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人権が公衆衛生の犠牲になってよいのか

人権よりも公衆衛生が優先している

一人の人権は地球よりも重い」という言葉(判決)は死んでしまったのでしょうか。例えば、2021年に新型コロナワクチンを接種後に死亡した高松市の男女2人(70代女性と20代男性)について、国の死亡一時金が給付されることが2023年9月に決まりました。

予防接種法に基づく国の健康被害救済制度に基づき認められた給付額は、70代女性が約4445万円、20代男性が4420万円とのことです。ひと一人の命の値段(4530万円)がここに明記されています。
公衆衛生という社会全体の利益を守るために、予防接種法は実際にこのような形で市民に命を差し出すことを求めます。現在の予防接種法では強制接種を求める法律ではなく、接種はあくまで任意でありひとり一人の判断で制度に納得した人が予防接種問診票に署名して接種を受けるというしくみになっています。(2年近くかかる手続きと苦労の後に運がよければ機能する制度になっていますが)まずこのしくみをよく理解しておく必要があります。

パンデミック条約は予防接種法の上位になる

もう一つ法体系に関わる問題があります。条約は法律に優位するため、基本的人権に関わる法が主権者の権限を逸脱して定められることです。パンデミック条約等で感染症に関わる人権制限が決まると、上記の予防接種法が定める任意接種の規定が改めれられてしまいます。
WHOでは、2021年12月、特別総会決議を採択し、パンデミックへの対応に関する新たな法的文書の作成について、政府間交渉会議(INB)の設置を決定しました。2022年2月に最初の会合が行われ、2024年5月のWHO総会において成果物となる条約案を提出することを目指しています。
条約の文言を決めているのは主権者である国民でもその代表でもなく、実体は外交官の業務になっています。なぜ私たち市民はこのような制度の不備を是正せずに放置しているのでしょうか。

市民の代表ではない外交官が人権を差配している

田口一穂さんは、厚生労働省大臣官房国際課国際保健・協力室長を務めていました。厚生労働省国際保健・協力室長として、COVID-19感染者の出たクルーズ船への対応、ワクチン供与のための国際的枠組みであるCOVAXの立ち上げなどに携わりました。その後(2021年8月2日)、ジュネーブ国際機関日本政府代表部参事官に出向しました。代表部において当初は人権を担当していました。田口氏は、国連人権委員会のミャンマーの特別報告者を務めた故・横田洋三先生のゼミに所属していた経験があり、国連総会、IAEA、軍縮、国際保健(COVAX、WHO等)など、多国間外交の分野の業務に従事してきました。人権理事会における議論がどのように行われるかについても詳しく説明しています

ジュネーブ国際機関日本政府代表は民主的基盤のない行政官

西太平洋地域の指名を受け2022年2月からパンデミックへの対応に関する新たな法的文書(パンデミック条約とも呼ばれます)の作成のための政府間交渉会議(INB: Intergovernmental Negotiating Body)の副議長を務めています。INBにおいては、オランダ及び南アが共同議長を、ブラジル、エジプト、タイおよび日本が副議長を務めています
彼の業務は、パンデミックに備えるための新たな枠組みを作り上げることで、これは将来、数多くの人々の命や健康に関わっています。

国際保険機関はどれも民主の裏づけがない

COVAXはCOVID-19のワクチンを、複数国で共同購入し、公平に分配するための国際的な枠組みです。GAVIアライアンス(GAVI)、世界保健機関(WHO)、感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)などが主導しています。また世界最大のワクチン調達者であるユニセフ (国連児童基金)は、「COVAXファシリティ」を代表してその主導的な役割を担います
COVAXの目的は、中・低所得国がCOVID-19の診断、治療、COVID-19ワクチンへの公平なアクセスを可能にするために国際的なリソースを調整することです。2020年7月15日までに、人口の60%を占める165カ国がCOVAXに加盟しました。
しかしWHOやCOVAXの構成員は各国の行政官であり、民主的な裏づけがありません。各国からの行政官の派遣はWHOへの拠出金に対応していると考えられますが、国ごとの拠出金はWHO全体の20%程度に留まっており、民間企業などからの拠出額がWHOの活動を支えています。

WHOへの国ごとの拠出額のグラフ:拠出金全体の20%程度しかない

WCHを公衆衛生サポートの世界組織に

コロナ禍にWHOに対する信頼が大きく揺らいでしまったため、民主的な公衆衛生に関わる情報を提供する世界組織として、WCH(World Council for Health)が2021年9月に設立されています。現在は各国のNGOを束ねた組織ですが、WCHがこのあと民主的な基盤を整えていき、公衆衛生サポートの世界的な組織としてWHOを代替していくことが期待されます。国会議員(国民の代表)である原口一博議員がアドバイザとして加わっています。

World Council For Health (WCH)





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JinseiDohraku
人生は宝石箱をいっぱいに満たす時間で、平穏な日常は手を伸ばせばすぐに届く近くに、自分のすぐ隣にあると思っていた……