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宮沢賢治『銀河鉄道の夜』の〝デスゲーム版〟!舞台『たぶんこれ銀河鉄道の夜』ネタバレあり

STAFF
脚本・演出:上田誠 (ヨーロッパ企画) 音楽:伊藤忠之 美術:長田佳代子 映像:大見康裕 振付:EBATO 照明:倉本泰史 音響:加藤 温 歌唱指導:福井小百合 衣裳:髙木阿友子 ヘアメイク:大宝みゆき 演出助手:山田 翠  舞台監督:川除 学 宣伝美術:山下浩介 宣伝写真:神ノ川智早 宣伝衣装:手塚陽介 宣伝ヘアメイク:大宝みゆき 制作:武藤香織 加藤恵梨花 新井莉音 制作進行:佐々木康志(PRAGMAX&Entertainment)/近藤由弥(ニッポン放送) プロデューサー:後藤隆志(ニッポン放送) 宣伝協力:TOHOマーケティング 制作協力:PRAGMAX&Entertainment ヨーロッパ企画/オポス 企画・制作:ニッポン放送


宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』をベースにしているとのことなんですが、


『銀河鉄道の夜』全然読んだことないし、小説読むの大変なのでアニメ映画の『銀河鉄道の夜』を観ておきました。



アニメ版はテンポの悪さが尋常ではなく、、

視覚化された銀河鉄道の世界もあまり魅力的には見えなかったし、、ほぼ全員が猫キャラクターで共感も難しくて、とても眠かった。。し、話もよく分からなかった。。

小説であれば宮沢賢治の言葉の宇宙を泳ぐような体験ができたかと思いますが、アニメとして絵的に見せられてしまうとつまらなく感じてしまいました。

話もよく分からなかったのでネットで色々調べると、なるほど、と。

宮沢賢治の宗教、思想の中で「大事な友達の死を受け入れる儀式」をやったわけね。

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で、舞台の方。

ある程度原作を知っておいた方が楽しめるとのことで、客席にも簡単なキャラ説明や原作の解説文が置かれていました。

が、割と舞台が始まるとすぐキャラクターたちが「これ銀鉄(銀河鉄道)じゃん?」みたいな感じで、世界観を解説してくれるので、全然知らなくてもそれはそれで楽しめたかと思います。

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演劇は「生で」「限られた空間で」という制限の多いエンタメだと思います。
小説に「文字だけ」という制限があるように。

小説でこそ銀鉄の世界を魅力的だったように(あ、俺小説読んでないのに…)
この舞台も制限があるからこそ銀鉄の世界を魅力的に見せていたんだと思います。

これが実写映画でやられてもそんなに楽しくなかったかと。。

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今作は〝デスゲーム〟という主題も加わって、エンタメ性はさらに増し。

原作小説がラッコ乱獲やタイタニック号沈没事件を取り入れていたように、今作でも現代の時事風俗を大量に取り入れてました。

炎上Youtuberやカスハラ(カスタマーハラスメント)、バカッターなどヒリヒリするようなキャラクターばかりが銀鉄の乗客となっています。

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銀鉄の乗客というのは実はみんな死んだ人。

現代のネット用語での「死」は炎上などの社会的リンチを表すので、今作のキャラたちもみんな「死んだ人」。

でも主役のジョバンニは悪いこともしてないし炎上もしていない。
ただジョバンニは、母が病気で寝込んでるし父は犯罪を犯したっぽくて家に帰って来れないし生活費学費を稼ぐためにバイトを掛け持ちしていて、クラスでもいじめに遭っている、
という死んだに生きている人。

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今作ではこれが主役のナオ。同じような境遇。

ジョバンニ(ナオ)を助けるのがカンパネルラ(レナ)。
ジョバンニ(ナオ)をいじめるのがザネリ(サツキ)。

原作ではザネリは銀鉄に乗っていません。

サツキは乗っているので「サツキがザネリである」というのは劇中でも揺らいでいた件ですが、ラストで原作同様サツキはレナに助けられるのやはりレナはザネリの変形だったかと。

そう、レナはサツキを助ける。そして原作通り死んでしまう。

原作では時系列が歪んでいるのか、予知夢だったのか、カンパネルラはすでに死んでいたからこそ銀鉄に乗っていたんですかね。

そうすると、カンパネルラの変形であるレナもそもそも死んでいたのか。

ラストで自ら語りますが、レナはいじめの加害者側だったという過去があった。
おそらくバレなかったし責められも炎上もしなかったのでしょう。
ただ自分の中での罪の意識から逃れられず死んでしまっていた。
そして銀鉄の乗客になってしまった、と。

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サツキとレナは音楽フェスに行き、そこで大盛り上がりの客の波に押されて、レナはサツキを庇って死亡。

ちなみに原作では川で溺れているザネリをカンパネルラが助けてカンパネルラだけ死亡。

原作がそうだったように、そのあと割とあっさりと終了。。

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舞台『夜は短し歩けよ乙女』と印象が似ている劇でした。


劇版が現代っぽいオシャレな音で
ちょっとラップっぽい歌で、原作小説の美しい文章を洪水のように客席に浴びせていきます。

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ヨーロッパ企画のお兄さん方も面白かったですし、もちろん主役のお二人や若い俳優さん素晴らしかったですが、

やはり藤谷理子さん。。


誰より歌がうまくてダンスも上手い(そもそもバレエをやっていた方)。
嫌なヤツを演じていても観客が共感できる人間らしさを備えているし、笑える場所では全部滑り知らずでした。

これは末恐ろしいですね。ヨーロッパ企画、ほんと宝物を手に入れましたね。

今年の本公演も楽しみ!


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