運動習慣獲得における心理的な影響
運動が健康には欠かせないことは、テレビや新聞、医療機関、運動施設などで周知のことと思います。患者さんでも運動をするべきであることは知っている方がほとんどです。
最近ではマラソンやエアロビ、フィットネスジム、地域の健康体操など、多くの場所で運動する機会が増えたことで、少しずつ実践する方が多くなっている印象があります。
運動には色々種類がありますが、病院で行っている運動療法やリハビリテーションは、単なる運動ではなく「治療」です。つまり薬を飲んだり、手術をしたり、傷の処置をしてもらうことと同じです。しかし運動療法を行った方が体にはいいということがわかっていても、運動をしないことによって、今すぐ体に害が及ぶわけではないため、患者さんの選択肢の中から外れてしまうことがあります。
そうした背景には、人間の心理や精神状態が影響しているかもしれません。
今回はそんな内容についてみていきましょう。
まず最近健康番組が非常に多くなっていると感じることはあるでしょうか?
私はとても感じます。
NHK・民法・BS・CS、ラジオ問わず、毎日どこかの放送局で健康についての番組を目にすると思います。その背景にはテレビを見ている年齢層が高齢化している現状もあるかもしれません。
健康番組を観て「簡単!お手軽!たった5分!」のようなキャッチフレーズで、紹介されている場面は想像できると思います。
運動療法を行っている患者さんでも、楽で刺激的な情報に影響されて、地道な努力から脱落しそうになることがあります。
我々としては安易や情報ではなく、正しい知識を指導、教育する必要があります。
しかし残念なことに若年の医療職種であっても運動習慣がある人は5割にも満たないと言われています。それほど運動習慣を獲得するのは困難です。
では運動習慣を作るために必要な要素はなんでしょうか?
ここで大切なのは、意志が弱いことや、運動の大切さを理解しているかどうかはあまり関係がないということです。
そのため「運動を続けないと病気になりますよ!」や医師や理学療法士が運動を強要するようなやり方をすることは効果的ではないと言うことです。
大事なのは自身の自発的な取り組みをどう援助していくかという、仕掛けやしくみ作りにあります。
また運動習慣を築く際に障壁となりやすいものには色々あります。
患者本人に目的がない場合、仕事の都合、不便さ、金額、医療施設側では運動指導が不十分、楽しさが低い、適切な運動強度の指導ができていないなどがあります。その他環境や精神状態など多くの場面でドロップアウトする原因があります。
我々に必要なことは患者さんに合った、指導、教育、タイミングを見極めることです。有名な考え方でその人のレベルを
無関心期⇒関心期⇒準備期⇒実行期⇒維持期
とわけることができます。
無関心な人に運動の具体的な方法や根拠などを説明しても、前に進まないのは想像できると思います。無関心な人にはまず関心を持ってもらうことが重要です。
関心が出てくれば、実際に運動するためには何が大切なのかを知りたくなるでしょうし、優先順位が上がるはずです。
実際に始めれば、もっと楽しく、効果的に行う方法が知りたくなると思います。
このように今どの段階にいて、何が必要なのかを、医療者側が把握して、促す必要があります。脅しや強制や強要による運動の促進が良くないのはこのためです。
他にも人の性格パターンや、年齢、生活してきた環境など種類は十人十色です。
そして運動を始めるきっかけはそれぞれです。
病気やけががきっかけの方もいれば、定年退職や友人家族からの刺激、テレビや本からの情報などがあると思います。
きっかけは正直なんでもいいと思います。
大切なのは正しく続けることです。
今後もその人にあった方法、手段で運動療法を続けられるように援助を行っていきたいと思います。
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