土井泰昭・麻雀漫画原作の知られざる名作
今では誰も知らず、買うこともできない漫画の紹介って意味あるのかな?
こんなのを書くのは、宇宙で俺(と林田さん)だけだと思うので、ほんの5分だけお付き合いください。
雀士ロマン 牌師(わざし)
作画・北野英明
原案・山根泰昭
全3巻
刊行・双葉社
1巻(1989年)~3巻(1990年)
70~80年代のしょーもない麻雀マンガが大量生産されていた時代から数十年が経ち、今となっても原作者として生き残っているのは、土井泰昭、来賀友志の2人のみ(土井さんは生き残ってる扱いでいいのかな?)。
その理由は、土井のこれと来賀の『あぶれもん』を読むとよくわかる。駄作の海だった当時にあって、どちらもまるでレベルが違う。才能も違うし、脳みそを絞ってアイデアやキャラをよく煮詰めている。
ちなみに、土井の当時のペンネームは山根。ペンネームを決めたとき、隣の席に座っていたバイトの名前が山根だったから。じつに土井らしい無意味な理由だ。
本作はすべて1話完結のショートストーリーだ。こういう読み切り連作は手間がかかるわりに人気が出にくい。キャラものにした方がはるかに楽だし、売れやすい。この地道な努力を3冊分も、あのグータラな土井が…と思うとしみじみする。
どの1話も、草の根雀士と呼べる人たちの話で、その1話だけで消えてゆく。だが、どの1話もテーマが展開されてゆき、起承転結がしっかりしている。手抜きがなく、かなり読みごたえがある。個人的には1話完結のオムニバス形式のものでは麻雀漫画の最高峰じゃないかと思う。
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