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堀之内聖と私15
オーストラリアのキャンプから帰った頃、私と堀之内は食事をしながらサッカーの話をしていた(長い時で6時間。その間、私は酒を飲んでいたが彼は一滴も飲まずに付き合ってくれていた)。そこへ、浦和市立高校の教頭(その時は確か県の体育課長)をしていた方から電話がかかってきた。私は堀之内と一緒にいることを告げると「堀之内君も一緒に連れてきてよ」と言われたので、我々は指定されたお店に行った。そこに体育課の先生方がいて「サッカー選手なんだって。じゃあ、ここにサインして」と言いながら藁半紙のプリントの裏に書くよう促してきた。私は、はっきり言って失礼な方々だと思ったが、堀之内は、嫌な顔ひとつせずサインをしてくれた。
しばらくすると、1人の方が誰かにメールをして、その直後に「明らかにレッズサポ」の県庁職員が酔っ払ってお店に入って来た。そして第一声が「サテ(サテライト。二軍のこと。当時は二軍の試合があって、柱谷哲二さんが監督をされていた)のクセしてこんなところで油売ってんじゃねえ。さっさと帰って練習しろ」だった。私は体育課長に「先生、あと3分いたら、僕はあのおじさんに殴りかかってしまうから帰ります」と告げて店を出た。店の外で、「ホリ、嫌な思いをさせて悪かったね」と言うと、彼は「僕はこういうの全然気にしないから大丈夫です。あのおじさんを見返してやりましょう」と言った。
その日のことを彼が覚えているか分からなかったが、私はあの夜のことを一生忘れないと思っていた。後日、彼とその同級生たちと食事をしていた際に、その話が出て、彼は友人たちに「先生がレッズサポのおじさんに本気でキレているのを見て、この人の期待に応えねばと思った」と話していた。それを聞いて、時には感情を丸出しにするのも大事だと思った^_^