英知1

【雀ゴロ】早熟の天才が鉄火場を離れた理由 その2

太古の昔に『平成の裏仕事師列伝』というムックに書いた原稿です。「その1」からの続き。

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トップ1回で50万になるマンション麻雀

麻雀だけで月に150万は軽く稼ぐようになった水上。しかし、それは同時に彼を借金生活に足を踏み入れさせる要因ともなった。

「その六本木の雀荘にいた給仕のおじいちゃんが、どこかの組から頼まれてノミ屋をやってたの。それまで競馬なんてやったことなかったけど、もともと博打が嫌いじゃないだろ。 もう土日なんかは朝から嬉しくて、ヤクザじゃないけど、はずれると倍々プッシュだよ。麻雀の勝ちなんか、あっという間さ」

すでに金銭感覚は失われ、借金することに何の路躇もなかった。いくらでも麻雀で稼げる、という自信が歯止めをなくした。

「その次は小島先生たちと競艇だよ。圧倒的に負けたね。よくわかんないけど、4、5千万 はイカれてんじゃないかな」

借金はいくらでもできた。後に水上自身が継ぐことになる実家が信用商売を営んでいたため、貸す側が不安を持たない。家業がしつかりしているから絶対に回収できる、と。

「親から言われたことあるんだ。怒らないから本当のことを言ってみろと。この金の持ち出し方はただごとじゃない。どこかに奥さんや子どもがいるだろうって。いよいヤバクなってきたよね」

追いつめられた水上は、そのころ急速に増えていたマンション麻雀に手を出す。ただし借金返済という理由の裏には、腕試しの欲求があった。

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