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「スリーパー」
映画は1973年の作品だが、その200年後が舞台のSFコメディ。
男(ウディアレン )が冷凍保存され、200年後の世界で覚醒し、全体主義社会から追われながら生きるうちに、出会った女性と恋仲になったり、革命運動に加担していく。
単にSFとくくってしまうと首を捻りたくなるのは、一貫してウディアレン が作品を皮肉まじりに作っているからだ。故意にチープな装置や美術を使って(その皮肉の象徴として、家事代行ロボットだったり、セックスマシーンだったり、未来型ドラッグのような球体が登場する。)科学技術の進歩を小馬鹿にしているように見える。そのうえ、やっていることは1970年代と変わらずフリーセックスだったりドラッグだったりするわけである。
ジャズや哲学的思想など、古典を愛するウディアレン がSFに手を出すと、やっぱりこうなるのかとニンマリしてしまう。
私の中で、007のボンドガールならぬ、アレンガールの上位にあげたいダイアン・キートンがこの作品でも本当にキュートで良い。彼女のコメディエンヌの才能を見出したウディアレン には感服せずにいられない。彼女のコミカルな演技は、間とテンポが本当に絶妙で、勘の良さと知性を感じることができる数少ない女優だと思う。彼女が長きにわたり公私ともにウディアレン のパートナーになったのも理解できる。
この作品の中で特に素晴らしいのは、ウディアレンとダイアンキートンの恋がはじまるシーンで、冗談ばかりの台詞のなか、しっかりロマンチックに見えるから不思議だ。本当にウディアレンはこういうのが天才的にうまい。彼がプライベートでモテ続けてきた理由がこんなところからも分かってしまう。「冗談を言うのは自己防衛反応だ」と言うセリフもシャイで洒落たとても彼らしい言い回しで良かった。