8戦5ラス、悪夢の中を歩くハギー Mリーグ11/19第2試合
またもラスった
11/19(木)第2試合
村上淳×萩原聖人×松本吉弘×和久津晶
ハギーが登板し、またもラスった。
ここまでの順位変遷は44243344だ。
個人最下位からまたもラス。いったいどこまで負けてしまうのか?
before↓
after↓
なんというダンラス。苦しい。本当に苦しい。これまで8戦5ラス。Mリーガー30人中ただ1人ノートップ。
さすがにこれは気の毒すぎるわ。本人もメンタルにきてる模様だ。
麻雀って負けるときは誰が打っても負けるもの。一番重要なのは配牌とツモだから。
とはいえ、内容的にベストを尽くしたものだったのか? それを検証していこう。
牌譜は田中 航/北越せっぷさんから↓ いつものように1000円サポートします。
この日のハギーが良かったこと。それは態度や表情だ。ここしばらくの不安そうな表情が消えた。あの表情じゃ見てても勝てる気がしない。この日の表情なら見てられる。
とはいっても麻雀は顔で打つもんじゃないから、肝心の中身に行こう。
東1局 ひょっこりツモは雷電の宿命?
対面からリーチが入った同巡、こちらもテンパイ↓
切る牌は中筋の5s。これくらいは押す。
すると次巡ひょっこりツモアガリ↓
これは嬉しい。
雷電ってこういうのやけに多いよね。瀬戸熊さんは役なしダマ押しってよく見る。雷電はツモのみをアガる宿命があるのか?
変な宿命とはいえ、役もつかなそうなカンチャン+リャンカンからのツモアガリ。リー棒込みで2500点の収入。気分いいよね。まずまずのスタートを切った。
東2局 少し危うげ
南家の松本が一度もツモってないうちから3つもポンが入った荒れた局。
4巡目、ハギーはここ↓から打東。
これさ、字牌は持ちたくて持ってるわけじゃないよね。絞ってるだけ。そして東は安牌だ。
ハギーはここから安牌の東を切ったけど、ション牌の字牌のどれかを切った方がよくねーか?
今の巡目ならション牌の字牌が3つもあってもいいけど、このまま巡目が進んでいくと危ない。
上家は村上で、リーチ超人と言われるほどメンゼン打法だ。その村上が早々と北をポンしたのは、早いか高いか、少なくとも一方は満たしてるはず。両方満たしてる可能性も十分ある。
対面の和久津はかなりバラバラな手牌から成り行きチンイツかホンイツはありうる。ただ、1巡目からノータイムポンなので、そこそこの素材はあるのだろう。下家の松本は不明。
この局は村上と和久津によって煮詰まり度が高く、決着巡目が早くなる可能性が高い。まもなくどちらかがテンパイ濃厚となり、気楽な牌を切り出せなくなる。そのときに安全牌がなくて大丈夫か?
当たりにならないうちにション牌を切り出していき、振り込みにならないようにした方がよくね? でもハギーはそういう打ち方は嫌いなんだよな。
こういうバランスは人それぞれの価値観だ。正しい/正しくないが確定してるわけじゃない。ただ、手の内が危険牌だらけになって大丈夫なん?という。ブクブク手は有効牌が多いというメリットあるけど、この手は危険物をいっぱい持ってるだけで、ション牌の字牌3つは自分の手の役には立ってない。最悪だ。
そんな心配が当たって、唯一のメンゼンだった松本からすぐリーチが入った。一発目のハギーのツモは現物で、ホッとしつつそれを切ったら、松本が一発ツモ。
マンガン。ハギーの親は親かぶりで終わった。
東3局 序盤の字牌処理が変わった
1巡目、ハギーはここ↓から打中。
これは最強AI・スーパーフェニックスが多用する1枚切れ残し打法だ。スーフェニは役牌を切るとき、ション牌の方から切って1枚切れを残すことが多い。
2巡目、ハギーの意図がはっきりする。ここ↓から1枚切れの發を残しション牌の白切り。
これは村上が多用し、最近は岡田もその信徒になった「ピンフ手のときはション牌の役牌から切っていく打法」だ。
以前のハギーはこういう打ち方しなかったよね。観戦記などを読んでハギーも学んだらしい。勉強してるじゃないか。
4巡目、ここ↓から打3m。
この場だと、いかにも1mや2mを引きそうだから、これは北を切った方がよくねーか。こういうのは自分にリターンがあるブクブクだ。
もし誰かからリーチがきたときの安全牌としては、2枚ある1sは親の現物で、子2人の現物はないけど1sでいいんじゃないの。1m2mロスの方が痛い。
7巡目、ここ↓から打西。
マンズは場況がよく、ソーズは良くない。ここで7mを切ってしまうのは負けすぎのメンタルやられ病だ。ちゃんと7mを残せた。
悪夢のふんわり放銃
と、そこに親の松本からリーチが入った。
その一発目、ハギーのツモは2m。
ハギーは7m切り。
9巡目、ツモ6m↓ これが重要な局面だ。何を切るか?
まず、マンズの安全度では2mより6mが上だ。8mが3枚見えなので。
そして、25mは5枚見えで、この待ちだったら入らないまま残ってそうだ(この読み方はする人としない人がいる。俺はする派なんだけど、けっこうあてにならないから、しない派の人があえてこういう考え方をする必要はないと思う)。
自分の手牌はピンフイーペーコーのリャンメン+カンチャンの1シャンテン。ドラなし。相手は親リー。
自分の手がこの形で、ここにドラが何枚あったら、親リーに臭いところを押していくべきだろう?
ドラ2なら微妙に押す。でもガチな危険牌は切らない方が絶対にいい。
ドラ1は微妙。まーまー通りそうでも無筋は切らない方がいい。そんなバランスじゃないか。
じゃあこの手はというとドラ0。マンズの2mや6mみたいなまたぎ筋も切らない方がいい。押す手じゃない。
テンパイ後で考えたときに、ここにカン2sが入ったら鉄リーだけど、47pが入ってカン2sなら押せない。ダマ押しして、無筋を引いたらオリることになる。
テンパイ後でもそうだから、1シャンテン時はなおさら。
調子いいときは粘ってると2sを引いたりするから難しいんだけど、ここで親リーに打ったら死亡するでしょ。逆境を凌がないと。
ここで切った2mが当たって、裏ドラも乗って親マン。あっさり切った2mによりハギーは一撃で死亡してしまった。
村上の盤石の守備力
ハギー放銃時の4人の手牌を見てみよう↓
25mは7枚見えており、山に生きてるのは赤5mのみ。ということは、村上とハギーで、どっちが親リーに打たないかの凌ぎ競争をして、ハギーが負けたわけだ。
これ↓がリーチ一発目の村上の手牌。
一発で当たり牌の2mを引き、北すら打たず8mを抜いたんだよね。
これは北を温存して将来の安全を万全にするためでもあるし、現物を早めに中抜きすると、ワンチャンスができやすくなって、脇が振り込みやすくなる効果がある打ち方でもある。
2pも現物なのに、なぜメンツ中抜きの8mの方から切ったのか? 2pは上家の現物でもあるからだよね。上家からもリーチがきたときに2pなら切れる。万全の態勢だ。
村上の守備力って、Mリーガーの中でも随一じゃないかってくらい高い。あの高打点打法は守備力に支えられてるんだよね。だから村上のむちゃくちゃ安定した守備に敗れても、それは恥ではない。
ただねえ、ハギーって守備は苦手じゃないんだよね。逆境を凌いで逆転する打法だから、無理せずじっと我慢の麻雀をするのが基本だ。ふわっと振り込んでしまうタイプではない。
この局面でマンズのまたぎ筋の放銃率って4%くらいだろう。3%以下とは思えないし、5%以上にも思えない。つまり、そこまで危険なわけではない。中盤の筋2378くらいの危険度だ。
とはいっても、この程度の手で放銃率4%の牌を親リーに押していいかといったら、いやいや、下手すると一撃で死亡しちゃうよ?となる。実際死亡した。
うーん。ふんわり放銃はハギーらしくないよ。粘りや凌ぎが持ち味じゃなかったん?
今期のMリーグは大きくレベルアップした
俺の中ではハギーって弱くないんだよな。2年前にMリーグが始まったときに驚いたくらいだ。いつからそんなに弱くなったん?と。
守備に関して、これからもこんな感じだったらMリーグじゃ戦えねーぞ。村上とか多井と打ってるんだよ? 他の人たちもみんな強いんだよ?
いやいや、女流の人たちもいっぱい混じってるでしょ?って疑問が出るかもしれない。今期はレベルアップが大きい。日向、和久津など、過去にかなり厳しいことを書かれた人たちが、やべーと思ったのか、弱点を補強して臨んできてる。
プロってこういうものなんだね。金をもらって大観衆の前で打ってると、責任感が生じて自分から勉強する。日向や和久津は去年は麻雀を勉強した年だったんじゃないか。
亜樹だって、このままじゃヤバいか…、どう打てば?と悩みつつ打ってる感じがある。
他にも、男性プロ連盟勢の変化が大きい。遠い仕掛けもするようになったタッキー、役牌バックもするようになった瀬戸熊、リーチして火力を上げるように意識してる藤崎など、いろんな変化がある。プロ連盟勢は巨大団体ゆえのガラパゴス現象があって、麻雀が古臭い傾向があったけど、それが急速に現代化しつつある。
Mリーグのレベルは1年目→2年目より、2年目→3年目の方が変化は大きい。今年は今までで一番レベルが高くなっている。
麻雀警察だったり、わせりんだったり、へたくそに厳しい麻雀オタクがいることも大きいんじゃないか。どう下手なのかちゃんと説明するからね。
そんな中でハギーは進歩してるのか? 何かしら学んでることは打ち筋に表れている。でも、得意の守備でこんな「ふんわり放銃」してるようじゃ、本当に勝ち目がねーぞ。
ふんわり放銃を再確認する
「ふんわり放銃」というのは、マンズがいっぱい切れてて一見通りそうだけど、無筋での打ち込みということ。
もう一度、振り込んだ状況を見てみよう↓
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