【現代麻雀への道】7 ホウテイロンの成立
大論争、13枚基準論vs14枚基準論
今回はルールの話だ。 現在、日本と他国ではルールがむちゃくちゃ違う。
たいがいの国では牌を1人ずつ並べたりしないし、フリテンの概念もない。そして振り込みの貴任払いもなく、ツモ和了りと同様に3人で払う。
こういった日本式ルールがほぼできたのは昭和初期。この頃、中国式から分かれて独自の道を歩き出した。そのブロセスはおいおい見ていくことにして、今回は日本人がどれほどクソまじめで理屈っぽいかを証明する一大論争を紹介しよう。
その論争は「13枚基準論vs14枚基準論」と呼ばれる。麻雀の手はふだん13枚、アガったときには14枚だ。そのどちらが手牌の基準 (つまり真の姿)か、大まじめに議論したのである。
こんなことを決めなくても、麻雀を打つにはほとんど関係がない。中国人なら「イカサマしなきゃどっちでもいいから、問題は金だ」といったところではなかろうか。
この論争は専門誌「麻雀」と「麻雀春秋」誌上で行われた。
まず昭和5年に米沢章(よねざわあきら)が「14枚基準論」を発表する。それを受けて小田秋(おだしゅう)が「13枚基準論」で反論した。
14枚派の論拠はこうだった。
・親は配牌が14枚である。
・親も子も九種九牌の流局を14 枚で宣言する。
・手牌は14枚で完成形となる。
・中国式ではハイテイ牌をツモってアガリでなければ、そのまま捨てないで終わる。
われわれの感覚では、ハイテイだけ捨てないのは明らかに変である。しかし、中国から伝わった麻雀はそうだった。
そして、手牌は14枚で 完成形となるから、それが真の姿といわれるとそんな気もする。
それに対して13枚派はこう反論した。
・配牌は本来13枚であり、親が14 枚となっているのは便宜上のことである。
・九種九牌も本来は13枚で宣言するものだ。
・完成形は14枚でもゲーム中の手牌はあくまで13枚。別ものだといえる。
・ハイテイ牌がツモアガリでなければ捨てるべきだ。
1番目2番目4番目はしごく当然な内容、3番目もなるほどといったところ。
この論争のキーはハイテイの扱いにある。当時はハイテイ牌を捨てることもあれば捨てないこともあるという中途半端な状況だった。
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