2025年1月28日(火) ゴッドハンドOTリハビリ22
神の手作業療法士:G
ふくT:T
妻:P
G:どうですか?
P:市役所の人(介護認定の人)に左腕を上げる検査をされた時に痛くて腕が上がらなかった。
G:アームスリングをずっとしているから可動域が狭まってしまう。でもやらないと腕がブランブランしてリスクが上がる。大事にするには、(アームスリングを)していた方がいい。でも、弊害があるということ。
G:(アームスリングをしていると)内旋・内転位になる。この姿勢で短くなるのは大胸筋。大胸筋は抱き抱えるのに使う筋肉。お母さんに抱きつく時に子どもが1番初めに使う筋肉。1番使いやすい。麻痺が大きくても大胸筋は働くんです。力が入るということは筋肉が
短くなっているということ。大胸筋が短くなっている状態でずっといる。そうすると短縮してきてしまう。外旋・外転すると伸びるので。ちょっと動きが制限されてきたなというところで止める。その制限の中で動かす。
G:広背筋も内転・内旋、そして伸展。背中からきて上腕骨の内側にくっついている。体操の鞍馬の選手は広背筋を使っている。広背筋が収縮している。
T:その時上腕は外旋ですか?
G:内旋です。前腕は回外にするけど。
G:広背筋は上腕三頭筋と仲がいい。
T:上腕三頭筋は外側ですよね?
G:そう。肘を伸展させる筋肉。あんまり動かないと上腕三頭筋と広背筋がくっついちゃう。
G:前が屈曲するときに後ろで広背筋が引っ張っちゃう。
T:つまり、上腕三頭筋と広背筋で引っ張りあっちゃうということですか。
G:上腕三頭筋の近位部が硬い。ここが痛いでしょ?
P:痛い。
G:ターゲットを少しずつかえてますけどね。
T:上腕三頭筋のターゲットを少しずつずらす?
G:広背筋も触って。上腕三頭筋と広背筋の合わさったところを中心に触る。
T:両方をほぐすんですね。そこがほぐれれば、肩が硬い人が柔らかくなるのですか?
G:肩の可動域が出てないのでね。何かしらの筋肉が硬いということ。
T:肩関節が硬いというのではなく、筋肉が硬いのですか?
G:(筋肉の)長さが足りない。少し伸びてきた。
P:痛くなくなってきた。市役所の人に触られた時は痛かった。
G:痛いのは何かしらの筋肉が伸びないのに無理やり動かしたから。
G:大胸筋は扇状の筋肉なので扇の上の方と下の方では若干違うのです。
T:筋肉の長さが出てくれば関節は動くのですね。肩を壊すのはまた別のことなのですか?
G:骨折とか。
P:市役所の人が腕を挙げなければわからなかったね。
G:それで結構大変だとわかって良かったかもしれない。
P:介護度が高い方がいいのか低い方がいいのかわからないんですけど。
G:高い方がいいでしょ。サービスがいっぱい使えるから。
T:今日来てくれた人は、そんなにサービスを使っていないから、ショートステイ代が安くなるから介護度が低い方がいいのではと言っていました。
G:これから訪問リハを使うようになったりすると、どっちがいいか。2ということはない。3かな。今は4もなかなか出ない(妻は要介護5)。透析をしているので4になるかも。4は寝たきりに近い人が出る。
T:去年はちょうど1番動けない時に介護認定の人が来たので。あなたの奥さんは長く生きられないと言われていた頃。腹水が6ℓ溜まっているとか、血中カルシウム濃度が高いと言われていた。
G:(肘が屈曲すると)広背筋が伸ばされて(上腕が)内旋されるんです。
T:(肘を)屈曲して外旋するのは難しいのですか?
G:屈曲すると広背筋が張る。内旋位だと屈曲できるけど外旋位だと難しい。
T:前へならえの時に肘窩(ちゅうか)が横に向くのが内旋位?
G:そうですね。横に向くのは内旋位です。上に向くのは外旋位。
T:以前、サッカー部の教え子が「先生、原口元気はナチュラルに上腕が外旋していました」と言っていました。どうしてそうなるのかなと思って。
G:内旋筋の方が遥かに多いです。大胸筋然り、広背筋然り。内旋筋に比べ内旋筋は少ない。抱っこするのは内転より内旋なんです。
T:内旋の方がし易いように身体は元々できているのですね。
G:狩猟生活の時は動物を捕まえるときに内旋筋を使う。外旋は内旋したのを戻す筋肉。棘下筋(肩甲骨の下)は外旋筋。小円筋も外旋筋。
G:三角筋が効かないと空中に腕を保てない。
T:大胸筋が働いているから内転・内旋はするけど三角筋が働いてないから「前へならえ」はできないんですね。
P:手が下に落ちて、便器とお尻に挟まれて痛い時がよくある。
G:手を挟まないようにするためにもアームスリングを使った方がいいですね。自分で手をカラダの前に持ってくるのができそうでできない。前に持ってくるには少し屈曲して内旋させないとできない。広背筋で後ろに引っ張ると三角筋で前に引っ張るので後ろが勝っている。手が前に出ないと実用的でない。空中に手を浮かせられないと手を操作できない。それが難しい。
G:動きを出す運動をやってもらいたいけど、そればっかりだと大胸筋が短縮してしまう。
P:腕が軽くなった。痛くない。
G:これくらい動かしておくとね。
(横になって)
G:上腕二頭筋の反応が弱いから、肘が曲がらない。上腕三頭筋は広背筋とセットで動く。上腕二頭筋は大胸筋とセットで動くので、大胸筋が入ると上腕二頭筋も入り易いはずだけど、なぜか入らない。肘が曲がらない。上腕二頭筋は早くから強く出る人が多い。時間が経てば出てくると思っていたけど、なかなか出てこない。
T:上腕二頭筋と大胸筋がセットだから、片方が動けばもう片方が動く人が多いのですか?
G:脳の肘を動かすところにダメージを負っているんですね。メインも予備の回路も全滅してしまっている。これから動かないかというと100%動かないというわけではない。
T:回路が壊れても別の回路で動かせる可能性もゼロではないんですね?
G:ゼロではない。
T:使っていれば予備の回路が発動する可能性はゼロではないんですね。
G:動いた時に関節が動かないとだめなんですね。今、肘も肩も動かせばだいぶ可動域が出てきたので。
T:時々アームスリングを外して動かしてあげた方がいいんですね。
G:動かす時のポイントは、痛くない範囲で動かす。内旋・外旋と内転・外転。肘は、上腕二頭筋はあまり硬くならない。
T:卓球のラケットを振るような動作をさせればいいんですね。
G:そうですね。
G:前回より脚は硬くないですね。硬くなり方は個人差もあるし、時期によって波がある。
T:時期によってというのは、季節とかでなく?
G:長期的に。初めは弛緩していて、だんだんトーンが上がる。ある程度行ったらだんだん下がってくる。そのトーンが高いときが続いているイメージ。いずれは筋緊張が落ち着いてくる。
T:それは入院して動かなかった間にトーンが高くなってしまったのですか?
G:そういう訳ではない。神経的なところ。動かしていないとトーンが上がる。固まってしまうと動かないので、動かそうとするので筋肉に命令が出る。
T:動かないのを動かそうとして、脳からどんどん命令が出るのですか?そうするとよりトーンが高くなるのですか?ということは柔らかく保つのが大事。
G:ブレーキがかかっているアクセル踏むようなもの。
T:ブレーキがかかっている車を走らせる。わかり易い。
G:アクセルもブレーキもいっぱい踏んじゃう。
T:週7回くらいサッカーやっている子どもは、そういう状態になって壊れていくのですね。
G:そうですね。これで終わりにしましょう。
T:ありがとうございました。