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堀之内聖と私⑨ 

いよいよ大学生になった堀之内聖。目標は関東大学2部リーグで万年最下位の東京学芸大を、自分がいる4年間で1部リーグに昇格させることだった。ところが、膝の怪我も癒え万全の状態で大学1年生になった堀之内を待っていたのは、1勝することの難しさだった。

学芸大サッカー部に入部して間もない頃、当時、下のリーグに所属していた國學院大に学芸大が敗退し、その直後に彼から私に電話があった。「先生、試合に勝つことがこんなに難しいと初めて知りました。そして、負けて悔しがっていない先輩たちが多いのに驚きました」といった内容だった。それに対し私は「ホリ、負け癖のついた集団の中に、ホリみたいに小、中、高と全て全国大会に出た勝ち癖のある男が入った意義は大きいんだろうね」と応えた。

次に彼から電話があったのは8月だった。アントラーズのトップチームと練習試合を行い、3-3で引き分けたという報告だった。ボランチには、後にJリーガーとなる4年生の北原と3年生の神田(前松本山雅FC社長)がいて、堀之内の入り込む隙はなかったので、本来のボランチではなく、サイドハーフのポジションで出場していたが、アントラーズ戦直前に神田が負傷し、堀之内がボランチに抜擢された。サイドハーフには、専大松戸高校出身の同じ1年生が入った。新しい布陣で1部リーグから降格してきた早稲田大学との開幕戦を迎えた。前年度最下位の東京学芸大学だが、その結果は?

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