最良の医療のカタチ
このブログを書いている私は、学生時代野球をしていました。
今でも野球は好きですし、草野球もします。
そんな中、2019年に引退したイチローさんはやはり特別です。
私が小さい頃からプロ野球界のスターでメジャーリーガーとしても輝かしい活躍をされました。
そんなイチローさんが引退会見の時に言った一言にとても共感したため、本日はその内容から書きたいと思います。
一部抜粋…
2001年に僕がアメリカに来てから、この2019年の現在の野球は全く違う野球になりました。まぁ頭を使わなくてもできてしまう野球になりつつあるような…中略。本来野球というのは…中略、頭を使わなきゃできない競技なんですよ、本来は。でもそうじゃなくなってきているのが気持ち悪くて。
この頭を使わなくてもできてしまう野球というのは、統計学やデータに基づいた野球ということです。詳しく書くと何の記事かわからなくなるので省きますが、勘や経験則よりも、過去の統計的データを優先して作戦を実行していくことを指します。
一見先進的で良さそうに見えます。しかしイチローさんは効率性や結果重視ではなく、あくまでも、自分の持っている知識や技術、精神状態、癖、その日の条件などあらゆるものを統合してプレーを行うことこそが重要なのだと言っているのだと思います。
例えば、統計データからバッターがどの方向によく打球を飛ばす可能性が高いかを計算し、そこから導き出された守備位置と、バッターの癖、カウント、イニング、味方投手の状態、気候、流れなどを総合し判断した守備位置では、仮に同じ場所に守っていたとしても全く別物であるということです。
野球を知らない人からすれば少し難しい話かもしれません。
簡単に言えばコンピューターの計算を信じてプレーを行うか、過去の経験やその時点の勘などを優先してプレーを行うかの違いです。
この話は現代の社会でも通じることなのではないかと思いました。
スマホやパソコン、インターネットなど生活があらゆる面で便利になり、我々の生活は劇的に変化しています。
ひと昔前が必ずしもよかったかどうかはわかりませんが、人間らしさや人とのコミュニケーションなどは簡素に希薄になっている印象があります。
特にコミュニケーションの主はSNSなどの媒体を使用しています。もちろんそれがすべて悪い訳ではなくいい部分と悪い部分があるということです。
医療の世界でも、AI診療などが導入されつつあります。AIは情報処理能力がとてつもなく高いため人間が処理できないものまで処理できます。そのため見落としや誤診などが起こる可能性は低くなります。
しかし使用する人間側はその能力を過信して、勉強しなくなっては意味がありません。機械を使うのは人間であり、人間としての能力が低下してしまえば、どんなに優れた機械であっても役に立ちません。
そこで大切なものが知識と知恵ではないかと思っています。
人生においてはどちらも大切ですが、最近では情報量が多くなっている影響で知識ばかりが多くなり、知恵が足りなくなっているのではないかと思う場面によく遭遇します。
リハビリにおいても優れた福祉用具や高度な機械などが開発されており、いままで数値で表現できなかったものが数値化され、より具体的な治療を行えるようになりました。
リハビリの分野では、できないことをいかにできるようにするかが焦点になります。体の機能が低下した場合、体の機能を向上する治療を行います。それでも不十分な場合は環境や道具を使用して生活の質を改善していきます。
その時に必要なのは知識よりも知恵です。
もちろん医療者側だけでなく、患者本人の知恵も必要です。
本人がどうすればできるようになるのか、考えることを諦めてしまっては元も子もありません。
人間らしくあり続けるためには、便利や効率だけを求めていてはいけないのではないか、ということをイチローさんに考えさせられたような気がします。
良いものは取り入れ、良くないものは知恵をもって改善する。
根拠や効果などのデータのみを利用して、治療を行うのではなく、患者さんの気持ちや置かれている立場、性格、状況などさまざまなものを総合して治療を行います。
先進的で高度な医療と気遣いや思いやりなどの人間として当たり前の心をもって今後も治療や技術力向上に精進していきたいと思います。
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