Photo by tomekantyou1 観戦記というボロ 30 福地誠 2024年11月5日 16:35 ¥100 今読んでる『大山康晴の晩節』(河口俊彦著)という本にこんな一節があった。 大山康晴の晩節 (ちくま文庫 か 64-1) www.amazon.co.jp 579円 (2024年11月05日 16:30時点 詳しくはこちら) Amazon.co.jpで購入する 著者は山田道美八段のエッセイを引用している。芸術家がその作品に全身をぶっつけていくように、盤上に自分を打ち込めたら――だが、私がどんなに対局中に一生懸命指しても、その後にはやはり恐しいママ空虚がきた。そして、苦闘の末作った棋譜は、観戦記というありあわせのボロを着せられ、死骸のように新聞に載って、捨てられた。以後はこの本からそのまま転記する。 観戦記というボロを着せられ、というあたり、山田が最も書きたい部分だったろう。これだけはっきり言ったのだから、当時の観戦記者達に少なからぬ衝撃を与えた。私もそれを憶えている。 文学趣味のかかった観戦記者達は、内心山田の言い分をもっともと思った。しかし、どう書けばよい、というのだ? うっかりありのままを書いて棋士の機嫌を損ねたら、すぐ首が飛ぶ。当時、観戦記を書くのは、棋界のなかでは最高に率のいい仕事だった。割りのよい仕事は手放せない。そこでとったのは、徹底的な無視だった。山田の文など読まなかったふりをした。そうして今日に至るまで、観戦記は何も変わってない。それどころか、年々おもしろくなくなっている。著者も俺も観戦記を書く立場の人。共感するね。つまらない文章は罪だ。ただ埋めるための文章は罪。そう思ってるなあ。 ダウンロード copy ここから先は 0字 この記事のみ ¥ 100 購入手続きへ 定期購読マガジン ¥ 1,000 /月 目標は毎日17時に更新ですけど、本当に実現できるか自信ないので、公約としては月に15回以上更新です。個別記事は100~300円で、それを月1000円で一括購入できます。 たそがれ麻雀放浪記 ¥1,000 / 月 自分が打った麻雀の話、業界ウォッチング、Mリーグ観戦記、麻雀というゲームに関する考察など、オンレート/ノーレート、日本/外国、麻雀の現在/… 購読手続きへ ログイン 4人が高評価 #大山康晴 #河口俊彦 30 この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか? チップで応援