俺と彼の17年
ちょうど10年前のことだった。家に『小説推理』という雑誌が届いた。
なんだこりゃ?
読んだことない雑誌だ。まったく身に覚えがない。
開いてみたら、手紙が同封されていた。知り合いの作家志望者だった。
このたび小説推理新人賞を受賞することができました。
私に初めて原稿を依頼してくださったのが福地様であったため、掲載号を送らせていただきます。
と書かれていた。
そうかー。彼だったか。
しみじみと受賞作や選考座談会を読んだ。いろんなことを思いつつ、何度かくり返して読んでしまった。
彼との出会い、といってもリアルに会ったことはないんだけど、初めての関わりは28年も前のことになる。
そのころ、俺は竹書房に入ったばかりの新人編集者だった。
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?