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ラストネタバレあり 菅田将暉主演 映画「アルキメデスの大戦」〜映画感想〜

冒頭の戦艦大和の沈没シーン、圧巻。。。。。。。。。。。

数え切れないほどの戦闘機によって空から攻撃を受けて
戦艦大和はその巨大さゆえにむしろ撃たれ放題。

戦闘機から放たれた魚雷も、的が大きい分、外れることも少ない。

「いったい何本の魚雷が命中してるかわからなかった」という証言があるほど、とのこと。

大和の〝史上最大にして唯一の46センチ砲〟も機動力が乏しく、敵機を落とせない。

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そして、松浦慎一郎さん登場。

やっと敵機を一機落とすことに成功!

松浦さん「やったぜ!」とビッグスマイルで喜んだのも束の間、
パイロットはパラシュートで脱出。

ゆっくりと海面に着水。
そしたらすぐに飛行艇がパイロットをササっと救出。

その鮮やかさ。無駄のなさ。

そして何よりも
兵士1人の命が大事にされている場面を見せつけられる。

時は1945年4月。
敗戦の4ヶ月前。

一億総特攻の魁として「海上特攻」と命名された戦艦大和の闘い。

特攻すなわち特別攻撃隊。
体当たり攻撃とも呼ばれる。

航空機による特攻を「航空特攻」。
人間魚雷の回天などは「水中特攻」。
ボート型の震洋などは「水上特攻」。

国のためであれば兵士の命など……、という文字通り決死の作戦。

大日本帝国を象徴する超弩級戦艦大和でさえも「海上特攻」として駆り出される戦況。

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大和の砲台に乗れるなんて相当優秀な兵士だったはず。


誇らしい気持ちで大和に乗り、お国に命を捧げることにも名誉を感じていたのかもしれない。
(兵士たちも今回の作戦が特攻になることは分かっていたらしい)

自分たちの戦いによって戦況は好転し国を守れると思ったかもしれない。

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だが、
連合国軍はパイロット1人を救出する余力もあるし
人の命を大事にする「人間らしさ」「平常さ」を持っていることを見せつけられて
ただただ唖然とする。

飛び立つ救出艇からのカメラアングルで彼を捕らえる。
「え……」ってな感じで恐れや畏れ、もしかしたら憧れのような表情。

素晴らしい。

余計に気分を煽るようなBGMもない。
ただ不穏な低音がビリビリと鳴っている。

ついに大和撃沈。

波が甲板に乗り上げて、兵士たちの血を洗い流す。赤い波が恐ろしい。

甲板は大きく傾き、自慢の巨大砲台も重力に呆気なく負けて、砲身をぐったりと下げる。

兵士たちの声が怖いですね。。

落ちないようにしがみついていた人ほど高く持ち上げられ、最終的にはその高さから落とされる。
柵や砲台に打ちつけ体が分解される。

海に投げ出された乗員たちに覆いかぶさるように戦艦は転覆。

艦橋にしがみつく乗員が鈴なりになっている中、
艦内に搭載されている爆弾が爆発。

大和は3つに分断され、沈没した。

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あ、まだ始まって8分くらいしか経ってません。。


もうこの大和撃沈シーンのすごいこと。。

もう泣けて泣けて。。
辛くて辛くて。。

(でも正直興奮もして。。ごめんなさい。。)

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で、
物語は12年前に遡りまして


「なんでこんな時代錯誤の巨大戦艦なんか作っちゃったの?」

という話が始まります。

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まずは
なんで戦艦ってものが時代遅れなのかの解説。

これからは戦闘機の性能が上がり、戦闘機が主力になるはず。

しかし
「戦艦こそ勇敢で淡麗である」
「海軍のくせに戦艦を馬鹿にするのか!」と保守おじさんたちがワイワイと愉しんでいる。

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「あんなバカどもが国の金を好き放題に使っている。


軍人たちの権力争いと財閥が至福を肥やすために必要のない軍艦が次々と作られていく…
軍は巨大化し、それが国の力だと勘違いし、それを誇示したくなる。
そんなことになったら確かに戦争が起こる」
by菅田将暉

そこに山本五十六。
戦争を避けるために君の数学の力を貸してほしい。と。

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史実として最終的には戦艦大和は建造されてしまう。
そして冒頭の通り撃沈する。

その未来がわかっているからこそ、成立する映画ですね。

どっちに転がるんだ??っていうドキドキ感より
負け戦に果敢に立ち向かう菅田将暉と柄本佑が悲しく、愛おしいわけで。

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民間業者との癒着や
予算を低く見積もっておいて実は倍近く建造費がかかるとか
古いものに悦に入るとことか


なんか現代日本を見ているよう。

ラストの展開も過去の話ではないですね。

日本はいつかまた巨大戦艦を海原に放つみたいなことやるよ、どうせ。

というメッセージを感じた。

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この映画には一般人はほとんど出てこない。

菅田将暉は100年に一度の数学の天才。
浜辺美波は財閥のお嬢様。
あとは軍人。

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当然、反戦映画ですよ。
愚かしいことやったし、その体質変わってないよね、というメッセージです。

でもたぶんこのラストを見て「あ〜やっぱ日本帝国最高!」って悦に入る人いると思いますよ。
それが恐ろしい。

ラストネタバレは以下に。


菅田将暉は、平山案(大和)の製作予算の算出に成功した。

8000万円だとされていた予算は実際には1億7000万円かかることが判明。
造船会社と密約を交わしている疑惑も浮上。

平山案は負けた、かと思いきや。。

「予算を低く見積もったのは日本を守るため。日本が約2億もの予算をかけて戦艦作っていることが米英に知られたら、米英はさらに大きな戦艦を作るだろう。それよりは米英に知られることなく突然超ド級戦艦を敵前に現すのが効果的。敵を欺くならまず味方から。そのために予算を低く見積もった。多少の不正は誠の真実の前では無効。」的なことを平山は言う。

みんなぐうの音もでないって感じで、一転して平山案で行くことになる。

しかし菅田将暉の反撃。

菅田将暉が書いた平山案の戦艦の図面を広げる。
年に2度は起きる規模の台風でこの戦艦は飲み込まれてしまう、と主張。

「どうやら私の負けのようだ。このたびの私の設計案は引き下げていただきだい」と平山。

平山、会議室を退席。

「藤岡案の空母が建造されることに決定した」とナレーション。

回想シーン。
実は山本五十六は平山案を潰して戦争を避けたいのではなく、
自分が推す空母の方を建造して「真珠湾攻撃」を目論んでいた。

戦争を避けるためだと菅田将暉を騙していた。

一ヶ月後。

菅田将暉と平山。

戦艦大和の20分の1の模型が出来上がっていた。

平山が菅田に言う。

「君の数式を教えてもらいたい。
正直になりたまえ。君はこの船を一度生み出したことがある。
これが完成した姿を見たいと思っているはずだ。
この船を作ろうが作るまいが戦争は起きる。
世界は日本を憎悪している。
戦争をしないと言う選択を国民が許さない。
国民は日露戦争での勝利に酔っている。
ことはこの船一隻が左右する段階ではない。
我々はその先を見つめなければならない。
私や君のような人間だよ。
君は同志だ。
アメリカと戦争起こせば、必ず負けると思っているだろ。
私も同じだ。
国力の差が圧倒的だ。
日本人は負け方を知らない。
最後の1人まで戦い続けるだろう。
そうなればこの国は滅びる。
しかし、そのとき日本の象徴となる巨大戦艦があったらどうだろう。
それが沈められたとき。その絶望感はこの国を目覚めさせてはくれないだろうか。だからこの船は巨大で美しく、絶対に沈まないと信じさせなければならない。
期待させ、熱狂させ、ついには凄絶な最期を遂げさせることがこの船に与えられた使命なのだ。
私は日本の依代になる船を作りたい。

※依代… 神霊が依り憑く(よりつく)対象物のことで、神体などを指すほか、神域を指すこともある。

滅びの道に進む前に身代わりとなって大海に進む船だ。
だからこの船にふさわしい名前を考えてある。
この船の名は大和。
」と平山。

「数式を渡してくれるね」平山

拒絶できず飲み込まれる菅田将暉の表情。

**

9年後 真珠湾攻撃から2ヶ月後。

大和の進水式。
甲板に整列する乗員たち。

完全に軍人の顔になっている菅田将暉が山本五十六に敬礼。

船を降り、海に浮かぶ大和を見て泣く。

僕はあの船が日本そのものに見えるんだよ。

「そうですね!まさに大日本帝国の象徴です!」と隣の若い軍人。

大和、海原を進む。空は曇天。不吉な印象。

暗転。

おわり。

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