道10

【現代麻雀への道】10 振り込み一人払いの誕生

振り込んだ責任はすべてお前にある!!

今回のテーマは「振り込み」の歴史である。
何それ?といわれそうだが、つまり振り込んだ人が責任を取って、点数を全部払うシステムの歴史である。

えっ、それって当たり前のことじゃないの? と、誰しも感じることだろうが、よく考えてみるとそうともいえないのだ。

筆者は中学時代、休み時間にセブンブリッジをやりながら、「麻雀って振り込んだ人が全部を払わなきゃいけないらしいぜ。怖くてできねえよなあ」などと、話していた記憶がある。セブンブリッジはトランプ版の麻雀ともいえるゲームだが、セブンブリッジでは振り込みがあっても3人払いだ。

もともと中国麻雀では、誰かが誰かに振り込んだとしても、ツモった場合と同じように3人が点棒を払っていたのである。筆者のセブンブリッジと同じだ。

当然、日本にもこのルールで伝わった。
しかし他人が振り込んだのに自分まで点棒を払わなければならないことが、どうも日本人にはしっくりこなかったようだ。国民性というヤツだろう。

おまけに3人払いルールではこんなイカサマが行われることもあったらしい。
ABが組んでCDと麻雀する。ABのどちらかがテンパイすると、相棒にひたすら振り込む。交互に振り込み合うわけだから、本人同士の点棒はどんどん増えていく。
しかし脇の二人CDの点棒はひたすら減っていく……。

このイカサマをふせぐため、新しいルールまで考案された。
放家攤牌(ホーチャタンパイ)という。

これはたとえばBがAに大物手を振り込んだときに、Bは自分の手を公開して「この振り込みは狙い打ちなどではなく、やむを得ないものだった」と、CDに確認させるというものだった。

しかし、いくら手牌を開けて、「この手だったら勝負に行くだろ。しょうがないよなあ」などと説明されても、スッキリするわけがない。
あいまいなケースもあるだろうし、何を切るのが正しかったか喧嘩になることだってあったはずだ。
さぞかし多くの人が、胸の内で「このヘボが~」と叫んでいたに違いない。

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