見出し画像

ジジイに犯され蹂躙された夜

缶詰になってた出版社を出て、いつものように松屋で飯を食ったあと、エルドラドに向かった。

麻雀打ちって馬鹿だよな。以前勝った店に行きたくなるし、負けた店にはもう行きたくなくなる。そして勝った席に座りたいと思ってしまう。

そういうやつを見かけると、流れ派だと冷笑するのに、自分も同じように行動する。みんなそうだわ。俺もそう。

もうね、歌舞伎町の真ん中の祝儀ゲーはいかんよ。雀ゴロの巣だし。

と思ってるのに、この前勝ったときのアドレナリンの味が忘れられず、また向かっちまうんだわ。

エルドラドに到着した。

店内が、金を求めてアドレナリンを出してる男たちの臭いでいっぱいだわ。19世紀半ば、カリフォルニアでゴールドラッシュが起きたときも、こんな感じだったんだろうか? 現代の新宿では、地中から砂金は取れず、たがいの財布の中の金を奪い合ってるだけなんだが。

レジ前にイケメンがいて、声をかけられた。

誰だよ?

数十年ぶりに会うほさか(仮名)だった。この前もこの店で同卓したらしいけど、気がつかなかったわ。

昔は天鳳でライバルだったよな。そうでもねーか。俺たちが八段で争ってた3年後くらいだっけ、あっさり朝倉がごぼう抜きして天鳳位になりやがった。

ほさか(仮名)は、俺が歌舞伎町に引き込んだという。え、そうなの?

俺が歌舞伎町の麻雀なんて童貞君の彼を、今はなき「雀はうす」というフリー雀荘に連れていった。そこで彼は10万勝ったそうな。それが22歳のときで、そのときアドレナリンが出すぎて人生を誤ったという。

嘘つけ。君は山梨で姉妹丼やってたじゃねーか。女にはなめさせるけど、自分は気持ち悪いからなめないと言ってたろ。イケメンは傲慢だなーと思ったわ。

若くして男の夢・姉妹丼を実現してしまい、と同時に、田舎のじじい雀荘のレベル低さに飽き飽きしてたじゃねーか。あいつら100万年たってもテンパイしねーと言ってたろ。だから自分から新宿に来たんだよ。

そりゃ田舎はつまらんよ。安定してるけど。新宿は面白いさ。リスキーだけどね。

君くらいイケメンだったら、麻雀やるより儲かる道はいろいろありそうだったけど、今となっては腹が出てきてるし、もう賞味期限切れだな。

姉妹丼は若いときにやっちまったから、歌舞伎町を引退したら今度は母娘丼でも目指してください。

さて、そんな雀荘交遊録はどうでもいいな。

昨日は3卓立ってた。そのうちメンバーが入ってた卓が終了し、そこに案内された。

1戦目

対面は馬鹿店でよく会う渋オジだった。こういうのは俺の好みなんかね? 俺が女だったら、この人に抱かれたいわ、きゃって赤5pを切っちまいそう。男には興味なくて良かったわ。

上家は知らないにーちゃん。順調に煮えてる様子。下家はジジイ。どっかで見たことある気がする。

東1、3巡目にテンパイしてメンピンリーチ。

祝儀牌がうじゃうじゃある店だというのに、しょぼい手だ。

ここから先は

2,713字 / 9画像
この記事のみ ¥ 134

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?