた。
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六週間の訓練を終えると、「明日から海外派兵だ」と突然言われた。
行き先は知らない。
出陣のような高揚感があった。帰ってこられないだろうと思っていた。
(着いた場所はフランス。フランスからベルギーへ歩いて移動。)
(地獄の西部戦線。)
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銃撃と爆撃を受けて荒廃した町。どこなのかもわからない。
<ここからカラーになる>
戦いを終え、帰ってくる兵士たちにどうだったと聞くと
皆「地獄だ」と答えた。
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ノーマンズランド。西部戦線の塹壕戦。
鉄条網に引っかかっている死体の数々。
ある時、話していた仲間の頭が吹き飛んだ
最前線で死体が増えていく。
あの匂いは忘れられない
ネズミの腐ったのより何百倍も臭い
食べ物まで匂いが染み込んだ
散らばっている死体にも慣れ、どうせ次は自分だと思っていた
ネズミは丸々と太っていた。理由は明らかだ
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ドイツ軍から毒ガスが風に乗って流れてくる。黄色いガス。失明したりする。
ガスマスクがない時は、布に小便をかけて口を覆った。
ドイツ兵を撃った。18歳くらいの少年で、かわいそうだったので水筒の酒を飲ませた。彼はありがとう、うまいと言って死んだ
「塹壕を出て突撃」との命令が下る。
戻ったら撃つと軍曹。
逆らえるものはいない。
接近戦では銃剣で戦う。
それから数時間、周囲は爆音に包まれた。
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ドイツ軍は火力を温存していた。
我々は一掃されたが、「進み続けろ」と言われた。
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倒れた仲間に目もくれず進んだ。
手に痛みを感じて手を見たら穴が開いていた。
(後のシーンで、銃弾が腕を突き抜けている映像アリ。嘘みたいに穴が開いていた)
足を撃たれたが、何かを考えているヒマはなかった。
第一陣は全滅。
死体を避けて進むことが難しい。
踏まずに進もうとしたが軍曹が「気にせず進め」と。
仲間を踏まざるを得ないほどの死体の山だった。
(進んだ先には、ドイツ軍によって鉄条網が何キロにも渡って、何十メートルもの奥行きで鉄条網が組まれていた)
地獄。ウサギでも通れないだろう。
鉄条網の向こうには機銃隊。
後ろからは味方の砲撃。
(進むことができず、ただ銃撃や爆撃を受ける)
理性を失う。地獄。
文明人の皮は剥げ落ちた。
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戦場に抱いていた憧れは消え去った。
左腕と左足を吹き飛ばされた仲間が左目が飛び出た状態で祖母の名を叫んでいた。
楽にしてやろうと彼を撃った。撃つしかなかった。
辛かった。
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運よく砲撃孔(爆撃のよってできた土の凹み)に隠れたものは、仲間の死を目撃した。
隠れなかったものは死んだ。
戦車も破壊され、
ついにドイツ兵も塹壕から出てきた。
彼らは勇敢だった。
嵐の1分間。
(仲間の)死体を集めてバリケードを作れ。
(白兵戦。銃剣。生々しい戦い)
(ドイツ軍、火炎放射器を使う)
投降してきた者も殺した。虐殺は何時間も続いた。
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約600人で突撃し、生き残ったのは約100人。
勝ち負けはどうでもよかった。
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医者に大丈夫かと聞かれたから
はいと答えると
後頭部を撃たれていると言われた。
(前線から戻ってきた負傷兵を軍医たちが治療する)
大丈夫だ、弾は貫通している。
(室内には入りきらず、青空の下に死体のように並べられる負傷兵たち。負傷兵に鳥が止まる。「あっちいけ!」)
埋葬された戦死者のほとんどは17〜18歳だった。
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捕虜となったドイツ兵たちは怯えていた。
彼らもただの若者だ。
ドイツの捕虜たちはイギリスの負傷兵の搬送を率先して手伝った。
ジュネーブ条約の定めでもないのに。
ほとんどのドイツ兵には復讐心はなかった。
大抵は好人物のドイツ人だった。
彼らは礼儀正しい家庭人で子供思いだった。
ドイツ人と意気投合した。「この戦争は無意味だ」と。
ドイツ人は戦争にうんざりしていた。
誰もがやめたがっていた。
勝敗はどうでもよかった。
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(1918年11月11日休戦。その後、終戦。)
終戦が発表された。発表時、喝采などなかった。
もう撃たれる心配はない。
安堵はあっても祝う気にはなれなかった。
すっかり気が抜けて動けなくなった。
クビになった気分だ。
見捨てられた気分だ。
疲れ切っていた。
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戦後、自然に興味のあった私は、戦場に戻った。
砲撃孔に植物が芽吹いていた。感動した。
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帰国すると、スーツやブーツが用意されていた。
気に入ったものを選ぶことができた。
帰郷するのが怖かった。
就職できるのか、と。
帰還兵への風あたりは強い。
「帰還兵は応募不可」という求人もあった。
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友人が戦死した。
彼の母を訪ねると、敵意むき出しだった。
私だけ生き残ったからだ。
家に帰って、入隊後初めてベッドで眠った。
朝、私を起こしにきた母が見たのは床で眠る私だった。
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皆、戦争に無関心だった。
両親は何も言わなかった。
感謝の言葉もなかった。
たまに父と戦争の話をすると反論してきた。現実を知らないのに。
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理解の範疇を超えていたのだろう。
昔のサッカー仲間が横で殺される気持ちを理解できるわけがない。
一緒に入隊し、戦死した友人の遺体は、変色するまで放置されていた。
誰も戦争の悲惨さを理解していなかったのだろう。
誰も英雄じゃない。
殺されるのは嫌だ。
戦争は二度と嫌だと仲間たちと言い合った。
戦争を避ける努力をすべき。
正当化できる理由はない。
戦争は恐ろしい。
意味のないものだと歴史が裁定するだろう。
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仕事に復帰して唯一頭にきたことがある。
こう聞かれた「ずっと、どこに行ってたんだ?」。
映画終わり。
祖父に捧げる。そして彼らを忘れない。
この映画の監督ピーター・ジャクソンの祖父も従軍していた。
エンドロール。
曲は、戦争中に特に人気があった歌「マドモアゼル・フロム・アルメンティエール」。
(https://www.youtube.com/watch?v=EtiynnETOlM)
『彼らは生きていた』観てね。
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