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愛と哀しみのボレロ

これは1981年のフランス映画の題名ですね。クロード・ルルーシュ監督。

今は映画をまったく観ない俺だけど、大学1年、2年のときは年100本くらい観た。

当時はバブル期だったから、株や不動産がボンボン燃えてたし、麻雀でも、下手くそなのにアホみたいなレートで売ってるバブル長者がいっぱいいて、美味しいマンション麻雀が山ほどあった。

しかし俺は、芸術を知的に理解してないやつは人間としてレベル低いと考えてる、時代とズレた文学青年崩れだった。

なので、山ほど観た映画も、娯楽っぽいやつは少なくて、芸術っぽいものが多かった。世間は金で狂ってた時代に、俺は真逆の方向に行ってて、知的ぶり芸術ぶってた。

芸術とは眠くなるもんだ。どの映画を観ててもそのうち寝てしまうんだけど、いずれ知的に高い水準に達したら、眠くなるどころか興奮して勃起するようになるんじゃないかと信じて映画舘に通ってた。

「愛と哀しみのボレロ」はそんな時期に観た映画のひとつだった。

当時、参考にしてた本があったんだわ。

「世界映画名作全史 戦後編」
「世界映画名作全史 現代編」
「アメリカンニューシネマ名作全史1」
「アメリカンニューシネマ名作全史2」
「ヨーロッパニューシネマ名作全史」

という5冊の文庫本だった。何度も繰り返して読み、つぎはどれを観ようかなと考えるのが好きだった。

「愛と哀しみのボレロ」はこの中の「ヨーロッパニューシネマ名作全史」に載ってた。あらすじも紹介の文章も、今にして思えばちっとも面白そうじゃない。大作と書かれており、名作じゃないんだわ。

でもね、当時の俺にとってはなんかそそるものがあったんだよね。

映画の内容を一言で言うと、数組のカップルの何十年もの人生模様が描かれてて、その人たち(音楽家や舞踊家)が「ボレロ」という作品で一堂に会する、という話だ。

「ボレロ」とは、ラベル作曲の曲名であり、その曲を主題にしたバレエ作品でもある。ここではバレエ作品のほうね。

ベジャールというバレエの天才振り付け家がいて、この人が1980年代当時はインパクトある作品をつぎつぎ作っては世界をリードしてた。三島由紀夫の影響を受けた日本通でもあり、「カブキ」という作も作ってる。

「ボレロ」は彼の代表作なんだよな。で、映画の「愛と哀しみのボレロ」は、その「ボレロ」に出演した人たちの人生をひっくるめて物語化したものなんだわ。「プロジェクトX」的な感じに。

いろんな人たちの人生をまとめて壮大なドラマにしたっていうとすごそうじゃん? でも大作であっても名作ではない。このあらすじ↓を今読んでみても、ちっとも面白くねーなーと。

当時の音楽家や舞踊家に詳しい人だと、いろいろつながって面白いのかもしれんね。

指揮者カラヤン、作曲家グレン・ミラー、舞踏家ヌレエフ、歌手エディット・ピアフという4人の芸術家たちをモデルに、1930年代から80年代の長きにわたる波瀾に満ちた人生が描かれる。

というメンツを見ると、非常に有名な人たちではある。

映画舘ではやはり寝てた。これは俺の知的水準が足りなかったというよりも、映画としてつまらないんだと思う。

ただね、最後のほうはバレエ作品のボレロがそのまま流されてるんだけど、これはすごい。よくわからないなりにも迫力がある。この部分だけは覚えてる。

ほら↓なんかすごくない?

踊ってるジョルジュ・ドンという人が稀代のダンサーなんだよな。ってことはダンスするようになって知ったことだけどさ。

誠の女は若いころ、このボレロを生の舞台で観て、震えるほど感動したという。俺は映画で観たことあって顔が立ったぜ。

というわけで、何が言いたいかというと、芸術は眠くなるけど、女とのコミュニケーションには役立ちます。福地家の平和を根底で支えてます。うちだけ?

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