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溢れだした想いの色は。
出産を終えて少しずつ生活のリズムが整ってきたので、やっと読みたかった本を読めました。
私の推し作家さんでもあり、尊敬する先輩でもある三本恭子さんの「フラワー・メーカーズ」
色とりどりの花びらが描かれた表紙が、散りばめられた宝石のようで素敵。
表紙だけでなく栞も、なんかもうスーツの胸ポケットに挿してチラ見せしたいくらい綺麗です。え、これってブートニアじゃないんですか?
こちらに載っているお話は全て三本さんのnoteからも読むことができますが(2021年3月30日時点)これはぜひとも紙で持っていたい本だと思いました。そして、思い出したときに何度も繰り返し読みたい。
宣伝では一切なく、ただのいち読者として感想を綴らせていただきたいと思います。
この美しい本のなかでは――
行き場を失っても募り続ける想い。
はたから見ればチグハグかもしれないけれど、深い場所で繋がっている想い。
そして何時如何なる時でも、ずっと続いていく想い。
様々な想いが繊細かつユーモラスなタッチで描かれます。
個人的には三章の『うれしい夢路』が好きです。
そよ風を受けてなびくカーテンのような柔らかい優しさで満たされていて。
少し昔ですが安藤裕子さんの『のうぜんかつら』という歌が、読んでいるあいだ脳裏に流れていました。(余談ですがのうぜんかつらの漢名は凌霄花といって、空を凌ぐ花という意味があるんですね。かっこいい)
ありふれた毎日でも、ただ幸せで涙がにじむ……三章を読んだときの感情は、そんな気持ちに似ています。
いや、でも一章の『さみしい怪獣』も登場人物が全員好きだ。
主人公の"好きになりたがる気持ちにうんざり"してしまう気持ちが、すごくわかる。
でもでも二章の『こいしい神様』も、序盤から三本さんが操る文章が巧みで面白くてぶっ飛んでいて中毒性がある。
推しを崇め称え祀るための言葉って、まるで神託のように無限に出てきちゃいますよね。WAKARU。
そしてそれらの物語を予感させてくれる序章が持つ不思議な雰囲気も、全てをそっと受け止めて彩ってくれる終章の安心感も、素敵でした。
つまるところ、私はこの本の最初から最後まで全てが好きでした。
困っちゃう。
勝手に次の作品も楽しみにしておりますので、なにとぞ!
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![福井あや@ライター](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/24254500/profile_7ba744d1c44a328f439e405bf0d39528.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)