漫画家なかたひろおさんの思い出
大昔のことだけど、「消えたマンガ家」というノンフィクションの本がヒットした。
5万部だったか売れて、続編、続々編も出た。著者のライターはアメリカに移住したくらいのヒット作となった。だいぶ面白い。
読んだのはすげー昔で内容を全然覚えてないんだけど、一般的には1巻は名作で、2巻、3巻は駄作みたいな扱いをされてるみたい。
ただねえ、知り合いの漫画編集者は、この本のこと怒ってたんだわ。その理由は聞かなかったけど、わかる気がした。そもそもタイトルからして漫画家に失礼だから。
だってさ、コロンブスがアメリカ大陸を「発見」したみたいな話じゃん。現地人は以前からいるわけで、それを「発見」したというのは、ヨーロッパ人の傲慢な視点だ。
漫画家も同様で、ふつうに生きてて、失踪届けが出されてるわけでもないのに、「消えた」というのは勝手な言い草だ。
漫画家って、ハイリターンの可能性もある一方で、あれほど過酷な仕事って珍しい。経済的にも肉体的にもむっちゃハード。
だから、みんなが漫画家という職業を一生やるわけでもなく、いったん休む人もいる。そういう人全体をひっくるめて「消えた」とするのは、珍獣扱いであり失礼だ。
・・・という理由なんだと思う。
俺はそこまで漫画家寄りじゃないので、この本も面白く読んだんだけど、直接の知り合いである漫画家さんのことを扱うときは、やはり珍獣扱いはできない。本人は生きてるわけで。
というわけで、普通に昔の知り合いの思い出話となる。
なかたひろおさんという漫画家さんがいた。
俺が27歳で竹書房に入社し、「近代麻雀オリジナル」って雑誌の編集部に配属になって、最初に持った漫画家の担当、それがなかたさんだった。
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