教師駆け出し(草加東高校)時代②
最初は他人にアドバイスを求めて練習をしていたが、だんだんと西ドイツやイングランドのコーチが書いた本(spaceの日本語訳が「空地」だった。そんな時代)を参考にするようになり、ウィール・クーバーのビデオ、ついには『The Winning Formula』という名のイングランドフットボール協会(The FA)のコーチであるチャールズ・ヒューズが作成したビデオを手に入れ、よく分からない英語を必死に聞き取き取ろうと頑張った。
そのビデオの中に、確か、「雨の日はファーストピッチングでボールが伸びるから気をつける」といった文言があったのだが、その解読に一苦労した。ある日AET(当時はALT、Assistant Language TeacherではなくAET、Assistant English Teacher)に「何でサッカーなのにピッチングが出てくるのか分からない」と聞いたところ「テニスやバレーボールを行う場所はコート、でもサッカーやクリケットのように広い場所はピッチと言う。そんなことも知らないんだ」と言われた(当時はサッカー関係者全員がサッカーコートと呼んでいた。昨日会った30年以上前の草加東高校の教え子たちは「フルピッチ」のことを「フルコート」と言っていた)。それを聞いてすぐにファーストピッチングの意味が分かった。空中のボールが落ちてきて最初に地面に触れる時のことを言うのだと。
後に『The Winning Formula』のビデオの書籍版があることを知り、それを必死に翻訳していたところ、ある方に「それ、日本語版が最近出たの知っている?」と言われ愕然とした。『サッカー勝利への技術・戦術』というタイトルの本。今では当たり前のことだが、当時の日本人サッカー関係者が知らないことがたくさん書かれていた。でも、その「当たり前」がなかなかできなかったりする。
以前、私の武術の師匠(2006年夏から指導を仰いでいる)が、「学ばせるとは本を読ませることではなく、興味・関心を持たせること」と話されていたが、好きなサッカーの指導のためなら、勉強・研究するのが楽しくて仕方なかった。