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はじめまして/食品分析
はじめまして!秋の気配を感じる今日この頃いかがお過ごしでしょうか。
福井県衛生環境研究センター 広報委員会 です。
当センターは、福井県の保健衛生や環境保全に関わる調査や研究を行っている機関です。意外に身近な存在ですが、あまり知られていない存在でもあります・・・。
そこで、noteでは、「福井県衛生環境研究センターって、何しているところ?」という方々のために、公式キャラクターの衛犬ちゃんと環犬ちゃんに現場に潜入してもらって、私たちが普段行っているリアルな仕事の様子をわかりやすくお届けしたいと思います。
※福井県衛生環境研究センターの概要は下記のホームページをご覧ください。
http://www.erc.pref.fukui.jp/center/
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はじめましてワン。衛犬と環犬であります。
僕たちが福井県衛生環境研究センターに潜入して、仕事の様子を取材するよ。
食欲の秋。色々な食べ物が思い浮かぶね。サツマイモ、さんま、梨、お米、、、僕はおいしい栗を使ったモンブランが大好き!食べ物は美味しく、楽しく食べたいけど、その安全性はどのように確保されているのかなぁ??今回は、食品衛生研究グループに潜入して、食品安全について教えてもらおう。
食品衛生研究グループさん。食品安全について教えて!
潜入!食品分析の現場!
秋の行楽シーズンに行っている検査
ー着色料検査ー
こんにちは。食品衛生研究グループで検査業務を行っている研究員Fです。
私たちのグループでは毎年、秋の行楽シーズン衛生対策事業の一環として、食品添加物の検査を行っています。
検査項目には、着色料、保存料、甘味料などがありますが、今回は着色料検査をピックアップしたいと思います。
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着色料の検査って、どんなイメージ?
簡単にいうと、食品から色素を抜き取って、その色素を検査します。
なんだか単純な検査だと思いますか?
しかし、ちょっと奥が深いと私は思うのです。なぜなら、許可されている酸性タール色素の12種類中、赤色系色素だけでも7種類、それらを分離しなければならないからです。許可されていない色素を含めるととても似た色素を分離する必要があるのです。
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どのような方法で検査しているのか
下の図は酸性タール色素の検査の流れです。
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食品から水や試薬を用いて色素を抽出します。抽出した液を酢酸でpH調製し、酸性にします。酸性条件下でポリアミドという試薬を加えると、抽出液に含まれる酸性タール色素がポリアミドに吸着します。ポリアミド洗浄で吸着しない不純物は除去します。その後、アルカリ条件下におくと、ポリアミドから酸性タール色素が脱着し、色素が溶出するので、これを回収します。回収した液を濃縮し、その残留物に水等を加えたものを試料液とします。
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ここまでで得られた試料液は、色々な色素が混ぜられた状態なので、次からは色を分離する操作を行います。簡単な分析法は、いわゆる滲みの原理を利用した薄層クロマトグラフィーです。写真の白色の板が薄層板で、スポットした試料液が徐々に上がっていく様子が分かるかと思います。生活の中での滲みを思い起こせば想像できるかもしれませんが、滲みは色によって滲む速さが異なります。そのため、色素が分離ができるようになり、判定できるのです!ちなみに、薄層クロマトグラフィーで判定が困難なときには、高速液体クロマトグラフィ―という高性能の機械による確認試験を行っています。
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スーパーなどで販売されている食品を対象に着色料検査は行われている
福井県と福井市は、食品衛生に関する危害を未然に防いで、人々の健康を守るために、監視指導計画を毎年作っています。計画には、スーパーなどで販売されている食品の検査も含まれています。
冒頭でも触れましたが、秋の行楽シーズン衛生対策事業も監視指導計画の一つです。
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例えば、お店に三色団子が売られていたとします。三色団子の安全性を確認するために、保健所がお店から採取し、福井県衛生環境研究センターに検査を依頼してきます。
検査対象となる三色団子のパッケージの表示を見ると、赤色3号、黄色5号、青色1号と表示されています。ここで、私たちは本当に表示通りの色素が使われているか、または表示以外の色素が使われていないかを検査します。
検査が終わると、結果表を作成し、食品衛生研究グループ員および保健衛生部長が確認します。
検査結果を念入りに確認した後、成績書にして保健所へ報告します。表示通りの色素が使われていない等の違反がある場合は、保健所から事業者へ指導してもらいます。
このように、市場に流通している食品を、抜き取り検査というスタイルで検査しています。消費者が表示を疑うことなく、安心して食品を食べられるように、食品の安全を確保しています。
衛犬ちゃん、環犬ちゃん、いかがでしたか?
ありがとー!
いつも何気なく食べている食品も、検査によって安全が守られているんだね。知らなかった!安心して、秋の味覚を堪能するぞ!おぉー!
今後は、細菌・ウイルス研究グループ、大気・化学物質研究グループ、水質環境研究グループの現場に潜入するぞ!
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