世界初のプロダンス Dリーグ開幕
5800字もあるのを無料にするのはつらいけど、有料にすると応援の効果が下がると思うので、泣く泣く無料にします。
なお、番組のキャプチャ画像は(確認してないけど)たぶん違反だと思われるので、叱られたら外します。
Dリーグとは世界初のダンスリーグですね。昨日が開幕戦だった。
むちゃくちゃ楽しかった。もう最高。これから2週間に一度ずつ番組があるのが嬉しい。毎回ガチで見るわ。
ダンス番組評って、うちのnote読者ニーズにまったく合ってないと思うけど、応援のため詳しく書きます。
スポーツ化への道
これまでダンスって、スポーツかスポーツじゃないか微妙な立場だった。
スポーツってほぼ競技化されている。登山とかダイビングとか競技化されてないやつもあるけど、基本はスコア化され、勝敗がつく。
ダンスの場合は、身体を使う部分はスポーツ的だけど、エンタメ(芸術)の側面も強くて、中間にあった。
宝塚歌劇団の演目って、前半はお芝居、後半はショー(ダンス)となってる。それで有料のエンタメになってるけど、そのダンスにスコア化はない。
ダンスってシアター系とストリート系があって、とくにシアター系は劇場で行うショーだから、スポーツの方向には進んでこなかった。新体操とかフィギュアスケートがスポーツになり、オリンピック種目になったのに対して、ダンスはその道を行かなかった。
それが今になって、2024年のパリオリンピックでブレイキン(ブレイクダンス)の正式種目化が決まり、Dリーグの発足もそれをにらんでいる。
そしてDリーグもスコア化される世界だ。
ダンスはスポーツ化への道を進み始めた。
日本のストリートダンスって世界トップクラスだ。歌手のバックダンサーのレベルも高い。その日本でDリーグができ、さらにレベルが上がっていくとなると、10年後にはストリートダンスは日本のお家芸になるんじゃないか。
コロナ収束後の訪日客を対象にしたインバウンド事業に、ダンスが加わってくる未来もあるんじゃないか。ダンス留学に来るとか。
最大の特徴はチーム戦
Dリーグの最大の特徴。それはチーム戦であること。
麻雀のMリーグもチーム戦じゃん?と言われそうだけど、麻雀は個人戦をやって、そのポイントをチームごとに合算してるだけだよね。ゲーム自体は個人戦だ。
麻雀自体もチーム戦にするとしたら、2チームが2名ずつ出してコンビ打ちで勝負する形式になる。そっちの方がはるかに実力ゲーになり、経験量だけでごまかしてる人たちの真の実力が白日の下にさらされる。しかしそういうシステムにはならなかった。
Dリーグはダンス自体がチーム戦。
個人戦だとスキルの勝負になる。それがチーム戦だと、振り付けとフォーメーションの勝負であり、どれだけ動きがそろってるかの勝負になる。スキルの勝負じゃなくなるんだよね。
どっちがいいのか?
Dリーグはエンタメ番組だから、群舞の方が迫力があって面白い。結論としてはチーム戦になるんだと思う。
その場合、何が競われているかというと、圧倒的にディレクターの腕だ。メンバーを決めたのもディレクターだし、曲を決めて振り付けとフォーメーションを作るのもディレクターだ。
チーム戦といっても、8割くらいはディレクターの勝負なんじゃないか。チーム戦のダンサーはどこまでいっても駒だから。
専門用語を使わない
ストリートダンスって、ハウスとかロックとか、いろんなジャンルがある。今回の番組では、そういう固有名詞はいっさい出さないように神経が使われてた。
司会も審査員も、ジャンル名をほぼ出さなかったし、技の名前も出さなかった。たぶん専門番組っぽくなってしまうからだろう。審査員の講評が、ちょっと感覚的すぎる感じはしたけど。
こういう神経の遣い方はさすがだよな。ダンスマニアのための番組じゃないもんな。
ネット番組の良さ
Dリーグが良かったのは、地上波TV番組じゃなかったこと。バラエティ番組的なのは本当に嫌いなので。
①芸能人のコメンテーターがいない
②コメンテーターが何かしゃべったときに起きる笑い声がなかった
③お笑い担当の色物チームが混ざってなかった
こういう通俗的なのは本当に嫌なので。
これからいろんな企画の本場所が地上波TVからネットTVに移ってくる。その良さを感じた。
この意見↓は俺にはわからん。俺がダンスマニアだからかな?
この疑問↓に対しては、
このデータ↓により、
サッカーよりは多いのと、100万人くらいのシニア人口がいると言えそう。
シニアダンス仲間では話題になってない
俺のダンス仲間のグループラインではまったく話題になってない。たぶん関係ないと思ってるんじゃないかな。
俺はシニア層としては珍しくストリート系に興味があり、実際やってるし、さらに自分がやってるぬるいダンスにつながってるという意識もある。俺って珍しい存在みたい。
せっかくやってるんだから、そこからつながっていく文化にも興味を持った方が面白いと思うんだけど、余計なお世話か。
それでは、各チームについての感想を以下に。やった順。
サイバーエージェントLegit
良かった。すごく良かった。
ディレクターのFISHBOYさんがポップというジャンルの人で、ポップのダンサーをいっぱい取っており、ポップがベース。でも、ポップで染めてたというほどでもなく、使う技が多様だった。
チームリーダーがMVD(Most Valuable Dancer)をもらってた。
このチームに地獄ってダンサーがいて、その人のこと好きなんだよね。この人↓
この人のジュニア時代の動画が好きで、昔よく見てたんだけど、最近ノアダンススクールに入ったら、この人が講師になってるのを発見。あのクソ生意気だったガキが今は講師なんだって感慨深かった。
その人がこのチームにいて、しかもセンターだったから、ああ、ダンサーとして有望なんだって嬉しかった。
サイバーにはMリーグを作ってもらったし、Dリーグもサイバー主導なのかな? わからんけど、それだけでもサイバーにはむちゃくちゃ恩義を感じてるんだけど、そういうのを抜きにしてもチームとしてすごく良かった。
点数が伸びなかったのって1チーム目だったからだよね。こういうのって最初はめちゃくちゃ不利らしい。審査員心理として高い点は付けにくくて。
コーセー8ROCKS
俺的に一番すごいと思ったのはここだった。
スピードに乗ったブレイクはインパクトがすごい。パワー、スピード、インパクト、エネルギーという点で、ブレイクは他のジャンルの上を行く。
左右から1人の腕を持って振り回すやつ↓は、なぜ持たれてる人の肩関節が壊れないのか謎だった。
九州男児新選組のメンバーがいっぱい入ってるみたいね。九州男児新選組ってテレビで無敵を誇ったチーム。中高生メンバーばっかなのに、すさまじかったもんな。
点数がそんなに伸びなかったのは、過去にすげー活躍しちゃったから、新鮮味を出すのが難しかったのかもね。
ひとつ思ったのは、コーセーって化粧品の会社でしょ。男が中心のブレイキンのチームって、会社のカラーに合ってなくね?
ユーネクストI'moon
今回どのチームも素晴らしかったけど、唯一ここは苦しいだろって思ったのがこのチームだった。
アイドル系コスでまとめてるのはいい。独自性があって。
ただ、技の多様性が一番少なかった。ヒップホップ&ジャズだけじゃないかな。フォーメーションも一番単調。
ツイッターでは評判良かった風だけど、それはアイドルダンスの上位互換としてなのかな?
一般論として、女性だけのチームって厳しい。筋肉の大きさが違うから、スピードとパワーで男に負ける。なので女性ならではの特質をアピールしないと。
途中でリフト(持ち上げる)があった↓けど、
上の人が常人には不可能な体のやわらかさを見せるとか、ポーズだけじゃなくて何かすごさを見せてくれないと。
このチームのディレクターRuuさん↓の振りつけたヒップホップを、俺は5曲くらいかな、経験してるのね。このチームは完全にRuuさんの世界。
チームメンバーはRuuさんがオーディションで選んでる。
Ruuさんの振り付けは俺も何度も踊ってきたし、ユーネクストは麻雀で駄目人間の朝倉を取ってくれた会社でもあるし、応援したい。したいけど、正直ここは他チームと同じ土俵に乗れてないと思ったわ。
ベネフィットワンMONOLIZ
ここも女性だけのチーム。こっちは良かった。俺は好きだわ。
まず独自の世界観を出している。和テイストもいいし、アップテンポの音楽もいい。
真ん中の人が逆立ち前転(というの?)で前の人を乗り越えてくる↓
技としては全然たいしたことないんだけど、女性特有の動きになってて効果的。
腕がありえない角度で曲がってる↓
こーゆーのは女性ならではだよね。
ヒールを履いて踊ってるから、飛んだり跳ねたりは無理。それでもヒールのファッション性を優先してる(ちなみにアイムーンはヒールじゃなく、飛んだり跳ねたりしてた)。
ディレクターのHALさんという人がVOGUEというジャンルの人で、VOGUE特有の手振りが続く↓
VOGUEって好きなんだよな。現代的だなーって思う。
このチームはアイムーンよりさらに点数が低くて最下位だったけど、俺的には良かった。自分たちの世界を作り出してると思う。このチームはもっと見たいわ。
オッサン審査員がセクシーだの言って炎上したみたい。セクシーなんて通俗的な言い方しなくても、ヒールダンスで独自の世界観を作っててすごく魅力あったと思う。
セガサミーLUX
1位になったチーム。
どのチームもすごかったんだけど、ここが圧倒的に頭おかしい感じだった。技術的にどこも高い中、どうやって抜け出すかといったら頭おかしさだ。
言い換えると、先が読めないこと。次にどうなるか予想がつかないと見入ってしまう。このチームが1位だったのはそういうことなんかなーと。
宇宙服みたいなコスも頭おかしい雰囲気に合ってた。音楽も宇宙的だったし。
セガのチームリーダーはCANDOOさんという100円ショップみたいな名前の人↓
5年くらい前、この人のレッスンに出てたんだよな。しだいにつらくなって続かなかった。周囲は高校生とかだったし。
このチームは寝てるところから始まる↓んだけど、
そこから手をつかずに起き上がる方法も、CANDOOさんレッスンで習ったわ。忘れちゃったけど。
CANDOOさんがこうやって活躍してるのは嬉しいんだけど、ダンス中、1人だけふらついたり、手をついたりしてたぞ。歳だから? 先が心配。
これを書くためのあって5回くらい見たから、そんなことまで気づいてしまった。何回見直しても、頭おかしさでこのチームが1位だよなーって納得する。すごいわ。
ここまでで5チーム終わって、前半戦が終了。ここで審査員のステージ。エグザイルとか。むっちゃ素晴らしい番組だったけど、ここはいらなかった。まぁ、俺はこの時間に晩飯を作ってて見てなかったけど。作ったのはトマト味の鍋。
そして後半戦。
カドカワDREAMS
最後に参加を決めたチームで、そのぶん準備期間も短く、レジェンドも不在で、もっとも雑草的なチームらしい。若そう。
曲の歌詞が面白いんだけど、この曲のことをもっと知ってると、もっと深く楽しめるのかも。
俺的には、もうひとつよくわからなかった感じ。
あまりほめてないけど、点数は高かった。このチームももっと見たい。
セプテーニRAPTURES
2020年7月時点で平均年齢19.7歳という最年少チーム。
ここも良かった。良かったけど、曲の雰囲気なのか、動きは激しいのに静かにまとめた印象を受けたな。こういうのは損なんだと思う。
堅実にまとめたように見えちゃうから点数は伸びないけど、こういうチームがいくつもあるから、どのチームも目を離せないよなーと思う。
スタイルヒップホップ風と言っていいのかな。ストップが多いタイプ。
このチームもすごく良かった。ダンスを自分でもやってる人の方が評価しそうなチームだなーと思った。
※追記 ハウスのステップが多かったという説明をよそで見て、自分の感じたことの理由がわかった。俺はハウスが好きなんだな。きついけど、もうちょいやろうと改めて思った。
エイベックスROYALBRATS
審査員の点では最下位だったけど、同情票なのかオーディエンス票がいっぱい入り、4位になった。
RIEHATAさんというディレクターのチーム。10年くらい一緒にやってるメンバーだって。
ここは凝ってて、すでにチームメンバー12人のそれぞれを主役にした12本の映画を公開してるそうな。12回の予選ラウンドが、毎回1人ずつ映画の後日談になってるという。
今回の主役の人がバスケットボールを持って舞台に上がり、その人がボールを投げ捨てるところからスタートしたのは、そういうストーリーなんだろう。
そういう凝った構成がいいのかは、その映画を見てないので不明。もしかすると、オーディエンス票がいっぱい入ったのは、その映画も込みの評価なのかも。そうだとしたら次回以降はもっと評価が高くなりそう。
フルキャストRAISERZ
男だけのチーム。
技とか考えず、ひたすら勢いとパワーだけを見せる方針。終わった瞬間に、全員が上半身を脱いだ↓
むちゃくちゃ鍛えられた上半身。
ディレクターにカメラがいくと、そっちも脱いでた↓
「あれ、気づいたら服脱げてました」と。
そのあとで、チームリーダーが、このチームを結成して半年、筋トレ88%、ダンス12%くらいの割合でがんばってきたと。カフェオレみたいなもんです。牛乳8割で、ちょっと甘くしたりと、だそーな。
筋肉馬鹿って感じで面白かった。ここもいいチームだわ。
審査結果
4人の審査員の合計得点がこう↓
そこにアプリによるオーディエンス採点が加わって、こうなった↓
セガの優勝。
審査員コメント
審査員は4人。オッサン3名とにーちゃん1名。
セクシーだのって評価が炎上してたオッサンもいて(今どき、セクシー=女性をほめてる、なんて単純な図式は通じない)、審査員の選択は微妙だった様子。どういう人なのかよく知らないけど。
音楽の人であるMIYAVIさんが、最後に素晴らしいコメントをしてた。
今はコロナもあるし、世界情勢の厳しさもあるし、ダンスの活動をできているのは本当に幸せなことです。そんな中、自分はダンスを通じて何をやりたいのか、何を伝えたいのか、さらに掘り下げてください。それがすべて踊りに出ます。ラウンドが進んでいくことで、さらに成長したみなさんにお会いできるのを楽しみにしてます。
この人は見た目もかっこいいけど、素晴らしいコメントする人だなーと感心した。他のオッサン審査員たちを救ってた。
終わったとき、ツイッターのトレンドにDリーグ開幕が入ってなかったのがショック!(´;ω;`)ウッ…
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しょぼくれ中年ダイアリー
本業は麻雀ライターの、麻雀以外の日々のエッセイです。出版、本、漫画についての話が少し多めです。
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