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小児誤飲

①~誤飲の危険性~

救急専門医の山中磨磯さんに 教えていただきました。

 小児誤飲の40%(※1)は目撃がなく、また小児誤飲の80%(※2)は3歳以下です。子どもの気管は、1歳未満で直径0.5cm、5歳前後で0.7cm程と細く、3.9cm以内の物は、口に入れる可能性があります。そのため異物が気道を塞ぐと容易に窒息してしまいます。
 誤飲で多いのは、おもちゃです。症状は、突然の咳、呼吸困難、喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼーする異常な呼吸音)があり、呼吸不全が進行すると皮膚の色が青紫色に変化してきます。

 わが家の長女は、3歳の時に凍ったカットマンゴーで、また次女はお肉を飲み込む時に、ひやっとする場面がありました。以来肝に命じて、ミニトマトなど窒息しやすそうな食品はカットをするように心がけています。  

 救急医としては、スーパーボールを口に入れてしまい、窒息したという事例に何件か遭遇しています。口にすっぽり入れてしまえそうなおもちゃは、窒息しうるという認識を持ち、親御さんに適切に管理をしていただけたらと思います。


②~対処法~

気道に異物が詰まってしまった場合に、まず行うべき応急処置についてお話しします。

窒息が疑われる場合、まず救急車を要請してください。恥ずかしながら、私も子どもの緊急疾患にて救急車を要請したことがあります。電話だけでも的確にリアルタイムで指示を得られますのでためらわないでいただきたいと思います。


ハイムリック法

 その上で、大人や1歳以上の幼児にはハイムリック法(図1)を試みます。ハイムリック法とは、別名腹部突き上げ法とも言い、窒息しかけている人の後ろから両腕を回し、みぞおちの下で片方の手を握り、こぶしにして腹部を上方へ圧迫します。

図1ハイムリック法

図1ハイムリック法

背部叩打法

この体勢が取れない時は、横向きに寝かせて、または座って前かがみにして背部叩打法(図2)を試みます。
背部叩打法は、窒息しかけている人の背中、肩甲骨の間を強く何度も叩く方法です。1歳未満の乳児と妊婦に対しては、背部叩打法を行うように日本救急医学会は推奨しています。
特に1歳未満の乳児は体が小さいため、うつ伏せにして頭部を低くしてから、片手で体を支え、手の平であごを固定します。そしてもう一方の手で背中をしっかり叩きます。


図2背部叩打法

図2背部叩打法



 一度、ご家庭でもハイムリック法と背部叩打法をイメージしてみてくださいね。

(※1)出典元 Emerg Med clin N Am 29(2011)369‐400
(※2)出典元 東京消防庁「救急搬送データ」(2012‐2016年)

山中まき




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